友人と
エリーナ、アンナを連れてデスクストス領へ向かう前に、ボクはダンとタシテくんの三人で食事会をすることになった。
ダンにルピナスのことを伝えるために、王城に向かうとタシテ君がダンに報告に来ていたのだ。
「こうやって三人で飯を食うために集まるのは、実は初めてなんじゃないか?」
ダンの言葉に、ボクはクウが入れてくれたお茶を飲む。タシテ君はワイン、ダンはエールを飲むそうだ。
ナターシャやハヤセは、今日は同行していない。
エリーナ、アンナも今日はユーシュンへ報告するため一旦王城に帰った。
「そうかもしれませんね。リューク様と食事をするのは帝国の時以来です」
「その前は学園かな? タシテ君とは、3年の時によく夕食を取っていたね」
「はい。あの頃は大規模魔法実技大戦の作戦会議をよくしていましたからね」
「なんだよ。俺は誘われてないぞ」
「ダン。あなたを誘っても仕方ないじゃないですか」
ダンとタシテ君をジュリアの陣営に配置して戦ったのは懐かしいね。
あの頃からすでに3年以上の時が流れた。
王国剣帝杯、皇国、塔のダンジョン、帝国との戦争、本当に色々なことがあった。
「む〜、俺だって、学園時代の思い出を語りたいんだよ」
「あなたは元々マーシャル家の陣営で敵だったでしょうが」
「それはそうだけどよ。姫様はずっとリュークの側にいたじゃないか」
「リューク様の奥方様の多さは王国一ですからね」
ブフ家の九十八人には勝てるとは思えないけどね。
シータゲがいなくなったら暫定二位のボクが王国一のハーレム王になってしまったよ。
「嫁さんは一人いるだけで大変だけどな」
「あなたは特殊だと思いますよ」
「そんなことねぇよ。ハヤセは最高の女だぜ」
「はいはい。それにしてもあなたが近衛隊長とは王国は大丈夫なんですか?」
「へへへ、平民から近衛隊長にまで上りつけたのは俺だけだってガッツ様が褒めてくれたぞ」
ダンが頓珍漢な回答をして、タシテ君が嗜める。
そんな会話を見つめながら、ボクはクウが作ってくれた料理にいただく。
カリンの元で修行をしたという料理の腕は、随分と成長しているね。
「クウ。腕を上げたね」
「お褒めに預かり光栄です」
「えっと、クウさんもリュークの奥さんなんだよな?」
「はい。リューク様にご許可をいただいて末席に添えていただいております」
考えてみれば、アレシダス王立学園や、旅に出る際にはクウがほとんど一緒にいるように思えるな。
ウサギのメイドにいつま付き従ってもらっている。
「なぁ、リューク」
「なんだ?」
「嫁さんがいっぱいいるってどんな気分なんだよ」
「うん?」
「それは私も気になるかもしれません。ナターシャ一人でも私は手に余ると思っておりますので」
「そうそう、ハヤセだけでも俺は手一杯だ」
既婚者の男が三人集まると、こういう話が多くなるのかな? だけど、ボクはほとんどが苦労を知らない。妻たちが全てやってくれるからね。
「ボクは特別何もしていないよ。妻たちが全てしてくれるからね」
「おいおい、そんなはずはないだろ? ハヤセは家のことを手伝わないとすぐに怒るぞ」
「ダン、君のところとリューク様を一緒にするんじゃない。私も貴族の端くれだからわかるが、私も家のことは使用人に任せている。ナターシャがそれで怒ることはないぞ」
「うっ、確かに近衛騎士になって、帝国でも貴族階級をもらったが、うちはそれほど大きな屋敷じゃない。一応、使用人も雇っているが、家のことはやれって言われいるぞ」
所帯染みたダンの言葉にボクは笑ってしまう。
不意にダンの矛先がクウへと向けられる。
「なぁ、本当にリュークは家では何もしないのか?」
「そうですね。リューク様が家のことをすることはないと思います。ですが、幼い頃から全てのことができたリューク様は、料理、美容、運動、勉強、雑学、様々な知識が全て完璧です。私たちが何か相談すると、リューク様が知恵を授けてくれるので、その頭脳を持って働いてくれていると言っても過言ではありません」
クウの言葉にタシテ君は何度も頷き、ダンは何やらプルプルと震えていた。
二人とも酒が進んでいる様子だ。
ダンはエールを5杯ほど、タシテ君はワインを一本空けて二本目を飲み始めた。
「理不尽だ!!! 頭がいいやつはそれだけで得をするのかよ!」
「それはそうでしょう? あなたが体を使って近衛騎士としてのし上がったことは十分に凄いことです。ですが、私たちは生まれつき貴族として、人の上に立つように教育されてきたのです。リューク様のように圧倒的なカリスマを持つ王者となられる方は、クウさんが言うように頭脳だけでも頼りにされて、十分だと思われるのですよ」
ダンとタシテくんが睨み合うように言い合いを始めてしまう。
帝国の戦いから、二人は随分と仲良くなったようだ。
最近は、ボクがいなくても、二人で情報交換も行っているようで、かなり距離が近くなっている。
「二人は随分と仲が良くなったね」
「「仲良く、ねえ」ありません」
うん。仲良しだよね。
ボクは同級生であり、二人が楽しそうにしている姿を見ながら、クウの作ってくれた料理を堪能して夕食会を楽しんだ。




