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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
最終章

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王都デスクストス家

 ボクはエリーナの氷魔法で、テスタ兄さんとサクラさんの体を凍らせてもらった。


 アイリスがいるヒュガロに立ち寄って、プラウド父さんを倒したこと、テスタ兄さんが死んだことを話した。


「そう、家族が死ぬということは悲しいことですの。あなたが二人から愛していると伝えられてよかったですの」


 アイリスはそっと立ち上がって窓の向こうを見た。

 彼女は涙を見せることはないだろう。

 だけど、その背中は泣いているように見えて、ボクはアイリスの背中を抱きしめた。


「私は、あなたが生きて帰ってきてくれてよかったですの。二人が死んだことは残念ですの。だけど、それだけ大変な状況でよく生きていてくれたんですの」


 彼女はボクの帰りを喜んでくれた。


 アイリスを連れて、ボクらは王都に向かうことにした。

 テスタ兄さんを送るためだ。


 オウキに引いてもらう荷馬車に乗っている間は、アイリスが膝枕をしてくれた。

 

 王都に着くと、アイリスを先頭に王都へと入る。

 デスクストスの屋敷に入ると、使用人やビアンカ、サンドラ、義母上まで全員が頭を下げた状態で待っていた。


 使用人がテスタ兄さんとサクラさんを運んでいく。


「ただいま帰りましたの。お母様」

「ええ、よくぞ当主様を連れて帰ってくれたわね」

「ですが」

「わかっているわ」


 アイリスが話していた義母上の視線がボクへと向けられる。


「リュークですね。仮面を外していただけますか?」

「はい」


 俺はバルニャンの仮面を外す。

 使用人からビアンカたちも納得した顔をしている。


「おかえりなさい。そして、今後はリューク様がデスクストス家の当主として継承をお願いします」

「なっ!」

 

 義母上の言葉にボクは驚いてしまう。


「どうして?」

「すでにこれは前当主であるプラウド。現当主であるテスタ。両名の意向にございます」

「そんなバカなことがあるはずがない」

「いいえ、テスタに何かあった場合、リュークをデスクストス家の全てを権利を与えるとプラウドが残した言葉です。そして」


 義母上の視線がビアンカへと向けられる。

 前回期待時よりも身重になっているビアンカは出産を控えているのがわかる。


「テスタ様より、前回リューク様がお手紙をお持ちいただいた際に、もしも自分に何かあった場合には全ての権利をリューク様に譲ると遺書を残されておりました」


 ここでもか、プラウド父上、テスタ兄上はちゃんと貴族として未来を見ていたのだ。ボクはこの世界の貴族としてまだまだ彼らのプライドを理解していなかった。


「リューク様が生きていたこと心からお喜び申し上げます」

「「「「お喜び申し上げます」」」」


 ビアンカの言葉に執事やメイドたちが従っていく。


「……わかった。ボクがデスクストス家を継ごう」


 その方が王になった際に力を使い易いだろう。。


「それでは我々はこれからどういたしましょう」

「どうするとは?」

「すでに死を覚悟をしております」

「どういうことです母上?」


 ボクは本当にわからないと思って、問いかける。


「これまでのデスクストス家での我々がリューク様にしてきたことは、リューク様にとっては最低であり、最悪なことだったでしょう。プラウドはあなたに支援を続けた。テスタはあなたを自由にさせていた。アイリスはあなたを愛した。だけど、私や従者たちは、あなたに対して愛情を向けることも、まともに接することもなかった。むしろ、あなたを虐げてきた。当主になられたあなたによって処刑されることも覚悟しております」


 デスクストス家の色々なところに歪みがあって、そこには貴族としての矜持やプライドがあるのだろうな。


「わかりました。それでは断罪を言い渡します」

「はっ!」

「母上、サンドラ義姉上。ビアンカ義姉上及び、現在使用人をしている者たちはアイリス姉上の元で、デスクストス領の管理を命じます。ビアンカ姉上を家令として、今後の領地経営をお願いします」

「よろしいのですか?」


 義母上が驚いた顔を見せる。


「ええ、私は虐げられたとは思っていません。離れには住んでいましたが、暴力を振るわれたことも、嫌がらせされたこともありません。色々と大変でしたが、自由で好きにさせてもらったぐらいに思っています。ですから、皆さんも田舎ではありますが、デスクストス領で自由に過ごしてください」

「ありがとう」


 姉上たちの子が大きくなった頃には、デスクストス家を明け渡してもいい。


 彼女たちの引っ越しは数日をかけて行われることになり、ボクらはダンジョンを通じてカリビアン領へ戻ることにした。

 その前に、ユーシュンにテスタ兄さんの死を伝えた。


「そうか」


 玉座に座ったまま力なく項垂れるユーシュンは、テスタ兄さんの死を心から悲しんでいた。


「そして、俺はテスタ兄さんの意思を継ぐつもりだ。王を明け渡して欲しい」

「ああ、それは構わない。だが、一つだけ朕の最後の仕事としてテスタの国葬を行わせて欲しい」

「国葬?」

「ああ、テスタはアレシダス王国の英雄なのだ。皇国、帝国の戦争を勝利に導いてくれたのだ」


 ユーシュンの言葉に、俺はテスタ兄さんの国葬を最後の仕事にすることを承諾した。

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