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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
第十一章

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デスクストス長男 4

 ルピナスとの戦いはボクにとっては一番戦い辛い相手だった。

 ボクは子供の頃から体を鍛えてきたが、戦闘だけで化け物の相手ができるとは思っていない。


「やっぱりボクは魔力がある方がいいな。ハァ〜疲れた」


 バルニャンに乗って飛び上がる。

 バルも魔力が枯渇しているので、ノロノロとしたゆっくりした動きでなんとはデスクストス領ヒュガロへ帰ることができた。


 部屋に帰ると夜になっていて、ココロやクロマは寝ついていた。

 アイリス、リベラが待っていてくれて出迎えてくれる。


「おかえりなさいですの」

「おかえりなさい。リューク」


 ピンクとブルーの髪をした二人は夜でも華やいで見える。

 美しさはアイリスが圧倒的ではあるが、リベラは歳を重ねるごとに綺麗になっていく成長が楽しみな女性だ。


「どうやら大変そうだったみたいですの」

「ああ、魔王軍の幹部が来て遺跡の力を盗んで行ったようだ」

「遺跡の力ですか?!」

「ああ、今後は世界にとって危険な存在が増えた」

「リュークが逃すなんて珍しいですの」


 ボクは相手についてデータをまとめて二人に伝えておく。

 アイリスにはデスクストス家から王国に伝令を送ってもらい、さらに全世界にルピナスの情報を伝達してもらう。

 村や町単位で襲われればかなり危険な存在なので、戦う者は限定しなければいけない。


 現在の世界で戦えるとすれば、チームを組んだSランク以上の冒険者が10名以上で組まなければ危ないレベルであることもまとめて報告しておく。


「ボクは疲れたからね。もう寝るよ」

「ええ、休んでくださいですの。テスタ兄さんも落ち着きましたの」

「そう。よかったね」


 アイリスに見送られて、リベラと共に寝室へと入っていく。



《sideテスタ・ヒュガロ・デスクストス》


 またこの場所に来てしまった。


 長く続く道の先、ただ、蜷局を巻いた蛇が寝ている。


『ふふふ、あなたは弱いわねぇ〜』


「うるさい。魔王の出現など誰が予知できるか?」


『そういうことじゃないわよ。もしも、あんたの弟なら、仲間を守った上で、相手も倒していたわよ』


「リュークがだと」


『ええ、実際、あんたが倒れた傷をあの子が治してくれたわよ。それに本来はあなたが排除しなきゃいけない。魔王の手下もあの子が追い払ってくれた。やっぱりあなたよりもあの子の方が優秀ね』


 我は自分の拳を握りしめる。

 久しぶりに感じる嫉妬心は、かつて常に持っていた物よりも遥に強い炎となって我の心を燃やしてくる。


「何が足りぬ? 魔王にも足りない物があると言われた」


『あら? あなたは父親から受け継いだでしょ。その記憶を』


「……ダンジョンか?」


『ええ。そうよ。あなたは《嫉妬》の力を半分しか飼い慣らせていない。魔王も、あなたの弟もあなたよりも優秀に飼い慣らしているのに、あなたの父親は取り込まれ、あなたは飼い慣らすこともできていない』


 父上の最後を思い出す。


 リュークが調べた遺跡の最新部にて、玉座に座り遺跡ダンジョンへとその身を捧げられた。そして、遺跡ダンジョンを封印してしまった父上。


『本当に封印されているのかしら?』


「何?」


『力は漏れ出てしまっている。魔王に対抗するために力を使いすぎて封印に綻びが』


「それならば」


『どうするかはあなた次第』


「失せよ!」


 我は大蛇を払いのけるように腕を振るって目を覚ます。


 ヒュガロの街にある屋敷で俺は目を覚ました。


「テスタ様!」


 護衛騎士が我の目覚めに驚き、すぐに医者を呼びつける。

 回復術師に医師がやってきて、状態を見るが異常はなく全て良好だと説明を受けた。


 その後で、アイリスとリュークがやってきた。


「テスタ兄さん。よかったですの」

「テスタ兄さん。無事で何よりだね」


 二人が並んで我を見ている光景は初めてだった。


 兄姉弟がこうして揃ったのは、実は今までなかった。


 だから、我は今まで閉ざしていた口を開く。


「二人に伝えておきたいことがある」

「どうしたんですの?」

「……?」

「これはデスクストス家の呪いだ」


 我は、父や家族に毒を持った理由。

 そして、これまでのデスクストス家の歴史を話すことにした。


「デスクストス家は、魔王より家を受け継ぐ一族であることは二人とも知っていることと思う」


 オリガ・ベルーガによって、すでに二人には歴史が語られていることは聞いている。


「知っておりますの」

「うん」

「それだけではないのだ。我々デスクストス家は、父プラウドの代に《傲慢》大罪属性魔法を宿した父は、その性格と蛮勇を持って魔王に挑んでいた」


 若かりし頃の傲慢な父上は、魔王に挑み敗れたのだ。


「どういうことですの? そんな歴史は残されていませんの。それに、父上は生きておられましたの」

「ああ。だが、それは魔王の気まぐれであり、呪いが関係している」


 確かにベルーガ家と並んで、デスクストス家は魔王の家を濃く受け継いでおり、出生に伴い《大罪》魔法所持者が生まれやすい家系ではあった。


 だが、同じ世代に三人も生まれたことは稀であり、また生まれた子供、産んだ母を殺す蛮行を起こすことこそが魔王の呪いなのだ。


 大罪魔法に関係した者を殺す。


 それも各自に反抗を行うまで、その呪いは実行され続ける。


「我も、アイリスも、リュークも、父上に一度は殺されかけている。我は母上とゴードン侯爵に守られ。アイリスは実行を命じられたメイドに守られ。リュークの母は死に。リュークは本来死ぬはずだった毒を己で克服した」


 我は父上が話なかった真実をアビスによって知ることになった。


 父上が毒を持ったのは、理由があると思っていたが、まさか魔王に敗北して呪われていたからだとは知らなかった。


「そうでしたの」

「……」

「そして、我々もまた子を殺す呪いに冒されている。魔王を殺さなければ、一生呪いは我々デスクストスについて回るのだ」


 そのためにも我はもう一度父上に会わなければならぬ。


 遺跡ダンジョンにいく必要があるのだ。

 

 

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