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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
第十章

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帝都マグガルド

 イシュタロスナイツ第二位のアンガス・イェーガー将軍自ら出迎えに来たことで、ボクは聖女ティアと別行動を取ろうと思っていたのに上手くいかなかった。


 帝都マグガルドの近くまできてしまっていた。


 遠くからでも見える帝都は、王都アレシダスが三つは入りそうなほど規模が大きい。


「どうだ? 聖女ティア殿。帝都は教国のアクアリーフが三つは入りそうであろう」

「そうですね、アンガス殿。とても規模の大きな都市です。初めて見るので圧倒されてしまいますね」


 帝国の将軍であるイシュタロスナイツの相手をするのに、聖女が話し相手にならなければいけないため、聖女ティアは荷馬車から馬車に乗り移り、その横をアンガスが並走している。


 さらに教国の一団を取り囲むように帝国の兵士が五十名ほどで隊列を作っていた。


「敵襲!!!」


 そんな八十名弱の一団を襲う者がいるのかと思ったが、荷馬車から顔を出せば、ワイバーンの群れが押し寄せてきていた。

 

 五十体近くはいるだろう。


「くくく、飢えたトカゲ風情が調子に乗るなよ! 帝国兵よ! 客人に犠牲を出すことは許さん。全て仕留めよ!」

「「「「はっ!」」」」


 いつもならば、オートスリープを使って半径100メートル以内に近づく魔物は排除していたが、アンガスがいたので控えていた。


「リューク」

「大丈夫だ、エリーナ」


 ワイバーンの動きに対して臨戦態勢を取るエリーナに、ボクは安心させる声を出す。

 ボクが知っているアンガスの実力ならば全く問題ないはずだ。


「見ていて」

「はい」


 エリーナはボクに寄り添いながら、外を眺めていると帝国兵が連携してワイバーンを討伐していく。

 それに対して、アンガスだけが、一人でワイバーンの高さまで飛び上がる。ワイバーンを殴り飛ばした。


「豪快ですわね」

「ああ、聖なる武器に選ばれた一人だ」

「なるほど」

「こちらにも一人いるが、奴はどうするかな?」

「ダンのことですの?」

「ああ、あいつは戦いになるとどうしようもないバカだからな」


 ボクは目立つなと言った。


 だが、あの戦いを見てマーシャル家の教えを学んだ者が大人しくはできないだろう。


「助太刀致す!」

「ほう! 教国の聖騎士殿がどの程度の腕前があるのか見せてもらおう!」

「ハヤセ!」

「うるさいっす! 隊長は私っす」


 ハヤセが魔導銃を使ってダンの後頭部を撃った。


「キタキタキタ!!!」


 絆の聖剣が光り出して、空に浮かぶワイバーンに光の斬撃が飛んでいく!


 アンガスよりもダンの攻撃は広範囲の敵を一斉に倒した。


「ガハハハ!!! なんと、素晴らしいではないか教国の聖騎士よ!」

「おう! 俺は聖騎士ダンだ!」

「我輩は、イシュタロスナイツ第二位アンガス・イェーガーだ。聖騎士ダンよ。お前が聖女様の護衛としてきた中で一番強いのだろう。ガハハハ、帝国に歓迎するぞ」


 バンバンとダンの背中を叩いて、二人は戦士として通じ合う者があったようだ。

 それからは聖女ティアが相手をしなくても、アンガスはダンを気に入ったようだ。


 戦い以降はダンの横で会話を楽しんでいた。


「帝都マグガルドに到着ですぞ!」


 アンガスの声で外へ視線を向けると、巨大な門があり、巨人族でも登れない壁と門が聳え立っている。

 これは王国では作れないほどの技術と材料が使われている。


 多分、作ったのは巨人族なのだろうが、凄い高い。


 バルで空を飛んだとしても乗り越えるのに相当な時間がかかる。


「さぁ、門が開きますぞ!」


 アンガスが声をあげれば、巨大な門が開かれて跳ね橋へと降りてくる。


 噴き上がる砂煙が一団を包み込む。


「ガハハハハ! さぁ、帝都マグガルドへようこそ!」


 アンガスを先頭に帝都内へと入っていく。


 石と煉瓦を合わせたような建物が立ち並ぶ門近くは、見たこともない作りの家々をしている。


 さらに進むと作業場が続いて、テント形式の商店街が広がっていた。


「賑わっているであろう?」


 アンガスの声はダンに向けられれて問いかけられる。


「凄いな!」


 ある程度帝都の中に進んでいくと小川が流れ、下水道などの整備がなされている。


 美しい建物も増えて、先ほどまでの建物が重なるように建てられていたのに対して、こちらはしっかりと敷地が区切られて住居としての区画整備がなされていた。


「ここからは中流住民の居住区だ」

「中流?」

「うむ。先ほどまでの門近くは下流住民で、帝国としてはまだ帝国民の位を授かって間もない者たちなのだ。そして、中流は元々帝国民であったり、貢献して位を上げた者たちの居住区だな」


 大きな帝都は階級によって区分分けがなされており、中流住民の居住区を抜けると、世界で一番巨大で偉大な宮殿へと繋がっていく。


「ここからは上流住民の区画に入る」


 そこには一つの一つの家が美しく。

 家というよりも宮殿が立ち並んでいるように見えた。


 一軒一軒が家の敷地を分ける門から遠くに家となる宮殿が見えており、敷地内は美しい水が流れ、花々が咲き乱れ自然が溢れている。


「さて、まずは帝王様へ挨拶にございます。御一行は聖女様用に用意された屋敷で待たれよ」


 そう言って上流住居の区画に作られた屋敷へと案内された。


「護衛を三人まで選びくだされ」


 聖女ティアの顔がボクへ向けられる。

 ボクはクロマによって女装したままだ。


「ならば私が聖女様のお供と護衛をいたします」

「よかろう、一人は其方。そして、二人目は聖騎士ダン殿いかがかな?」

「おうよ!」

「最後は私が務めましょう」


 そう言って名乗りを上げたのはミカだった。

 流石に男二人では聖女ティアの世話はできないので、ありがたい。


「よかろう。それではついてまいれ」


 ボクらは帝王に会うためアンガスと共に宮殿へと向かった。

 

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