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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
最終章

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迷いの森攻略戦 3

《sideルピナス》


 なっ、何が起きているんですか? 私は多くの魔物を喰らって力を手に入れたというのに、いきなり私を超えてくる戦闘力。


 あのリュークとはまた別の異質な存在。


 《暴食》の効果が効かない。


 それに初期段階の私を超える戦闘力。


「どうやら、あの男に残していようと思いましたが、そうも言っていられないようですね」

「何?」

「いいでしょう。あなたは強い。認めてあげます。ですから、本来の力を見せてあげます。とくとご覧なさい」


 翼を大きく広げて自身の体を包み込む。繭のようになり私の体を飲み込む。


「なっ、何をするつもりだ。動かないのであれば、斬る」


 青白い光が輝いていても何も恐怖は感じない。


「全力斬り!」


 我が身に迫る刃を翼が弾き返す。


「なっ!」


 脈動するように、翼に取り込んでいたエネルギーが体に流れ込んで、全身に力が漲っていく。

 本来であれば、力の解放はあの男のために取っておきたかった。


 そして最終段階は、魔王を倒すために取っておきたいが、目の前の男は私の天敵。


 それを認めた時に遠慮はできない。


「ホホホほほほホホホホホホホホほほほほほホホホホホホホホ」


 全身に溢れる力に笑いが込み上げてくる。

 ハァー、これほど強くなってしまうとは……。


「くっ、不気味な!」

「失礼ですよ」


 繭を破った私の体は機神体と融合した体によって真っ白な体へと変化を遂げる。

 これまでの真っ黒なボディーを脱ぎ捨てて、完全体の一歩手前の体を披露する。


「なっ!」

「ホホホホホホホホ、あまりの美しさに言葉も出ないようですね」


 身長は伸びて、全身は筋肉が盛り上がるほど隆起している。


「……前の方が良かったと思うぞ」

「ふん、下等な通人族が! あなたには美的センスもないようですね!」

「ダン! 俺たちも協力するぞ!」

「ムーノ! 来てくれたのか?」

「ああ、フリーもいるぞ」


 面倒な雑魚が増えましたね。


「いいでしょう。三人まとめて相手してあげます。ダン戦闘力10万。ムーノ戦闘力15000。フリー8万。ほう、そこの女も強いですね」


 一人雑魚が混じっているようですが、盾にしてこちらに攻撃を当てようとしてくるでしょう。


「合わせて20万程度。残念ですね。私の今の戦闘力は36万です! キエエエ!!!」


 ダンを真っ先に殺す。

 未知数な強さを持っているこいつは一番厄介だ。


「なっ! 早い! うわああああ!!!」


 先ほどの衝撃をお返しするように地面へ叩きつけて、《暴食》のペットを食らいつかせる。全身が噛み切られて死ぬがいい。


「さて、厄介な男は片付きましたね。あなたたち二人を倒して、王国の兵士を全滅させるとしましょうか?」

「くっ!」

「させない」


 二人の騎士は私の威圧で冷や汗を流す程度の実力。

 だが、女の方を喰らうことができれば、より強さを手に入れられることでしょう。


 確実に女を喰らうためには、男が邪魔ですね。


 もしかしたら、ダンのように戦いの中で戦闘力を上げてくるようなヤツなら厄介ですからね。


「火焔の舞」


 炎を纏う女の戦闘力が、先ほどよりも上がる。

 やはりこいつらは戦闘の中で実力を挙げてくる。


「厄介な!」

「俺だって!」


 そう言って氷を発生させる男は全く戦闘力が上がっていない。

 どうやら特定の人間だけしかできないのか?


「おい! ちょっと待てよ」

「なっ!」


 倒したと思ったダンが全身を《暴食》のワニに齧られて立ち上がった。

 股間にかぶりついたワニは、通人族の男なら動くことができないほどの激痛が走るはずなのに、どうなっている?!


「俺は不屈のダン・D・マゾフィストだ! この程度の痛みじゃハヤセには到底追いつかねぇ」


 なっ! 話をしながら、どんどん戦闘力が上がっていくだと!!!


 こいつは危険だ。


 こいつだけは何かが違う。


「もっとだ。もっと攻撃を仕掛けてみせろ! 全てこの身で受け止めてやる」


 背中に恐ろしさを感じてしまう。

 それは初めて私に恐怖を与えたあの男とは別種の恐怖に思えた。


「貴様!!!」


 私はダンではなく、一番雑魚の首を掴んだ。


「ぐっがはっ?!」

「雑魚だ。通人族は雑魚なのだ! それなのに、なんなのですか?! あなたたちは?! キモイキモイキモイキモイ!!!」

「お前ほどじゃねぇよ。《暴食》のルピナス。お前は悲しいヤツだ」

「何を言っているのですか? 私が悲しい? この完璧な私が?!」

「ぐっ?!」


 掴んでいる男は次第に息ができなくて顔を青くしていく。


「この世界にお前は一人だけなんだからな」

「何を言っているのですか? そんなことは当たり前です。私は一人で至高の存在」

「ハァー、お前と対になる奴はいない。どれだけ女性の見た目をしようと、お前を求める男はいない。お前がどれだけ完璧になろうと誉めてくれる奴はいない。そして、お前がどれだけ強くなっても、誰もそれを望まない」


 こいつは何を言っているのですか? そんな当たり前のことを言って何が狙いだ。

 それで十分ではありませんか!


「どうしてだろうな。お前がどれだけ姿を変えても、どれだけ強くなっても、俺はお前を怖いとは思わない」

「うるさいうるさいうるさい!!! 貴様の戯言に付き合うのもこれまでです!」


 私は掴んでいた男を放り投げました。


「ムーノ!」

「キエエエ!!!」

「ダーーーーーーン!!!!」


 巨大な《暴食》のワニが人間を一飲みにして私に力をもたらします。


「ハァー、あなたのお友達は死にましたよ。これでも私に戯言を言うのですか? あんな雑魚がこの戦場に混じっているのが間違いなのです」

「……お前がどれだけ悲しい奴でも、俺の親友を殺したんだ。もう許さない」


 闘気が目に見えるほど巨大化して、溢れ出す。


「なっ!? 53万ですって!!! バカなありえない!!!!」

「お前はやっちゃいけないことをしたんだ」


 全身にワニをつけたまま、どうしてそこまで戦闘力が上がると言うのだ。


「くっ、いいでしょう。見せてあげます。私の完全なる姿を!」

「フリー、ここは俺に任せて下がってくれ。ムーノのことはすまなかった」

「……」


 女騎士がこちらを睨んで立ち去っていく。


「最終決戦です」

「変身するんだろ? 待ってやるよ。その上で殺してやる」

「見るがいい!? ルピナスの完全体を!!! 《暴食》よ! 私を喰らいなさい!!!」


 巨大なワニが現れて私の体を喰らう。


 もうどうなってもいい。


 世界を喰らい尽くすまで、もう止まらなくていい。


 だから目の前の男を殺す力を与えなさい……。

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