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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
第十一章

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兄弟

 テスタ・ヒュガロ・デスクストスが大きな怪我を負ったと連絡が来たのは、ボクが調査を終えてカリビアンに帰ろうかと考えている時だった。


「リューク! 兄さんと数名の騎士がこちらに運び込まれてきますの! 手を貸して欲しいですの!」


 アイリスの申し出に応じて、ボクらはテスタ兄さんが運び込まれてくるのを待った。

 最速で運び込まれてきたテスタ兄さんは、意識を失っており全身に火傷を負っていた。


 傷ついた騎士たちはテスタ兄さんによって守られたと声を揃え、魔王の出現と、テスタ兄さんが一人で撃退したことを報告した。


 この世界最強と言われる魔王と、この世界のボスであるテスタ兄さんが戦うシナリオはどこにでも存在しない。

 だが、その戦いはまさかの引き分けと聞いて、魔王の力が衰えているのか、それともテスタ兄さんの力が強くなっているのか、明らかにバランスが崩れている。


「これはいったいどうしたんですの!?!」


 アイリスは運び込まれてきたテスタ兄さんの姿に呆然とする。

 全身の半分が焼けて、その姿を保てていない。


「アイリス、大丈夫だよ」

「本当ですの?」

「ああ、任せて、ボクがこの場にいてよかった」


 サポートにミリルがいてくれたらもっとよかったけど、ここにダンジョンが無い以上ワープすることはできない。


 だから、ここはボクの全力でテスタ兄さんを助ける。

 今の悪巧みをしていないテスタ兄さんは、アレシダス王国に必要な人間だ。


 テスタ兄さんがいなければ、ボクに仕事が降りかかってくる恐れある。


「ボクが最初に覚えた魔法は自分を癒すための回復魔法だった。それから、ボクにとっては一番身近で、一番得意な魔法なんだ」


 焼け爛れた皮膚を取り除くのに痛みを感じないために、スリープで強引にテスタ兄さんを寝かしつけて、焼けた箇所を削ぎ落としていく。


 顔の半分の皮膚が剥がれて肉が見えているテスタ兄さんに回復魔法をかけて、皮膚を再生させる。


 右の毛までは全て戻すことができなかったけど、テスタ兄さんの姿が元に戻っていく。右半分を焼かれて失いかけていた体は全てが元通りになり、緑色の美しい髪が一部失われてしまった。


「ううん、ここは?」


 スリープを解いて、テスタ兄さんのベッドで目覚めさせる。


「テスタ兄さん」

「アイリス? それにリュークか」


 目を覚ましたテスタ兄さんが驚いた顔を見せる。


「リュークが兄さんを直してくれたんですの」

「そうか、リュークが」


 テスタ兄さんの視線がボクに向けられる。

 そして、初めて笑みを向けられた。


「ありがとう。リューク。さすがは我の自慢の弟だ。愛苦しいほどに愛している」


 それは意識が朦朧としていたためか、初めて聞くテスタ兄さんからの愛情を含んだ言葉だった。

 テスタ兄さんは、それだけを伝えると目を閉じて自然に眠りについた。

 体力を回復させるために、必要な行動だったのだろう。


「リューク。よかったですの」

「うん。そうだね」


 ボクらは部屋を出てテスタ兄さんのメイドと騎士たちに後を任せることにした。

 目が覚めた時には態度が変わっているかもしれないけど、それでもボクらは待つことにした。


 だが、テスタ兄さんが目覚めるよりも先に、デスクストス領に異変が起きた。


「地震?」

「そんなはずありませんの。ここは自然災害など何百年も起きていませんの。竜脈もありまんから魔力も乏しく。だからこそ、魔物も少ないんですの」


 ヒュガロの屋敷を飛び出して、バルニャンに乗って飛び上がる。


 ボクが見たのはクロマが調べてくれた遺跡が揺れていた。


「なっ!」

「マスター」


 バルニャンの呼びかけに理解する。

 あれは遺跡であると同時にダンジョンだ。


 そして、二つの何かが存在している。


 ボクがダンジョンの存在を感知したと思った瞬間、森がまるでロボットを作り出すように三体の化け物を生み出した。何かを捉え静まる。


「ボクは調査に戻るよ」

「ええ、お願いしますわ。テスタ兄さんのことや、あなたの妻たちは私が守りますの」

「ああ、頼んだ」


 今回は戦闘を補助してくれる仲間はいない。

 面倒だが、ボクが一人で戦闘をしなくてはいけない。


「余計な面倒を起こしてくれるなよ」


 このまま家に帰れると思っていたのに、ボクはバルニャンで遺跡へと向かう。

 だが、ボクが向かっている途中で遺跡が大爆発を起こした。


「なっ!」


 それは近づくことができないほどの炎が吹き上がり、森だった場所は灰へと変わっていく。


「おや? こんなところであなたとお会いできるとはねぇ〜」

「お前は?! ハエ男!」

「誰がハエ男ですか!!! 失礼な奴め。私は《暴食》ルピナス改め、機神の力を手に入れたサイボーグルピナスですよ」

「サイボーグルビナスだと」

「ええ、あなたの名前も聞いてあげましょう。どうやらあなたとは因縁があるようですからね」


 ここに来て意外な相手と相対するとは思ってもいなかった。


 もう、残っているのは魔王だけで、《暴食》と因縁があるのはダンだと思っていたが、ここに来て機神の力を手に入れるにくるとはな。


「ボクはリューク・シー・カリビアン。あまり嬉しくない因縁だな」

「おや、デスクストス領と聞いていたので、てっきりデスクストスの方かと思いましたが、違いましたか。ですがいいでしょう。新たな力を手に入れたのです。あなたで試して差し上げます」

「面倒この上ないね」


 テスタ兄さんと相対した時と同じで、厄介な匂いがプンプンする。

 面倒ごとは避けたいのに、どうして立て続けに面倒な仕事が増えていくのかな?

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