国葬
英雄テスタ・ヒュガロ・デスクストスの死に対して国葬が開かれることになった。
皇国、帝国との戦争において、将軍として王国の勝利に導いた活躍したヒーローであり、今後の王国を引っ張っていく人材として最も有力な人物であった。
だからこそ、テスタ・ヒュガロ・デスクストスを英雄として憧れを抱く民は多かった。
「よくぞ集まってくれたことを、まずはお礼を伝えたい」
ユーシュン王は最後の仕事として、テスタの国葬を開いた。その挨拶で民衆の前に立つ。
今回は海外の者たちまで呼ぶことなく王国の民だけで行われる。
「王国の英雄が死んだ!」
ユーシュン王の顔には涙が流れていた。
「我々にとって、新たな導き手であり、多くの活躍をしてくれた者が死んだのだ。それはなぜか?」
民衆はユーシュン王の言葉を待って固唾を飲む。
「全ては魔王に繋がっている」
「魔王?」
ざわざわと魔王という言葉が広がっていく。
「魔王は昔から各地に災いの種を蒔いていた。その一つによって英雄テスタは死んだのだ。英雄テスタがデスクストス領内で、秘密に近づくと魔王は自らテスタを襲って傷を負わせた。だが、それでも英雄テスタは秘密を暴き、人々の脅威を払ってくれた。自らの命と共に」
ユーシュンは、魔王という最後の脅威を排除するために民衆を味方につけようとしてくれている。
「そして、その意思を継ぐ者に我は王位を譲ろうと思っている。数年前、テスタの指示により葬儀を行われ表舞台を去ったリューク・ヒュガロ・デスクストスだ」
ユーシュンに呼ばれてボクは空から降り立つ。
ボクを見た民衆は「天使様?」「あれは! 神だ」。
ボクの横にはアイリスとエリーナが寄り添う。
「彼は秘密裏にテスタの影として、皇国、帝国との戦いでも活躍をしてくれていた。だが、テスタが表舞台を去った今。新たな指導者として彼には表舞台に戻ってもらう。そして、皆の者たちには我が妹の夫なり、時代の王となるリューク・ヒュガロ・デスクストスを支持してもらいたい。リューク、皆に声を聴かせてやってくれ」
ユーシュンに促されて、ボクは民衆の前に立つ。
「リューク・ヒュガロ・デスクストスです。ボクのことを覚えてくれている者たちもいれば、全く知らない者もいると思う。だから、ボクから言えることは一つだけにしたい」
ボクの言葉に民衆は固唾を飲んで見守る。
「ボクは魔王を倒します。皆さんには、ボクが魔王を倒す露払いをお願いしたい。魔物をみんなで払いのけて欲しい。魔王は魔獣を生み出す力を持ち。各地に強力な魔物を召喚して封印していると思われる。ここには王国の民が集まっているが、教国の信者たち。帝国の留学生。皇国の同盟者よ。ボクの言葉を伝えてほしい」
ボクはゆっくりと宣言した魔王討伐に向けて皆んなにお願いする。
「魔物を倒せば倒すほど、魔王の力を削ぐことができる。だから出来るだけ多くの魔物を倒して欲しい。強い魔物は協力して倒し、弱い魔物でも油断しないでほしい。みんなの力をボクに貸してほしい。どうかお願いします」
ボクはユーシュンでも、テスタでもない。
だから彼らに出来るのは命令ではなく、お願いだ。
誰かもわからぬ者の命令など聞きたくは無いだろう。
だが、頼みとして覚えてくれるだけでいい。
「ボク一人では魔王を倒せない。みんなの力で魔王を倒す英雄になってください!」
ボクの声に対して、それまで呆然と聞いていた民衆が熱を持って歓声を上げ始める。
「「「「「リューク! リューク! リューク!」」」」」」
ボクは挨拶を終えてユーシュンへ席を譲る。
「英雄テスタは死んだ。だが、新たな英雄となるリュークがいる。そして、民よ。貴殿たちが次なる英雄だ」
ユーシュンの言葉を最後にテスタ・ヒュガロ・デスクストスの国葬を終えた。
テスタの遺体は、サンドラ義姉上、ビアンカ義姉上と共にデスクストス領へ輸送されて埋葬された。
同じ墓にはサクラさんも入れられて、家族だけで埋葬された。
さらに、ユーシュン王は、王位をボクへと譲り、アレシダス王家とデスクストス家の初めて婚姻が結ばれた。
アイリス、義母上が家族として参列して、挙式と婚姻は行われた。
王都の民に歓迎されるパレードが開かれて、正式にボクはアレシダス王国の王を継承した。
「リューク王。人事については本当にこれでよろしいのですか?」
「ああ、ボクの王としての時間はそれほど長くはない。だけど、その間にできることは全てしておきたい」
「かしこまりました。それでは全ての大臣を発表いたします」
「うむ。頼んだ」
ボクは自分にとって必要な人材を求める形で、大臣たちを任命した。
◆国王――リューク・ヒュガロ・デスクストス・カリビアン・アレシダス。
◆国王補佐――ユーシュン・アレシダス
◆宰相――タシテ・パーク・ネズール
◆元帥――バドゥ・グフ・アクージ
◆参謀――セルシル・コーマン・チリス
◆軍務大臣――ガンツ・ソード・マーシャル
◆財務大臣――オリガ・ベルーガ
◆外務大臣――アイリス・ヒュガロ・デスクストス
◆内務大臣――カリン・シー・カリビアン
◆国教教主――チューシン・ドスーベ・ブフ
◆近衛隊長――ダン・D・マゾフィスト
◆国王秘書――シロップ•シーカリビアン
それぞれの長官が決まり、補佐となる者たちは各部門の大臣たちが指名して、いく方針が取られてた。
能力や実力などをユーシュンやセルシルがまとめたものを各部門の大臣に配られて、人材確保が行われた。




