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第一話

目を開けた瞬間、私は自分がまったく見知らぬ場所にいることに気づいた。周囲は豪華な装飾が施された部屋で、天井からは金色のシャンデリアが輝き、床には高級そうなカーペットが敷かれている。どうやら、私は異世界に来てしまったらしい。


「え…?」


つぶやきながら、私は自分の体を見下ろす。細くしなやかな腕、長い金髪、そして異世界の貴族っぽいドレスに身を包んでいる自分に驚くばかりだ。鏡を見つけると、そこに映るのは間違いなく美少女の姿。


「これ、私…どうなって...」


混乱しながらも、自分の顔に手を当ててみる。思わず鏡に映る自分をじっと見つめ、少しニヤリと笑った。どうやら、私は夢の中ではないようだ。現実なのか、夢なのか、それすらよくわからないけれど、この姿がどうしても気に入った。


「どうしよ...」


ふと、背後から声が聞こえてきた。


「姫様...目を覚まされたのですね!」


振り返ると、そこには年配のメイドが立っていた。彼女は涙を堪え、私に一歩近づいてくる。


「姫様は長らくお休みになられていたのです...! よく、ご無事で...!」


「え、あ、うん…ありがとう。」


私はとりあえずメイドに礼を言い、何が起こったのかを聞いた


「長らくお休みになられていたってどういうこと...?」


「はい、姫様は呪いによって十年もの間、眠りについていたのです」


「ちょ、え?...十年も!?」


「こうして元気になられたのは奇跡としか言いようがありません! 早速国王陛下へ報告に行ってまいります!」


「え..ちょ...」


彼女は私の言葉を聞く前にそそくさと部屋を後にしてしまった


「もっと色々聞きたかったんだけど...仕方ない、とりあえず散歩してみよう」


その時、頭痛がして体が傾く


「痛っ...!」


やがて痛みは引いていった。一体なんだったのだろう...気にしても仕方ない。後で医者にでも行けばいいだろう。しかし、そんな余裕も一瞬で消え去った


「...え?...鳥が...止まってる?」


ふと窓を外を見ると、鳥が羽ばたく瞬間で時が止まったようにピクリとも動いていない。何の前触れもなく、突然、全てが静まり返った。部屋の中の音も、全てが止まっている。


「もしかして...私がやったの?.......私すご!」


心の中で叫びながら、私は部屋から出ると目につくメイドに近づき、片っ端から彼女たちにセクハラをしていった。


「ふむ...見ると中々良い...あれ?」


...おかしい。いつもならもっと過激なことをしてもおかしくない。今しているのはメイドの服のボタンを一個取ってみたり、スカートをめくってみたり。それなのに、興奮しないどころか嫌悪感すら抱いている。


「はぁ...やめよ。飽きた」


その瞬間、時間が動き出した。


「姫様、何をなさったのですか…?」


メイドは驚いた顔で、私の目の前で困惑している。が、私は一言


「ごめんなさい!」


と言ってその場を後にした。

少し後悔しながらも、私は次に何をするか考えた。王宮内を歩いていると、金色の鎧を着た騎士たちが行き交っている。どうやら、王宮の防衛体制はしっかりしているらしい。


「かっこいいなぁ…そうだ、王宮の中を探索してみるか」


私は王宮の中で、あちこちを自由に動き回ることにした。


あらゆる場所で、私は自由に物を動かしたり、嫌がる騎士たちの服を取り上げてみたり、宝物庫の中身を調べてみたり、悪戯を楽しんだ。すべてが静止した時間の中で、私は好き放題に行動した。


「なんだか、すごく楽しい…!」


一瞬、心の中で何かが叫びたくなるような感覚があった。普通なら許されないことをしている自分が、まるで何でもできる神様のように感じたからだ。


そして、ふと気づく。


「でも、何かが足りないんだよなぁ…」


その時、突然、全てが真っ暗になり、私は目を覚ました。


「え?」


目の前には、見慣れた自分の部屋が広がっていた。どうやら、私は再び現実に戻っていたようだ。


「全部…夢だったの?」


目をこすりながら、私は呟いた。少しだけ、寂しさを感じたが、それと同時にほっとする気持ちもあった。


「でも、もしこれが現実なら、今度はもっと自由に楽しんでみたいな…」


夢の中で感じた興奮が、まだ胸の中に残っている。次に何か冒険が待っているとしたら、それを楽しむのも悪くないだろう。少なくとも、私はその美少女の姿になった自分を、心の中で少し誇りに思った。

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