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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
最終章

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502/510

それぞれの戦い 7

《sideタシテ・パーク・ネズール》


 世界の命運を賭けた戦いに自分が最後の六人に選ばれている名誉。


 正直、私はリューク様の陣営で強さでは大したことはありません。

 むしろ、活躍ができない弱者に分類されてもおかしくないと思っていました。


 ですが、これまでの情報収集や、天王との戦い考慮していただけたようです。


 リューク様が……。


「タシテ君。ボクと一緒に魔王城に来てくれないか?」

「私でよろしいのですか?」

「君が居てくれたら心強いんだ」

「喜んで!」


 選んでいただけた。


 ずっと戦闘ではダンに遅れをとっていた。

 裏方では、リューク様のお役に立てていると自負していたが、表舞台でリューク様に必要とされたのだ。


「タシテ様〜、大丈夫ですか〜?」

「ああ、ナターシャありがとう。緊張してしまってね」

「ふふふ〜。嬉しいですか〜?」

「えっ? そう見えるかい?」

「はい〜。凄く嬉しそうな顔をしていましたよ〜」


 ナターシャは子供の頃から私を揶揄からかって遊ぶようなやつだった。

 だが、諜報チョウホウ能力の高さと美しい容姿。

 そして、スッと人の心に入ってくるコミュニュケーション能力の高さを評価して、重要な任務は常にナターシャに任せるようになっていた。


 そして、私のことをよくわかってくれているので助かる。


「魔王城の扉を固く閉じている扉を開けるためには、結界を作り出している三つの塔を攻略しなくてはいけないんだ。気合いを入れなければな」

「そうですね〜。ですが〜、私たちには頼れる味方がいるんですよ〜」


 ナターシャが視線を向けた先にはリューク様の愛馬であり、神獣シンジュウ麒麟キリンのオウキがついてきてくれている。


「そうだな。二人とも戦闘を得意としているわけではない。私は幻覚。ナターシャは癒しだ。戦闘では頼りにさせてもらうしかないな」

「そうですね〜」


 私たちは塔の中へと入っていく。


「やぁやぁやぁやぁ!!! ようこそおいで下さいました!!! 我が城へ!!!」


 扉を開くと、そこに広がっていたのは、オモチャ箱のような幻想的な空間だった。

 そして、迎え入れたのは、巨大なピエロの顔を保つ化け物だ。


「我が城ですか? この造られた空間は見慣れすぎていて、落ち着いてしまうのですよね」

「ふふふ、本当ですね〜。私もです〜。義父様はお元気ですかね〜?」

「おやおやおやおや??? あなた方を私の姿を見ても驚かないのですか? う〜ん、せっかくあなた方を驚かせようと、こんな格好をしたのにピエロ殺しですね!」


 数千を超えるナイフが空中に浮かび上がる。


「まぁまぁまぁまぁ、いいでしょう! つまらない人たちは死んでくださいませ」


 ナイフが放たれた瞬間に《幻想》を発動する。


「ハァー、あなたはピエロを舐めているのですか?」

「えっ?」


 全てのナイフを屈折させて、ピエロへ返して差し上げます。


「なっ! あれ?」

「あなたはピエロの癖に自分が楽しむために、話をするんですね。ですが、本来のピエロは他人を笑わせるために存在しているんです。あ〜そうだ。私はリューク様に笑っていただきたいから、これまで努力してくることができました。私は何度ピエロを演じたことでしょう」


《幻想》よ。ピエロに見せて差し上げてください。


「あなたにプレゼントして差し上げますよ。最高の夢を」

「あはっ、タシテ様〜。スッゴく怒ってますね。ふふふ、だけど妬けちゃいますねぇ〜。タシテ様が怒るのはリューク様のことばかりで〜、たまには私のためにも〜怒って欲しいです〜」


 ナターシャから《癒》の力が飛んでくる。

 気づかれていましたね。ナターシャを騙すことはできません。


 私が無茶をして、傷ついた体を治してくれます。

 オウキがいるのに、つい飛び出してしまいました。


 これまでネズール家が行ってきた全てを否定された気がしたのです。

 それはリューク様に認めてもらうために、私がしてきた全てを否定されたような気がしました。


「あはあはあはあは!!! 強い強い! あなた強いですねぇ〜だけど、弱い! ピエロよりも弱い!」

「ええ、そうですよ。私は弱い、ですがねピエロさん。ここにリューク様やダンが来なくてよかった。あなたを滅ぼすのは私でありたいとハッキリ思えたので」


 私は自分とオウキの居場所を入れ替える。


 すでに、ピエロは私の幻想に魅入られた。


「オロオロオロオロ??? おかしいですね。今そこに?」

「あなたは勘違いしている。私は最初からあなたを攻撃などしていません。あなたが私に向けて放ったナイフを、そのままあなたに返しただけです。ですから、あなたの攻撃は私に当たっていますよ」


 背中から流れる血を、ナターシャが《癒》してくれる。


「無茶ばかりして〜。あなたは弱いんですよ〜」

「ああ、私はリューク様や、ダンよりも遥に弱い。だけど、男だからね。二人に負けたままじゃ嫌なんだよ。君にカッコ良いところも見せたいからね」

「素敵です〜」


 ニコニコと笑顔を浮かべてくれるナターシャは心を読ませない。


「なになになになに??? どうしてゆっくりと話をしているんですか? あなたを殺す……!!!!! ブフォ!!!!」

「確かにあなたは強いかもしれない。普通に戦えば、私では負けるでしょう。だけど、あなたの全てを私が否定して差し上げます。そして、ここにおられる神獣はリューク様が認めた存在です。あなた如きがどうにかできるほど弱い存在ではありません。オウキ!!!」


 私は名前を呼ぶだけでいい。


「ヒヒーーーーーン!!!!!」」


 部屋全体を埋め尽くす白い雷撃が、ピエロを燃やし尽くす。


「ふぅ」


 血を流しすぎましたね。

 いくらナターシャが傷を癒してくれても、ナイフの攻撃を受けすぎました。


「あとはお任せください」

「ああ、オウキ。ナターシャの護衛をお願いします」

「ブルル」


 気を緩めてはいけない。


 ピエロは、サーカスの最初に現れて、最後まで存在し続けなければならない。


「あなた死んでしまうのではないですか?」

「いいえ。あなたが騙し討ちをすることを狙っていると思って待っていただけです」


 随分と小さくなったピエロが私の前に立って、顔を覗き込んでくる。


「憎い憎い憎い憎い」

「ピエロが、そんな言葉を使うものではありませんよ」


 ナイフを突き刺してくるピエロに、私は魔弾を放った。


「なっ!」

「言ったではありませんか、私は弱い。だからなんでも使う。道具でも、魔法でも、そして、嘘でもね」


 弱った私を狙うことは理解していた。


 だからあえてナターシャを先に行かせて、オウキはどこからでも攻撃を放てる。


 魔弾に撃たれたピエロは、白い雷に包まれて消滅した。


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