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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
第十一章

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幕間 リュークの休日 3

 たくさんの子供たちを寝かしつけたところで、一緒に眠りに落ちていく。


 アカリにお願いして作ってもらった看板に、若い奥様たちが子供を連れてやってくる。


「リューク様! 本日もよろしくお願いします!」

「リューク様〜、うちの子を抱いてください!」

「リューク様の手に触れてしまったわ!」


 獣人や亜人も関係なく、子供を連れてくる奥様方が、子供を預けながらボクの手を握っていく。

 なんでも1日頑張られるご利益があるとかないとか。


 リューに戻ってきたボクは仕事をしている。

 妻たちからは何もしなくてもいいと言われたが、意外にボクは子供が好きだったようだ。


 自分の子たちの可愛さもあるが、リューで働いてくれている者たちの子供を我が子と同じようにスリープで寝かしつけて、預かる仕事を始めた。


「託児所?」

「うん。帰ってきて知ったけどリューって、ベビーラッシュでしょ?」


 そう自分のことで精一杯だったけど。

 いつの間にか、たくさんの子供が産まれてリューの街はベビーラッシュに突入していた。


「子育てをする親が働くのに困ってしまっているからね」

「それはありがたいけれど、いいの?」


 ボクの《睡眠》魔法が役に立つ。

 子供と言っても0歳から3歳ぐらいのお昼寝をしてくれる子を限定にさせてもらった。


 それよりも大きな子はシロップとリンシャンが学校を始めたので、そちらに預けることにした。


 文字や計算を幼い頃から覚えることで、本を読んだり楽しいことがたくさん学べるようになったはずだ。


 メイド隊の一部が手伝いをしてくれている。


「クウ、ユヅキ、カスミ。手伝いしてくれてありがとう」

「いえ、ココロ様も出産が終われば、参加していただけるそうです」

「ミソラ様も学校終わりに手伝ってくださいますから」


 皇国から嫁いできた者たちは、リューの街で仕事を探すのが難しかったので、ボクの手伝いをしてもらうことにした。


 カリンは領地経営。

 シロップはメイドたちの教育。

 リンシャンにはエナガ輸送など。


 皆、忙しい日々の中で子供を産み、教育へ関心を強く持つようになった。


 これからのリューを支えてもらう子供達の未来には必要なことだ。


 ♢


 リューの街に帰ってきて半年が経とうとしていた。

 その間に、ノーラ、シーラス、ココロの出産に立ち会った。


 託児所を作ったことで、回復魔術師として子供と接する機会が増えて、技術が向上した。

 体調変化が激しい子供たち、毎日誰かが熱を出す。

 その度に体調を整えてあげて、眠りと食事をコントロールする。


 幼い間は免疫力が低下するから死亡率が高い。

 それを目の前で管理するこの環境はボクにあっていたようだ。


 体調管理技術が向上したことで、妊娠している三人の出産時のケアもバッチリ行えた。


 ノーラの娘はアーラ。

 ココロの娘はロロ。

 

 そして、ボクに初めての息子ができた。


「シーラス。男の子だよ」


 ハーフエルフの男の子はリュースと名付けた。


「ふふふ、初めてリュークの名前から字をもらえた子ね」

「ああ、シーラスと共に生きる我が子を羨ましく思うよ」

「ハーフエルフだから、私よりも短い人生なのかもしれませんが。家族ができて、一人ではないのだと思うことができて、とても幸せです。リューク。ありがとうございます」

「ううん、シーラスが頑張ってくれたからだよ」


 ボクはシーラスの体を気遣いながら抱きしめた。


 ゆっくりと流れる時間の中で、変化がある日々はボクらの中で尊い時間なんだと思える。

 

 シーラスはエルフだ、


 これから生きる時間はボクではわからないほど途方もなくて、ボクと過ごす時間はほんの百分の一程度なのだろう。その横に少しでも長く子供たちがいてシーラスを支えてあげてほしい。


 子供と妻たちに囲まれて、緩やかな時間が流れるリューの街……。


「リューク」

「アイリス」


 そんなリューの街にアイリスがやってきた。

 一緒にお茶を飲んで、これまでの過ごし方を話した。


「そう、随分と暴れてきたんですの」

「アイリスはどうしていたんだい?」

「わたくしは……デスクストス領を管理していましたの」

「管理?」

「ええ。テスタ兄様が戦争に駆り出されて王都に行かれておりました。お母様はテスタ兄様のお嫁さんたちの教育と王都で贅沢をしていますの。だから、わたくしがテスタ兄様の代わりにデスクストス領を管理していますの。お父様がおりませんの」


 プラウド・ヒュガロ・デスクスト。


 ボクの実の父で、毒を盛って殺そうとした人。

 だが、それは大罪魔法に抗うためだったと、オリガから教えてもらった。


「リュークに見てほしい場所がありますの」

「見てほしい場所?」

「ええ、テスタ兄様がわたくしに隠していて、デスクストス領で発見された遺跡ですの」


 デスクストス領は、ゲームではほとんど出番のない領だ。仲間集めでダンが立ち寄ることもない。


 ゲームとしては、悪役貴族一族の棲家という程度の認識しかない。


「遺跡か……、興味はあるね」

「よかったですの。リュークがこの街でやり残したことがあれば、それを終わらせてからでもいいですの。一度、デスクストス領へ来てほしいですの」

「わかったよ」


 現在は、ジュリアの出産を控えている。

 それが終われば、デスクストス領へ行ってみるとしよう。


「それまではアイリスもゆっくりしていってくれ」

「ふふ、今晩はわたくしの相手をしてもらうんですの」


 アイリスも加わって、ボクの休日も終わりが近づいてきていた。


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