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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
第十章

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天魔対戦 16

 大天使が三人やってきても、ジュリアは一歩も引くことなく戦闘を行っている。


 だけど、このまま何もしないのはボクがつまらない。


 それに今日まで待っていてくれたヒロインがいる。


 アカリだけに、活躍する場所を与えるのは他の妻たちに悪いよね。


「ミソラ、調子はどうだい?」

「兄様! いつでも出撃可能なのです!」


 ドラゴン娘であるミソラは、これまで皇国の湖でのびのびと暮らしてきた。

 ボクの妻として、カリビアン領のリューにきてからは、ユズキとカスミに世話をされながら、ココロと共に暮らしていたが、ほとんど構ってあげられなかった。


「ミソラ、無理をする必要はないが、君は今何をしたい?」

「ミソラは、兄様のために戦いたいです!」

「ありがとう。ミソラ、存分に遊んでおいで」

「わかったのです!」


 青龍の力を使うことができるミソラは、その体を青いドラゴンへ変化させることができる。


 聖なる獣の力を使えるのと同義であり、ただ彼女はまだまだ幼く。

 脇を固めるのはユズキが指揮する竜人族が付き従う。

 コストは天使族と同じぐらい高いが、ミソラの護衛として飛び抜けて腕の立つ者たち召喚しておいた。


 大天使にも負けぬ、こちらの強力部隊だ。


「ジュリア。左翼から竜人部隊が大天使の一人を強襲する。ミソラをフォローしてやってくれ」

「増援感謝! 承知!」


 将軍モードで楽しそうに指揮をとるジュリアの部隊の横から、竜人族が天使巨人を殴り飛ばす。

 キーロを含めた巨人天使たちを、ドラゴンになったミソラが竜人族を引き連れて蹴散らしていく。


「スケルトンに足を止めさせて、ミソラの援護をしているのか、ジュリアは流石だな。これで、ほとんどのスケルトンはジュリア側へ移動できる」


 ジュリアはアカリに預けていない、三万のスケルトン部隊。

 融合させた巨大スケルトン。

 スケルトンドラゴン。


 全てを二体の大天使へ注ぎ込む。


「ジャスティス!」

「ハァアア!!!」


 暴れる二体の大天使が不利と判断して攻勢に出た。

 確かに悪くはないが良いとも言えないな。


「手を貸すかい?」


 ボクの言葉にジュリアは首を振る。


「彼らとの決着をつけるのは私の役目だ。イシュタロスナイツの同僚だ。先輩たちは私が超えていく」


 ジュリアの覚悟に応えてやるだけだ。


「エリーナ、聞こえているね」

「はい! リューク!」

「ダンの援護をしてやってくれ。君たちの戦いはボクもみている。危なくなれば絶対に助ける」

「ふふふ、別のどこかで戦っていることはわかっています。任されましょう」

「ありがとう。君がダンジョンの外にいてくれて助かるよ」


 ダンのことをエリーナたち四人に任せて、代わりに指を鳴らして、ジュリアの部下たちを召喚する。


「ソレイユ、ゼファー、レベッカ」


 ジュリアは召喚された三人に呼びかけて状況を説明する。

 三人は素早く理解して、ジュリアの命令に従ってスケルトン部隊の指揮を取り始める。


 これでジュリアは指揮へ向ける意識を個人の戦闘に向けられる。


 やはり共に戦いなれた者たちが揃えば、ジュリアが自由に動くことができるね。


「三人とも任せました」

「「「はっ!」」」


 スケルトンたちの指揮がジュリアから離れ、三人にジュリアの意思が伝わるようになって、戦局は一気にジュリアたちに傾き始める。


「ジャッ」

「あなた方二人の武器は気持ちとして大きくなった物なのでしょうが、大きすぎます」


 ジュリアの動きはラキエルを吹き飛ばし、ゼラキエルが攻撃しようとするが、あっさりと蹴り飛ばす。


「やっぱり彼の方たちとは違う。やはり真似ただけの存在なのですね。あなた方はジャスティス様でも、イレイザー様でも、どっちでもない。お前たちはただ、形だけを似せただけの存在だ」


 ジュリアは大天使を相手にしても、引けを取らぬほどに強い。


「彼女は強いな」

「ああ、多分ボクのお嫁さんでは五指に入るんじゃないかな?」

「私も負けていられないですね」


 シロップがジュリアに対して負けん気を発揮しているが、ノーラやシーラスの強さは異常だからな。


「ティア」

「はい!」

「君の力を貸してほしい」

「もちろんです」


 ボクの前に出るティアが祝詞を唱えれば、ジュリアの体が補助魔法によって強化される。

 ティアの《聖》なる魔力に全身を包み込まれたジュリアは、一人で大天使二人を圧倒していく。


「スターシューティング!」


 上空にいるジャスティスへジュリアの飛び蹴りが襲う。蹴りを受けたジャスティスが空から急速落下して、一撃で消滅した。


「ふむ。聖女の補助魔法は凄いな。普通に補助魔法をかけてもらうよりも数倍効果が高い」


 ティアの補助魔法によって、ジュリアがもう一人のイレイザーも葬り去る。


「ありがとう、ティア。戦闘能力ではなく、君がここにいてくれることに感謝する」


 ボクは補助魔法を使ってくれたティアにお礼を伝えて、耳元に口を寄せる。


「ティア、愛しているよ」

「まぁ、先ほどは言ってくださらなかったのに、現金なところも大好きですわ」 


 ティアはボクの言葉にモジモジと嬉しそうな顔を見せる。


 ボクの視線はミソラへ向けられた。


 しかし、空が光に包まれる。


「リューク!」

「ああ、わかっている」


 ボクはジュリアやミソラを強制転移させた。


 流石にあれだけのスケルトンを救出することはできなくて、DMPの消費が激しいものを優先させてもらった。


「デストロイ!!!」


 巨大な槍が莫大な力を生み出して、スケルトンを吹き飛ばしていく。


「おいおい、脆すぎるだろ!」


 五万まで増えていたスケルトンたちが、ウリエル一人に滅ぼされる。


 イシュタロスナイツ第一位アウグス。


 先ほどの二人とは次元が違う強さに戦場の空気が一変する。



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