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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
第十章

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天魔対戦 15

 アカリの作った新兵器によって、数名の天使が撃墜されてスケルトンたちの餌食になっていく。


 天使たちは基本的に上空から魔法や矢を放って攻撃をしてくる。


 それに対して、スケルトたちは地上から魔法と矢を放つが、威力は天使たちの方が圧倒的に強い。


 スケルトン魔導士が五人分の魔力を一つに合成して放てば、天使一体分と同等の威力を発揮できる。


 弓も格の違いを見せつけられている。天使が放つ矢は一撃でスケルトンたちを撃破していくのに対して、100本の矢が刺さっても天使は死なない。


 だが、これはDMPの消費で考えれば少し話は違ってくる。

 

 スケルトンはほとんど皆無と言っていい程度のDMPの消費で召喚できるが、天使はかなりの消費量が多くて一体生み出すために、スケルトン1000体を生み出す方が効率がいい。


 質と量はどっちが良いのか? 


 量は暴力だと言われるが、ボクが12000人を相手に倒せるような質もあることを自分がジュリアに見せた。


 だが、ジュリアは相手の力量を正確に判断して、天使を追い込んでいっている。


 1000人の天使と2体の大天使。


 アカリの新兵器とスケルトン部隊による削りは完全に1000体の天使たちを減らしていっている。

 さらに、ジュリアが2体の大天使たちを牽制するようにスケルトンの数を一万から減らさないように常に数を意識しているのが伝わってくる。


「ジュリアは綱引きが上手いな」

「綱引き?」


 ボクの呟きに、シロップが反応する。


「ああ、相手の力量がわかっているから、数の力によって進ませないようにしているんだ。その間にアカリが作った新兵器で天使を減らしていっている」

「なるほど、強い者を邪魔して他の天使を排除するという綱引きなのですね」

「そうだ。質と量は確かに大事なことだ。だけど、駆け引きをしない相手は戦略とは言えないからジュリアにとっては初心者と戦略ゲームをやっているようなもんだろうな」


 相手はガンガン攻めては来るが、搦め手も、カウンターもやりたい放題だ。


「さて、本当にこのまま終わるのか?」

「リュークは楽しそうだな」

「そうかい? うーん、そうなのかもしれないな」


 実際に天王という存在はいたが、このようなダンジョン侵略という形で天王と対峙する場面は存在しない。

 

 魔王と対峙する際に神として後ろ盾になって助力をしてくれる存在なのだ。


 だからこんな形で対峙できるなど思ってもいなかった。

 ダンにしても、《暴食》のルピナスにしても、天王やお姉様にしても、ボクが本来殺されるはずだった二十歳の時を超えた。


 今では子供が産まれ、ヒロインたちと結婚して幸せな日々を過ごす。


 この未来には、リュークが存在しないはずだった。


 だからこそ、ボクはボクの知らない世界を歩んでいるんだと思える。


「ねぇ、リンシャン」

「なんだ?」

「シロップ」

「はい!」

「愛しているよ」

「なっ、なんだいきなり! まぁ私も愛しているぞ」

「もちろんです! 私の全てはリューク様のために存在しています」


 二人の返答にボクは満足していると。


「あの〜」


 聖女ティアが手を上げる。


「うん?」

「私も名前を呼んで愛しているって言われたいです!」

「うん? あなたは?」


 シロップが問いかける。

 アレシダス学園でも接点のなかったシロップは、聖女ティアと初対面だ。


「私は、教国で聖女を名乗っております。ティアです。この度、リューク様に妻として迎えていただきました」

「うん? リューク、またか」


 リンシャンが腕組みをしてやれやれと首を横に振る。


「さすがはリューク様です! 英雄は色を好むですね!」


 シロップはボクの全てを肯定してくれるので、尻尾をブンブンと振って嬉しそうだ。


「ティア、彼女たち二人はボクにとって特別でね。少し思い出して感情を向けてしまったんだ。シロップが幼いボクを一人で守ってくれた女性だ。リンシャンは敵対する家で生まれたにも関わらず、ボクを支えてくれた」

「そうだったのですね。私はまだリューク様と過ごした時間が少ないので、うらやましく思います」


 ティアは悲しそうな顔を見せる。


 ボクが特別だと伝えたことで、二人は嬉しそうな顔を見せてくれる。


「おや、動きがあったようだね」


 ボクの言葉に、視線が戦場へと向けられる。


 そこには巨大な大天使キーロが現れて、スケルトンたちを蹂躙していく。

 キーロは、巨人族の体をもつ天使たちを引き連れて、空を飛ぶのではなく重戦車のようにスケルトンたちを地上から蹴散らしていく。


「ほう、力押しなのは変わっていないが、攻め方を変えてきたあたりは、ジュリアも工夫が必要になるな」


 スケルトンでは巨人を止めることはできない。


「リューク!」


 ジュリアから念話が飛んでくる。


「なんだい?」

「ドラゴンスケルトンは出せるか?」

「もちろんだ」

「なら、魔物たちのスケルトンを頼む」


 やはりジュリアは面白い。


 頭の回転が良くて、ボクの思考に似ているから、任せていても安心できる。

 ボクは目録を開いてジュリアの元へスケルトンドラゴンや、スケルトン巨人をどんどん生み出していく。


 スケルトンドラゴンたちはジュリアの思う通りに動くというわけではなく、簡単な命令しか聞いてはくれない。


 DMPの消費は激しい割には、あまり使い勝手が良くない。


「さて、どうする」


 ジュリアにもスケルトンたちの目録を渡したことで、スケルトンを進化させていく。


「ほう」


 DMPの消費は少なく、コスパ良く強力な魔物を生み出すのは融合させることが一番だ。


 巨人族には融合させて巨大化させたスケルトンとスケルトンドラゴンに協力させ、巨人天使を相手させる。


 スケルトン巨人を、空いた穴に埋めさせて、飛んでいる天使を掴まえさせる。


「やられたことをやり返す。スケルトンを巨人でやられたから、スケルトン巨人で天使を倒すか」


 面白い戦い方をする。


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