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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
第十章

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12000人組み手

 帝国の将校たちが納得すれば、それでいいかと言えばそう簡単なことではない。

 だから、ボクは帝国兵12000人に力を示すことにした。


「好きなだけ相手をしてやる」


 日が昇り帝国兵たちに向かってボクが宣言した。

 クマのおかげで、体の怠さは感じない。

 むしろ、今が絶好調で動かしたいと思っていた。


 バルニャンに身を預けて、オートスリープは使わないままどれだけできるのか試したいと思っていたんだ。

 だから、これはボクの力をボク自身が知るための運動だ。


「本当によろしいのですね?」

「ああ、始めてくれ。このほうが双方遺恨なく認め合えれるだろう」


 顔を出してもよくなったエリーナは、アンナとクロマと共にパラソルの中でお茶を楽しみながら観戦してくれている。

 クウだけは、ボクのお世話するために控えている。


 帝国陣営の奥では、ジュリアとソレイユが観戦するためにパラソルを用意した。


 彼女たちに見守られながら、帝国は二人の将軍が指揮をとる。


 たった一人を相手に指揮も何もないが、タシテ君とナターシャ。帝国軍の回復術師が衛生兵として控えている。


 ボクはいつも魔法で解決してきた。

 だから、たまにはいいかな。


「バルニャン。バトルフォームに移行。意識はクリア。戦闘はオートで、誰も殺さないように気をつけてね。骨折ぐらいなら、ボクが後で治すから」

「(^O^)/」

「いつでもいいよ」

「それじゃまずは俺が!」


 先ほどジュリアと共に天幕に現れた歩兵隊の隊長が突進してくる。

 動きが早く。格闘センスも申し分ない。

 魔法で身体強化もかけているからかなり強い。


「オラ!」


 だけど、それでもボクの方が速い。


「グハッ!」


 ゼファーを皮切りに帝国兵がボクへ向かって突撃をかけてくる。


 前代未聞未聞だろうな12000人対1人と1体の戦闘は。

 ずっとしたかったバルニャンの対人戦への試運転には丁度いいね。


 そこからのバルニャンは切っては投げ、投げては殴る蹴るを繰り返して12000人が倒れるまで続けられた。


 途中で魔法隊やら砲撃隊やらの遠隔攻撃や、隊列を組んだ魔物対抗手段なども使われたが、飛んで跳ねて走りまわるバルニャンを止めることは不可能だ。


 ボクは意識下で魔力吸収に集中していれば、魔力切れになることもないので、バルニャンは永遠に動き続けられる。

 疲れれば回復魔法と、栄養補給を行いながら倒す余裕まで出てきた。


 12000人を倒すのにかかった時間は二時間ほどだ。


 実際は離れた敵を追いかけたり、放たれた魔法に対処したりと手間がかかったところがある。

 一撃で倒せる魔導士などは近づいてしまえば、三人を一撃で薙ぎ払うことができる。


「ふぅ〜いい運動になったね。もう二度としたくないけど」


 やってみてわかった。

 物凄く疲れるし、時間の無駄だ。

 やっぱり眠っていても自動で敵を排除してくれるオートスリープで十分だと思う。


 帝国兵に力を見せつけたことで、恐怖対象認定をされることになった。

 密かに熊魔人バルニャンと呼ばれているのが聞こえてきた。


 ヘンテコな熊のヘルメットをつけていたからふざけていると思われたのかもね。


 言うことを聞くようになった帝国兵たちを引き連れて、バルニャンが確認した巨人を探しにいくことにした。

 爆発が起きた場所の周辺は人がいなくなっており、巨人が何かを知っていることは間違いない。


「おっ、お疲れ様です!」


 一番最初に特攻をかけてのされたゼファーは、何故かパシリのような態度でペコペコとするようになった。

 アレシダス学園に格闘部とかいう部活があれば、後輩ってこんな感じかなぁ〜と思ってしまう。


 副官のソレイユさんも「規格外すぎる」と頭を抱えてボクに対しては、慎重に言葉を選ぶようになった。

 レベッカと言われる砲撃隊隊長だけは、何故かボクに目線を合わせない。


「クマがクマが襲ってくるんだよ」


 バトルフォームのバルニャンに恐怖を覚えてしまったようだ。

 見た目は可愛くしたのに残念だ。


「ふぅ〜いい汗をかいたね」


 ボクはクウにマッサージをしてもらいながら、ジュリアを出迎えた。


「巨人族について知っている者に心当たりがある」

「知っているものねぇ〜」

「イシュタロスナイツ第二位アンガス殿ならば、その巨人のことを知っているかも知れないと思ったのだ」

「アンガスか」

 

 ボクらが帝国から逃げる際にアンガスをおちょくってきた。

 確かに巨人のことを聞くのに最も最適な人物にだと言える。

 それにジュリアがいれば、アンガスも話を聞いてくれるかも知れない。


「わかった。アンガスを探そう」


 ボクらは帝都に潜入して、アンガスたちから逃げたことを告げた。


「それは何かおかしくはないか?」

「おかしい?」

「ああ、あのシド殿がヘマをするはずがない。あなたたちを逃すなど……」


 ボクの評価では、シドはそれほどの人物ではなかった。

 宰相としては優秀なのかも知れないが、強そうではない。


「他に気を取られていたんじゃないのか?」

「そんなことが、あの人にあり得るのだろうか?」

「それほどまでにシド宰相は凄いってことか?」

「ああ、悪いが、リュークよりも私は未だにシド宰相の方が怖い。あなたは強い。だけど、強さには色々な物があると思うのだ」


 ジュリアがそれほどまでに信頼する人物。

 それがイシュタロスナイツ第零位のシド。


 帝都であった時にはそれほどの脅威は感じなかった。


「帝国が支配しているダンジョンのほとんどを所有しているのがシド宰相だと言えば、リュークは分かるんじゃないのか?」


 ジュリアの発言を聞いて納得はできる。

 だけど、どうしてダンジョンマスター同士が出会った際に現れる。


 ダンジョンを侵略するための文言が現れなかったのだろうか? ボクはそちらの方が気になった。

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