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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
第一章 

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研究日誌


 〇月〇日



 実験十日目……


 多重魔法を同時発動に成功。

 属性魔法の魔法陣は自分では生み出せないため、紙に転写して無属性の魔力を流すことで発動する。


 魔力を同時に流して、魔法を発動させることに成功したため、実験の進捗状況としては順調だ。


 最近は、シーラス先生が学校に来いとリベラを通して伝えてきたけど、今は忙しいと断っている。


 ミリルが様子を見に来てくれた。


 リベラとカリンが世話をしてくれているところに、ミリルが何か出来ないかと問いかけてきたので、ボクの代わりに基礎勉強のノートを取るように頼んだ。


 ミリルがまとめたノートを見せてもらうと凄かった。

 要点やテストの攻略方法まで完璧にまとめられたノートが届けられた。

 

 ミリルは賢い……バルの研究の手伝いしてくれたら役に立つかも……



 〇月○✕日



 結果から言うと、ボクの判断は正しかった。


 ミリルに協力してもらえたので悩みを伝えた。

 魔力充電についてだ。

 相談すると、魔力吸収という新しい発想を提供してもらった。


 なんでも、魔力は空気中に存在しているので、心臓部となるレアメタルに魔力を吸収させてエネルギーに代えることで、半永久的に魔力を補充させられるという方法があるそうだ。

 それが出来れば魔力をボクが供給しなくても、活動できるようになるのではないか?ミリルの発想は役に立つ!魔力吸収は絶対に必要だ。


 ヤバい!ミリルが優秀過ぎる!


 さっそくリベラと魔力吸収についての研究を始めた。

 資料はミリルが持ってきてくれた。

 ミリルが事前にたくさんの資料を読んで、要点をまとめてくれたお陰でスムーズな実験が出来るので助かる。


 カリンが三人分の食事を作ってくれている。

 負担をかけてしまった。申し訳ない。


 でも、チーズとハムのサンドイッチは美味しかった。



 〇月○×日



 あれ?この魔力吸収……ヤバくね?マジでヤバいかも……今までは体内にため込んでいた魔力を使って魔法を使っていた。

 だけど、魔力吸収は空気中に存在する魔力を使って魔法を発動する。

 魔力吸収を行えば、無限に魔力を使えることを意味している。ヤバっ!


 自分の中にある魔力を使わないので、この技術を覚えれば無限に魔法が撃てる。


 リベラとミリル、カリンにも原理を説明して使ってもらった。それぞれが吸収出来る量が違っていた。どうやら個人の魔力保有量が違うと、吸収出来る量も変わってくるようだ。


 それに吸収しながら魔法を撃つことができたのはボクだけだった。みんなは吸収に集中しないと、吸い込めないと言う。それでも魔力回復が出来るので利用方法はあるようだ。


 原理はシンプルなのだが、呼吸をするように魔力を吸い込むだけだ。

 魔法の才能が高いリュークの身体は、すぐに魔力吸収を習得できた。


 魔力吸収は技術だ。


 それも凄い技術なので、これは凄い発明なのではないだろうか?魔力の消費がないので、魔法を使っても疲れない。リュークはやっぱりチートだ。


 ヤバっ!これ、マジでヤバい……リベラとミリルにハイタッチして喜んだ。


 カリンのお祝いフルコースは美味しくてお腹いっぱいになった。



 ×月○日



 困った……魔力吸収は素晴らしい技術なんだけど……魔法陣が存在しない。


 魔法陣がなければ、レアメタルに付与することが出来ない。


 でも、充電よりも遙かに便利だ。

 ボクが魔力を注がなくても、魔力を吸収出来ればバルは自動で動くことが出来る。


 それはとても素晴らしい。


 絶対にバルのボディーに取り入れたい。


 リベラが魔法学から、ミリルが生物学から、それぞれの観点の意見をくれる。なかなか上手くいかない。


《吸収》の魔法陣が存在しない……作り出すしかない……


 ハァー野菜しか喉を通らない…コンソメスープ美味い!



 ×月○×日



 カリン……君は天才だよ


 全てをレアメタルだけでしようとするからダメだったんだ。

 レアメタルは心臓部だから、レアメタルへ魔力を循環させる別の魔導具を作り出せば良い。


 シュウマイ美味しかったです。

 同じ調理器具で、同時に料理を二品作る姿が素敵だったよ。

 目の前で元気づけようと料理をしてくれてありがとう。


 カリンのおかげで突破口を見つけた!!!


 研究を開始して三ヶ月が経っていた。


 テストには参加しなければいけないので、ミリルが渡してくれたノートで一夜漬けをする。

 ミリルノートは凄い、それしかしてないのにテストは余裕だった。

 ルビーもミリルノートの恩恵を受けたらしい。


 テストが終わると、ルビーが片付け要員としてやってきた。


 猫は癒やされる。ルビーを撫でていると集中力が増して、モフモフ最高だ。


 シロップに会いたい。


 年末の剣帝杯が終わったら、一度家に帰ろう。


 温かい鍋は最高です!



