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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
第十一章

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遺跡調査 2

《sideクロマ》


 リューク様に誘われてやってきた遺跡の調査は、私が今までやってきた考え方が全く通じないほどに楽しい場所だった。


 私はこれまで、人の一歩後に立っていた。

 そうすることで、全体が見えて観察することができるからだ。

 

 私の人生は、それほど裕福なものではなかった。

 むしろ、スラム街という中で、なんとか生きていかなければならない状況だった。


 生き残る術を学ぶ必要があった。


 幼いながらにアレシダス王立学園の特待生になるために、少しだけズルをさせてもらった。

 特待生にならなければ、学園に入学することもできなかったから。


 だから、私は人を欺く方法ばかりを勉強してきた。

 リューク様に出会った時、本物を見た気がした。


 男性であれほどの美しさを持ち、強さも完璧。

 考え方も面白い。

 怠惰でいるために、賢くあろうとするなんて普通は思わない。


 人とは違う感性を持つリューク様が私を見い出してくれた。

 今回は他の人たちではなく私を選んでくれたことにも意味があるはずだ。

 ここに連れてきてくれたことが、とても嬉しい。


 だけど、これまで私が培ってきた知識が全く通用しない!


 しかも、私よりも賢いリューク様でも、リベラ姉さんでもわからないなんて面白い。


 これは自分でも知らなかったことだが、私は未知の出来事を解き明かすことが大好きだ。

 それが誰も解けないことだと言われれば、言われるほどに燃えてくる。


 だから、いくらでも突き詰めて時間をかけたい。


「どうだい?」

「そうですね。いくつか共通する絵のような形を見つけることができました。それが何を意味しているのか分かりません。ですから、その形が別の物と掛け合わせられているのを見つけて法則性を出そうと思っています」

「なるほど。ミニミニバルニャンが見つけた古代文字を転送させるようにしよう」


 リューク様も研究肌なので、私が伝えた内容で効率よく調べる方法を探してくれる。


「そういう研究なのですね。面白い。では、私は魔法の観点から、古代魔法や、魔法陣などに使われている文字と整合性がないか確認してみます」


 私では思いつかない観点からリベラ姉さんが探してくれる。


「ココロは、皇国で使われていた文字に似てないか考えてみるね。カスミ」

「はい。ココロ様、私たちにもお手伝いができるといいですね」


 国が違うだけで、王国と使う言語が違う。


 元々王国へ来るために言語の勉強をしていたココロちゃんと、カスミさんは違和感なく王国の言葉を話せるけど、お国柄の言葉も実際に存在している。


 私も他の言語の勉強をしてきた。

 帝国後も、教国の聖典に書かれている言葉も王国とは違いがある。


 それだけ多くの文字が存在しているのだ。


 古代文字の片鱗を重ねられれば、解析の糸口になるかもしれない。


 みんなで考えて、調査をして、生活をすることが楽しくて、いつの間にか解決できないまま日数だけが過ぎていく。


「やった! やりました。一つ目は解析できました」


 単語ではあるが、意味がわかる言葉を見つけることができた。


「やったな!」

「凄いわ、クロマ!」

「やったね」

「クロマちゃん、やりましたね」


 一緒に考えてくれる仲間がいる。

 このことがこんなにも楽しいことだなんて知らなかった。


 今まで、私の世界は一人で全てが完結していた。

 そこにリューク様が声をかけてくれて、エリーナ様やアンナ様。


 クウっていう親友もできて、リューク様の妻として迎えられてたくさんの家族ができた。


「皆さんありがとうございます! 小さな一歩かもしれませんが、私にとっては凄く大きな発見ができたように思います」

「確かに大きな一歩だ。ありがとうクロマ」

「はい! それでは最初にココロちゃんが、見つけた扉に書かれていた言葉ですが、『この地に???が眠る』と読めると思います」

「???の部分はまだ読めないということか?」


 リューク様の言葉に頷いて返事をする。

 多分、名前の部分になるのだが、なんて読むのかわからない。


「何かが眠るということは、ここは墓なのかもしれないな」

「お墓ですか?」


 リューク様の呟きに、リベラ姉さんがすぐに反応する。

 探究心の強いリベラ姉さんは、リューク様の知識を少しでも吸収しようとアンテナを張っている。


 リューク様の周りくどい言い方にすぐ問いかける。


「ああ、かつての王を埋葬する際に大きな墓を作ったという話を聞いたこともある。もしかしたら、ここも機械族文明の王様とかが眠っている墓なのかもしれない」

「墓暴きをするのは罰が当たりそうで怖いですね」


 私の言葉にリューク様とリベラ姉さんが顔を見合わせる。


「何を言っているのクロマ」

「そうだぞ。クロマ」

「「そこにロマンがあるだろ」じゃない」

「えっ? ふふ」


 私は似たもの同士のお二人を見て笑ってしまう。

 そして、二人の気持ちと同じように私も調査をしたい。


「墓暴き、やってやりましょう。まだ解析ができていない古代文字がいつくかありますが、これ以外にも気になる一文も見つけました」


 私が半分ほど解析できた文章を紙に書いてテーブルに広げて見せる。


「目覚めさせてはいけない。この地に眠る者は魔王よりも危険である」


 実際の翻訳とは違うかもしれない。

 だが、現状で読める文章はこれだけなのだ。


「ますます気になるね」


 私が文を読み上げてもリューク様は止まらないご様子だ。


 だけど、私の気持ちも昂っていた。


 もっと調べたい! 


 墓荒らしでもなんでもしてやりたいという気分になってくる。


「調査続行だ! 頼むぞ! クロマ!」

「はい! お任せください!」


 私は自分が古代文字の解析をして、より詳しい情報を得るために研究を続行する。

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