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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
第十一章

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家族の関係

 ジュリアは出産が近づいて、お腹が大きくなった。

 帝国の事務仕事は行いたいというので、ダンジョンを展開して彼女を安全な領域へと招き入れた。


 表に出ているのはクロマで、実際に仕事をしているのはジュリアという二重生活をボクが手伝っている。


「クロマは凄いね」


 プライベートルームに入ってきたクロマの姿は完全にジュリアそのものだ。


「そうですか?」


 凛々しいジュリアの顔で、陽気に返事をするのはどうにも違和感がある


「帝国の女王として過ごす生活はなかなかできないので、楽しいですよ」


 ソレイユとゼファーがフォローしてくれているが、クロマの観察眼はジュリアを再現していた。仕草や癖、口調やちょっとした発言など。近しい者たちですら気づけない微細な動きを表現したクロマの着眼点は異常と言える。


 クロマの性格は、話してみると明るくて面白い。

 他の妻たちと違ってクロマは、リンシャンとは違う形で一歩引いた状態でみんなを見ている。


 エリーナの側にいる時も、アンナとのコンビが結構楽しかったと話をしてくれた。

 その時には二人を観察して、最適解を出して付き合っていたのだろう


「女王の仕事をできてしまうクロマが凄いんだと思うよ」

「そうですか? ふふ、私はこうやってリューク様を独占できている方が嬉しいですよ」


 ジュリアの姿をしたまま、ボクの膝に乗ってくるクロマ。

 ボクの肩に腕を回すクロマの腰に腕を回して抱き寄せる。


「ジュリアの姿をやめてほしいな」

「え〜ジュリア様は綺麗だからお気に入りなんですよ!」

「ごめんね。ボクはクロマの姿が好きなんだ」

「まっ! ふふ、そう言ってくれるのはリューク様だけですよ」


 クロマが元の姿に戻る。

 どちらかと言えば、黒い髪に地味な顔ではあるが十分に綺麗な顔をしている。

 ジュリアの派手な目鼻立ちがハッキリとした顔とは違うが、とても綺麗だ。


「私は顔を変えていることが多いから、本当の自分がわからなくなる時があるんだ」

「クロマはとても魅力的だよ。クロマのことはボクが覚えている、だから今のクロマが一番好きだよ」

「ありがとうございます。リューク様、愛してます」


 ジュリアが出産を終えるまでの数日は、ボクも帝国に在住してクロマに世話をしてもらって、彼女と二人で過ごしていた。


 クロマと二人きりで過ごすのは、初めてだったけどボクを飽きさせない妻たちと違ってあっけらかんとして楽しかった。


 仕事は早く。

 ボクを絶対に動かそうとしない。

 プロ根性のようなスマートさを感じる。


「なぁ、クロマ」

「はい?」


 ベッドの上でクロマに問い掛ければ、ボクの胸に顔を乗せたクロマが答えてくれる。


「もうすぐ、ボクはデスクストス領へ行かなければいけない。その時に一緒に来てくれないか?」

「私でよろしいですか?」

「ああ、君の力は他の者たちとは違う。これまではサポートにばかり回ってもらっていたが、今回はボクのために来てほしい」

「ふふ、嬉しいです」


 ジュリアが出産の時期に入った。

 帝国に残っていた医師やメイドに世話をされていたが、そろそろ出産となれば手伝うつもりだ。


 他の嫁たちに寄り添ってきた実践が活かされる。


 回復術師として体調管理から出産。

 出産後の安定まで母子ともにボクが管理することで負担を少しでも減らしてあげたい。


「ジュリア。よく頑張ったね。女の子だよ」

「ふふ、良かった」

「良かった?」

「ああ、男の子なら世継ぎや戦果と帝国を強くしようと躍起になる負けず嫌いな子になっていたかもしれない。だけど、女の子なら、戦争や政治を知ることなく育ってほしい。ふふ、今更になってカウサル帝王。いや、父上の気持ちがわかったよ」


 子供を抱きながら優しい微笑みを浮かべるジュリアには、これからも困難が待っているだろう。


「リューク。あなたが居てくれて心強かった」


 彼女にとっての英気を養う場所として、ボクが娘のジョアンナを育てながらジュリアの心を支えられたらいいな。


 家族三人で抱きしめあってキスをする。


 ボクらは子供とジュリアの体調が安定するのを待って、リューの街へと帰った。

 ジュリアは一週間ほどで元の帝国女王としての仕事に戻って行った。

 もちろん、傷口など一切なくて体調面もバッチリな状態に戻して、彼女が元気に働けるようにボクなりに心がけた。


「寂しいですか?」


 ジュリアの働く姿を見てから帰ろうとするボクへ、クロマが問いかけた。


「いいや、ボクはたくさんの妻たちに囲まれているからね。寂しいなんて贅沢だよ。それに帝国に来てからはクロマがボクの世話をしてダラダラとさせてくれたからね。ボク自身とても満足だ」

「そう言ってもらえたら嬉しいです」


 普段は接することができないジュリア。

 そして、これまで接触が少なかったクロマと過ごす時間は、リューの街では味わえない時間だった。


 アイリスがデスクストス領で待っているからね。


「帰ろうか」

「はい! 一緒に帰りましょう」


 クロマは嬉々としてボクと腕を組んだ。

 バルニャンゆりかごにジョアンナを預けて、ボクらは帝国を後にしてリュー戻った。



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