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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
最終章

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迷いの森攻略戦 2

《sideダン・D・マゾフィスト》


 俺はゆっくりと地面にハヤセを寝かせる。

 

 ハヤセは言った「行ってらっしゃい。あなた」と……。


 なら、ここで俺がすることはハヤセを抱いて泣くことではない。


「ダンく〜ん、ハヤセちゃんは〜、私が〜見てるからねぇ〜」

「ああ、頼んだ」


 後方支援のナターシャが状況を見て、ここまで来てくれたはありがたい。

 護衛にタシテとマルリッタさんもいるようだ。


 マルリッタさんの無効化と、タシテの幻覚があれば、逃げることはできるはずだ。


 俺はルピナスだけに集中する。

 

「あなたとも因縁ですねぇ〜」


 あいつと戦うのはこれで三度目だ。


 一度目は帝王カウサルと共闘して倒したはずだった。

 二度目はタシテとハヤセに助けられて取り逃した。


 これで三度目。


 俺を強化できるハヤセを不意打ちで襲ってきた。


「お前は今日、俺が倒す」

「ふん、あのリュークならまだしも、あなたに負けるとは思えませんね」

「リュークは言った。お前を倒すのはリュークよりも俺の方が向いていると」


 リュークが託してくれたんだ。


「聖なる剣よ。俺に力を授けてくれ」


 聖なる剣が青白い光を放って輝きを放つ。

 

「ふふふ、いいですね。前回の私と同じと考えられても困ります」

 

 確かに見た目はどこか前と変わっている。

 

 前回よりも体が人に近い体を手に入れて、ハエの翼を持ちながら、その肢体はグラマラスな女性の体を完成せさていた。


「違いの一つとして、機神体になった私は面白いことができようになりました」

「面白いことだと?」

「ええ、そうです。相手の強さを戦闘力を数値化して見ることができるのです」


 右目を閉じて、瞳を開くと同時に輝きを放つルピナス。


「闘気10、魔力0、経験値200。戦闘力210です。雑魚が」


 俺の近くにいた騎士を見つめて、戦闘力を告げる。


「ふん、相手の戦闘力を数値に例えられるからと言って何になる?」

「ふむ。ならばあなたもして差し上げますよ。闘気1000、魔力290、経験値1万、戦闘力12290。ほう、普通の者よりも強いようですね。前回の私もそのぐらいだったでしょうね」

「なんだと? それがなんだと言うのだ」


 不敵な笑みを浮かべて両手を広げるルピナス。


 空へと羽ばたき、曇天へと浮かび上がる。


 雷が鳴り始めて、ルピナスの後ろに雷鳴が光を放つ。


「この森の魔物はすでに八割近くを食べ終えて私は力を手に入れたのです。機神体の体によって魔王から解放されて、《暴食》を従え、新たな存在へと進化した私の戦闘力は8万1000ですよ! つまりあなたの八倍は強いということです」


 強さの定義がよくわからないが、強さを数値化して、自分の方が強いと誇示しているのはわかる。


「ハァーさっきから、それがどうした?」

「なっ、何を言っているのですか? 8万ですよ! とんでもない数字でしょう」

「なぁ、お前は自分が小物だって言っているのがわからないのか?」

「なっ! 私が小物ですって! 訂正しなさい! あなたを殺す前に他の者を皆殺しにしてもいいんですよ! あなたが因縁の相手だからこそ、あなた殺してから他の奴を殺そうと思っていたのにもっと強くなった私を相手にするがいい」


 ルピナスが、他の奴らを殺して喰らうと宣言する。


 だが、俺はなぜか、戦闘力の話を始めてた頃から、いやルピナスを見た時から心配する気持ちが全く湧いてこない。


「やれよ」

「何っ? なんですって?」

「お前、前よりも弱くなったんじゃないか?」

「キエエエ!!! もういいです。あなたを殺して、皆殺しにしてあげましょう。喜ぶがいいですよ。あなた方を殺して、あのリュークを殺した後は、私が魔王を殺してあげます。まぁ、そのあとは人類を全て食べ尽くしてあげますけどね」


 夢を語るルピナスに、俺は聖剣を構える。

 

 《増加》の力を使って剣の大きさを肥大させる。


「なっ!」

「グチャグチャとおしゃべりなやつだ。全力横なぎ!」

「ぐっ!」


 飛ぶ斬撃が、ルピナスを襲う広範囲で放った一撃にルピナスが必死に避けようとする。その逃げた先で待ち構えて、ルピナスを叩き落とした。


「ぐっ、どっどうして?」

「なんだ? やっぱり弱いんじゃないか?」

「あなたは! あなたは効いていないのですか?!」

「何がだ?」

「私はずっと《暴食》の能力を発動しているんです。私の近くにいる者は、魔力や体力を食われて力を奪われるのです!』


 ルピナスの言葉に周りを見れば苦しむ騎士の顔が見える。


 ハヤセを治療してくれているナターシャも辛そうな顔を見せる。


「そういうことか、長々と話をして相手を弱らせる。セコいやつだ。だが、俺には聞かないようだな。聖剣の力が《大罪》魔法の攻撃を受け付けない」

「そっ、そんなこと!」

「お前を倒すのに俺が向いていると言ったリュークの言葉が理解できるよ。それにな。お前は俺の大切なものを傷つけた。ハヤセの豊満な胸に開けるなんて、許せるカーーーーーー!!!!」


 闘気と魔力を融合させて爆発させる。

 体への痛みと負荷は大きいが、それすら心地よい。


「なっ! 戦闘力10万ですって! どうして十倍も上昇しているんですか?」

「ハヤセへの思いが俺を強くする。これは人として思いの強さだ」

「そんな出鱈目な!」

「レベルや、戦闘力で測れない強さがあることを教えてやる」


 俺はもう一度聖剣に魔力を込めた。


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