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オールウェイズ  作者: 光牙飛鳥
全ての始まり 冒険の始まり 何かの終わり
15/100

出会い2

少女は辺りをキョロキョロと見回すと、おもむろにこちらへやって来た。

と言っても、辺りにいる人はフィール達とギルドのカウンターにいる人達だけだったため、なのだろうが。

間近まで来た少女を良く見ると、随分目線が低い。

それにかなり幼い外見をしている。

この街にはフィールの知り合いがいないので、ロキの知り合いだろうか。


「ムーンティアーを採りに行った人達って、あなた達かしら?」


小さな見た目とは裏腹に、どこかのお姉さんのように話す。

そういえば近所のお姉さんがこんな話し方してたよなぁ、と懐かしく感じる。


「ああ、正解さ」


食べ終わったロキが答えるが、この見た目は子ども…、な人は何者なのだろうか?


「良かったわ、急がなきゃいけなくなったのよ」


と言う事は。

やっとぴんときたフィールは、つい話に割り込んでしまった。

しかも少女を指差しながら。


「じゃあ、君が依頼人?」

「き、君ですって…?」


しまった指差しはまずかった、と指を急いで引くが、時すでに遅し。

バン!とテーブルを叩く音が響いた。


「あたしは子供じゃないの!君だなんて呼ばないで!」


彼女は人が変わったのかのような声でキャンキャンと叫んだ。

どうやらすっかり怒らせてしまったらしい。

指を差されて怒るのは当たり前だとは思う。

しかし指差したことよりも、年下相手のように呼び掛けた事が気に入らなかったらしい。

見た目から子供かと思ってしまったのだが、年上なのだろうか?

それにしては気になる部分もある、話し口調が先程よりも子供っぽくなっていた事だ。

さっきまでのお姉さん声も、わざと大人らしく感じるようにしていたようだった。


「すいませんでした…」


謝りつつも、やっぱり子供なのかなー、と見ていると、ほっぺをむにっと掴まれた。

その力は明らかに子供の物ではない、ましてや普通の大人とも違う。

痛みを感じながらも頭の中が混乱しそうになり、払い除けるのすら忘れた。


「フィール、そいつは確かにお前より年上さ」

「ふえぇ!?」


苦笑するロキに言われ、驚いて変な声が出てしまった。

見た目だけならまだ12、3というような姿をしていて、こんな子供っぽい事をされている状態で、年上と言われてもすぐには納得出来ない。

それでもほっぺは痛いから夢でもない。


「あたしは「君」でも「そいつ」でもないの!キーラ・ファブリナよ!」


キーラと名乗った、と言うか叫んだ少女は、ほっぺから手を放し、何かを受け取るように手を出す。

やっと解放された頬は、すっかり赤くなっていたが、フィールには見えない。

見えたとしてもなんとなく悲しくなっただけだろう。


「とにかくムーンティアー、早くちょうだい」

「そうだな」


ロキが『トゥルフ』でムーンティアーを詰めた瓶を取り出し、その手に乗せた。

彼女はあっさり年上喋りを諦めたようだ。

コルクを開けて、中身を確かめるように匂いを嗅いでいる。

匂いで本物かどうかわかるのだろうか?

そんなに強い匂いはしなかった気がするな、と思っていると、納得したように栓をし、改めてこちらを見る。


「確かにそうね…報酬は店で渡すから、ついて来て」

「え?」


てっきりギルドの方から貰えるのだと思っていたのだが、直接依頼人から受け取る事になるのだろうか?


「あ、説明忘れてたな」


そういう事を話してくれるはず、の先輩はと言うとこんな調子で…。

やはり自分からドンドン聞いていかなければ、分からない事だらけになる、絶対に。


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