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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
第二章

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ルビーの強さ

 エリーナ・シルディー・ボーク・アレシダスとの会合を終えたボクは気分の悪さを感じていた。


 午前中にアカリから熱烈な告白を受けた後だったので、余計にエリーナがつまらない人間に見えて、彼女に冷たく当たってしまった。

 彼女なりに今の情勢を打開したいと思ってきたのはわかるが、そこに彼女の心があるようには思えなかった。


「リューク様にゃ。どうかしたのかにゃ?」


 ボクがバルに乗って自室に戻る途中に、清掃をしていたルビーが話しかけてくる。


「ああ、ちょっとイヤな気分になってな」

「そうにゃ……にゃら、撫でるかにゃ?」


 そう言われて頭を突き出すルビーに自然に手を伸ばす。

 柔らかな髪の間にある耳が気持ちいい。

 やっぱり、獣人はいい。シロップもだが、モフモフは癒やされる。


「ふにゃ~気持ちいいにゃ~」


 ボクが癒やされていると、ルビーも気持ちよさそうな声を出して、尻尾が嬉しそうに揺れている。


「ルビーはどうしてメイドになったんだ?ミリルはボクに恩義があるって聞いてはいるけど、ルビーの理由を聞いていなかったな」


 初めてクラス内チームを組んだときから、ルビーの好感度は高かった。

 本来のゲーム仕様であれば、ルビーは冒険者として強者を求めている。

 そこで剣帝杯でダンと戦って負けることで、ダンを強者として認めて仲間になるという流れだ。


 だが、ボクはルビーと戦っていない。チームを組んだ最初から好感度が高かった。

 剣帝杯では、ボクと戦うことを避けて降参まで宣言していた。


「リューク様が……一番恐いからにゃ」

「恐い?」


 今まで恐いと言われたことはない。

 それはボクには似合わないような言葉だった。


「そうにゃ。あっ、別に悪い意味じゃないにゃ!なんて言えばいいかわからにゃいけど……そうにゃ!寝てて夢を見ているときに、夢の中でどうしようもないほどの絶望を味わうとするにゃ。いくら起きたくても起きられなくて、地面もなくなって、自分は終わってしまうって思う夢を見ているようにゃ!」


 全然わからない。


 説明が下手なのか、言いたいことがまとまっていないのか……まったくわからん。


「とにかく、ルビーはボクが恐いから側にいるの?」

「そうであってそうじゃないにゃ?」

「そうであってそうじゃない?」

「そうにゃ!私のここが、リューク様こそが番の相手だと言っているにゃ」


 そういって小振りながらも自己主張をしている胸元を叩いて。ルビーは自信満々に宣言をした。


「番?」

「そうにゃ。私はリューク様の子が産みたいにゃ。そんでお母さんとお父さんも助けてほしいにゃ!」

「子供に両親ね……よくわからん」

「今はいいにゃ!私は、自分で強くなって助けにいくつもりにゃ。もしも、そのとき一緒に来てくれたら嬉しいにゃ!」

「両親は大丈夫なのか?」

「絶対大丈夫にゃ!大丈夫じゃなくても、二人は一緒に死ねるなら本望にゃ!そのときは一緒に埋めてあげるのにゃ」


 何を言っているのかは全然わからない。


 わからないけど……ルビーは自分の中に信念があって、ボクの助けを求めているようで、助けを得られなくても自分で成しとげる意思の強さを持っている。


「そうか。もしもルビーがボクに力を貸してほしいと思うなら、手伝ってやる」

「いいのかにゃ?」


 撫でていた手を払いのける勢いで立ち上がったルビーは、そのままの勢いでボクの上に倒れてくる。


「ふにゃ!ごめんにゃ」


 そういって胸に顔を乗せて、上目使いに見上げてくる顔は可愛い。


「ふにゃ~リューク様は良い匂いがするにゃ~」


 ボクの胸に鼻を近づけて、匂いを嗅ぎ出すルビーは幸せそうな顔をしている。

 手を伸ばして顎を撫でてやると、グルグルと喉を鳴らして気持ちよさそうにしていた。

 猫耳メイドを可愛がる時間は、ボクを癒やしてくれる。


「あ~ルビーちゃん!ズルい!」


 そういってやってきたのはミリルだった。


「ミリルもリューク様に撫でてもらうにゃ?」


 悪気なく問いかけるルビーの言葉に、ミリルの顔が真っ赤に染まる。


「そっそんなこと~!!!でも~いっ、いいのでしょうか?」


 うるうるとした瞳で見上げてくるミリル。


「別にいいけど」

「あっ、ありがとうございます!!!」


 何故か美少女二人に挟まれて頭を撫でさせられている。


 今日は女難の相でも出ているのかな?アカリに始まり、エリーナ、ルビー、ミリルまで、ダンお前のヒロインたちが集まってるぞ!ハァ~バルに揺られてゆっくり寝たい。


「そうだ。リューク様。今晩はカリン様がパーティーをするって言ってましたよ」

「パーティー?」

「はい。先ほどコバトちゃんがカリン様から言伝を預かったって言って、教えてくれました」

「なんのパーティー?」

「なんでも、リューク様に承諾を取り付けたからとか」


 アカリが報告をしたのかな?メイド隊設立パーティーか?


「みんな綺麗にしておくようにって言ってました」

「そうか、ミリルもまたドレスを着てくれるのかい?」

「はい!頑張ります!」

「ルビーも着るにゃ!」


 二人ともそろそろ撫でるの止めて良いかな?ボク部屋に帰りたいんだけど……。

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