幕間 リュークの休日 1
帝国の宮殿で美味しい果物をいただきながら、僕はクウとクロマにお世話をしてもらう。
久しぶりにのんびりと過ごした時間だ。
それも今日で終わりになりそうだ。
帝国は、ジュリアを盟主として新たな道を歩み始めた。
小国家郡と呼ばれた頃に戻って種族別に土地は返された。
しかし、争いを行なっていた種族や、生活が苦しい種族などもいたので、その辺はジュリアが仲介人となって何度も話し合いが行われた。
ジュリアは約束した通り、話し合いで多くの問題を解決していく。
アンガス将軍やウィルヘルミーナ・フォン・ハイデンライヒ伯爵が武と文に分かれて表ではジュリアの支えとなった。
最初はどうしても情報不足になることが多いため、そこはタシテ君が助力することになった。
ジュリアと親交を深めたナターシャを通して、帝国各地に派遣していた草たち。
帝国の宰相として、三十年かけて築いたシド宰相の功績であった。
草たちを通して、各種族の要求をまとめ、問題を解決していく。
人は力なり。
シド宰相が築いた人脈が、しっかりと根をはって草として成長を遂げていた。
タシテ君やナターシャが引き継いで、ジュリアの部下であるソレイユに引き継ぐ日々を続けられていた。
帝国の草は暗部として活躍していた。
その中には魔族や亜人など様々な種族が混ざっていたことあり。
どんな問題にも対処することができる迅速さを持ち合わせた。
恨みや感情をぶつける者たちの話にジュリアを耳を傾け。
私利私欲に走る者たちをタシテくんとソレイユが秘密裏に始末した。
裏で活躍したエージェントが大勢いたことは、ボクの知らない場所で行われた話だ。
戦場で活躍したタシテ君は、自分自身でも自信がついたのか、ボクに意見を求めることなく率先して、動くようになった。
だが、彼らが帝国を去る際に挨拶に来てくれて……。
「全てはリューク様の望むままに整えさせていただきました。あとは、奥方であるジュリア様と仲良くできる時間も取れるでしょう」
戦争が開始されて、終結から三ヶ月ほどでタシテ君は全ての書類を片付けて自治領へ戻っていった。
不満が全てなくなったわけではないが、それでも帝国としたの立場の確立や各国との連携が取れる程度には落ち着きを取り戻した。
あとは、実際に生活を行う中で、彼ら自信が問題に直面して解決していかなければならない。
帝国を出立することを決めた晩。
「リューク」
帝都マグガルド、宮殿の一室でボクはジュリアと向かい合っていた。
帝国は暖かな気候が少ないため、これから冬が訪れる。
そうなれば、今のような薄い姿で宮殿内を歩くのも難しくなるだろう。
「色々と助かった」
「ボクは何もしていないよ。君が矢面に立って頑張ったから、皆がついてきたんだ」
「それはそうなのかもしれない。だが、私を見くびるなよ。全てリュークが裏から手を回して、三カ国を黙らせ、シド宰相の遺産を使って各種族の望みをまとめてくれていたのだろう」
「全て、ボク以外が動いたことだよ」
「その人たちを動かせることがすごいのだ。結局、アレシダス王立学園であった日から、全てリュークの手の内にいたのではないかと思えてくる」
アレシダス王立学園の食堂街で初めて日。
ボクはジュリアを見て嬉しかった。
イシュタロスナイツ最強の戦術家である彼女と、戦術勝負ができるかもしれないと思ったからだ。
実際に三度、ジュリアとは手合わせをした。
・アレシダス学園の三年生として大規模魔法実技大戦。
・王国剣帝杯で戦術シミュレーションゲーム
・そして、同じく王国剣帝杯で手合わせを行った。
その全てでボクはジュリアに勝利して、ジュリアをボクの元へ勧誘したが、彼女は帝国を捨ておけないとボクを拒否した。
だが、今こうして彼女がボクの目の前にいる。
薄いピンクの髪はショートヘアーに切り揃えられて、誰よりも戦場をかけて指揮をとった体は引き締まっているのに美しく女性らしさを強調していた。
「私が生涯で愛するのはリューク。お前一人だ。だが、私は誰とも結婚をしない。リュークともだ。帝国に残った最後の女王として結婚をしないで生きていく。そうしなければ、我が子は、恨みの対象となってしまう」
「そうか」
「だが、もしも、子供ができたなら、リュークの子として産ませてほしい」
「いいのかい?」
「帝国の民からすれば裏切り行為だ。だが、私にだって一つぐらい大きな秘密があってもいいはずだ。だから、リューク。私に子供を産ませてほしい」
「もちろんだ」
帝国のダンジョンの半分をボクは自分の領土として手に入れた。
いつでもジュリアに会いにくることができるように設定している。
ジュリア・リリス・マグガルド・イシュタロスは、生涯独身だと言われているが、一人だけ子を産んだとも言われている。
だが、ジュリア女王がお腹が大きくなったのを見た者はおらず。
また、出産して産んだ子供を見た者もいない。
《《帝国》》の者で、その真実を知る者は誰一人いない。




