戦争をするに当たり
魔王との戦いをすることは、様々なところへの配慮が必要になる。
魔王を抑える役目を、お姉様に任せて、ダンが率いる王国軍とヒロイン(ハヤセやナターシャ)たちを出発させることができた。
迷いの森の討伐を終えることができれば、魔王への足掛かりが整うことになる。
だが、その前に必要な仕事は他にもある。
「まずは、よくぞいらしてくださった。帝国女王 ジュリア・リリス・マグガルド・イシュタロス殿。聖女ティア殿。そして」
今回、クーガ皇王の名代で来たのはアオイノウエだった。
「皇后アオイノエウエ殿」
「お久しぶりです。リューク陛下」
三カ国の主となる人物との謁見が全て女性なのは、様々な意味合いが込められている。
皇国は、真っ先に王国との連携を表明してくれた国であり、魔物の討伐を皇王自ら陣頭指揮をとって、一掃を開始してくれた。
そのため皇国に関しては、単純に戦いに走りまわるクーガ王の名代として、アオイノウエ皇后が王国にやってきてくれたのだ。
「久しぶりだな。遠路はるばるご足労いただきすまない」
「いえ、今回の魔王討伐は、王国だけでなく世界の命運を賭けた戦いだと認識しております」
「ああ、よろしく頼む」
名代に集まってもらったのは正式な説明をするためであり、今後の戦の方針を伝えるためだ。
「それで? 今後はどうなるのだ。リューク陛下」
「女王ジュリア様、それを含めてお伝えします」
帝国の代表がジュリアなのは、現在議長として帝国の運営をジュリアが行っているためだ。だが、様々な種族の集合体となって、今回我々は魔物討伐に協力を要請した際は、帝国は賛同してくれて素早い動きで、魔物を討伐してくれた。
これは、ジュリアの人望がなせる技だと俺は思っている。
ジュリアは一人一人に話しかけることで、各種族との連携を強め不公平があることでもなぜ、不公平なのか話をしていると言う。
だが、人が二人以上居れば揉める種などいくらでもあるので、毎日が大変な日々を送っている。だが、ジュリアの行いは少しずつでも帝国を開拓することには繋がっており、今回の号令に各部族が応じてくれたことも間違いない。
「うむ。四カ国は貴殿の言葉で、動き出している。さらに食料や武器の支援まで受けては協力しないわけにはいくまい。それに」
ジュリアの視線が聖女ティアへと向けられる。
教国は兼ねてより、魔物を蔓延らせない政策をとっているので、自国に魔物は少ない。そのため、各国の回復要因の派遣を踏み切ってくれたために、戦場だけでなく、各地の病人や怪我人を助ける医療団体が帝国と皇国に作られていた。
それは、各国で好評であり、また通人至上主義教会を改め、人族至上主義教会へ改名したことで、通人族以外の、亜人、聖霊族、魔人まで会話ができる者たちはしっかりと救出する流れができている。
「聖女ティア殿には多大なご協力に感謝します」
「良いのです。教国も新たな使徒を獲得することができておりますので、神を信じ、それぞれが信じる道を進めればと思って追います」
「ああ、もちろんそのつもりだ」
各国の連携が素早く行えてくれたのはありがたい。
それぞれが国として抱える問題はあるが、人族としては、魔物を討伐することで武器や生活に必要な材料を集め、また魔物を食料として食べることで増えた人数に対して早急の食料問題を解決してくれている。
帝国と王国の戦争から一年ほど経とうとしているが、それでも各地で一年では補いきれない被害が目に見えないところであるのだ。
それを王国から雇用することで、少しでも潤う形にできれば良いと思っている。
「それに、私は聖女として、最後の戦いにご協力できると思っております」
魔王を倒すのは勇者と聖女。
昔から決まっている慣わしであり、それは実際に有効な手段だからだ。
「《勇者》ダン・D・マゾフィスト様は此度の迷いの森攻略戦の総大将をなされるとか?」
「ああ、それほどに強くなったと認めている」
「でしたら、私も聖女として役目を果たそうと思います」
「いや、君には、別の仕事を頼むつもりだ」
「別の仕事?」
「ああ」
ボクは三人に、今後の戦争の流れを説明した。
そこには魔王と言う存在の恐ろしさと、それまでにかかるであろう被害の有無も伝えている。
各国の重鎮を伝えたのは、何も戦いの作戦を伝えるためではない。
資金や、人材、状況に応じた対応。
各国のリーダーが理解していなければ、不足の事態に対して動けないためだ。
「うむ。そこまで魔王が危険な存在ということか」
「皇国は我が国だけで精一杯でございます」
「私の役目は……、戦いのその後」
三者三様にボクの言葉に対して、考え、苦しみ、悩む姿を見せる。
ボクは魔王を追い詰め、その後に起こるであろう弊害を彼らに伝える。
それはエンディングに向かうために必要な行為なのだ。