 ×月××日



 ハァ~ダルイ。


 身体が言うことを効かない。

 今日は休息日だ。

 カリンがお粥を作ってくれたから食べさせてもらう。


 リベラやミリルにも休日を与えて、お礼に食事をしてきてほしいと給金を出した。

 断られたが、何かしらお礼がしたかったからお金というのは打算的で、一番ラクなお礼になって申し訳ない。


 カリンにいっぱい甘えた。凄く癒やされる。


 体調が悪いときはやっぱり誰かの温もりを感じたい……久しぶりに三日間ほど寝込んだ。

 


 ×月×○日



 体調が戻って、研究を再開した。

 リベラやミリルも、新しい魔導具の立案をしてくれて、レアメタルに装着できるウィング型の魔力吸収装置と魔力循環システムを実現した魔導具を作り出した。


 羽を広げると魔導具に魔力吸収が開始されて、羽をたたむと吸収した魔力をレアメタルが吸収するというものだ。


《吸収》の魔法陣は存在した。


 リサーチ先生を詰めて吐かせた。


《吸収》の応用で開発した魔導具は素晴らしい。


 魔力をレアメタルへ送るという発想はリサーチ先生から頂いた。

 何を作っているかは言わなかったが、リサーチ先生の知識は役に立つ。


 ミスリルにも《吸収》を送り込む実験は成功だ。

 羽が空気中の魔力を吸収して、羽が吸収した魔力をレアメタルがまた吸収する。


 二段階バキューム吸収と名付けた。



 □月○日



 とうとう……この日が来た……


 どんな魔法陣をレアメタルに刻み込むのか……試行錯誤を繰り返した結果……10の魔法陣を付与することになった。


 バルや《吸収》以外にも残り8個も付与するのは、念のためだ。


 ほとんどの実験はリベラに行ってもらい、ボクは魔法陣作成と同時多重魔法の練習を行っていた。

 レアメタルを囲むように10の魔法陣を同時に発動させて、レアメタルに順番に付与して行かなければならない。


 魔力吸収を覚えていてよかった。

 魔力消費が激しいはずの同時多重魔法発動を実現可能にしてくれた。

 魔力切れの心配をしなくていい。


「いくぞ」


 カリン、リベラ、ミリル、ルビーの見守る中……ボクはレアメタルへ10の魔法陣を付与していくため、同時多重魔法を発動する。


「リューク様!成功です!」


 集中しているボクに、ミリルの声が響く。


 発動は成功した……ここからは一つ一つの魔法陣を重ね合わせるようにレアメタルへ刻み込んでいく。


「リューク様、レアメタルへの付与……全て完了です」


 ボクの周りに浮かんでいた全ての魔法陣が、レアメタルへ刻み込れた。


 ここまで半年をかけた実験が、なんとか成功を収めた。


 ふらついた身体をカリンが受け止めてくれる。


「大丈夫?」

「ああ」


 レアメタルが光を失って地面へと落ちていく。

 ルビーがナイスキャッチしてくれた。


「だっ、大丈夫かにゃ?」

「ありがとう、ルビー。割れることはないが、傷が付かなくてよかった。

 最後の仕上げをするから台の上においてくれるか?」

「はいにゃ」


 ルビーは丁寧にレアメタルを台座の上に置いてくれた。

 ボクは最後の仕上げをするためにレアメタルに近づいていく。


「まずはウィングを装着」


 レアメタルと魔導具をドッキングさせて一つの魔導具として完成させる。


 見た目には石に羽を付けたシュールな形ではあるが、ここから変化する。


「ボクの魔力を流し込んでバルを目覚めさせる」


 全員が息を呑む。


 ボクは注げる全ての魔力を注ぎ込む。


 こうすることで、核となるレアメタルに魔力回路が生み出され、魔力を循環させるための道が出来上がる。


 道が出来た場所に魔力吸収された魔力が流れ込みバルのエネルギーとなる。


 これはレアメタルの魔力吸収が出来る魔力保有量の最大値を上げることにもなるので、ボクは注げるだけ全力で魔力を注ぎ込む。


「ハァハァハァ。これで全部だ」


 カリンに支えられてボクは実験の結果を待った。


 魔力を注ぎ込んだことで、バルが目覚めてボクと意識がリンクされるはずだ。


 成功しろ!

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― 新着の感想 ―
う~ん、バルって無形の存在だから、すぐに纏ったり出来るんじゃないんですか? それを有形にしたら連れて歩かないといけなかったりと面倒じゃないですか?
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