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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
第十章

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同行者

 ボクらは聖女ティアに出迎えられて歓迎を受けた。

 教国の食事は精進料理と言われる体に良い物で、魔物の存在する世界では殺生は禁止されておらず、普通に肉や魚も多く出た。


 その中でも、アクアリーフ特有の魚料理がメインで、川魚の泥を吐かせて臭みをとった料理は美味しかった。


「いかがでしょうか?」

「ああ、美味しいよ」

「よかったです」


 聖女ティアとエリーナがボクの左右に座り、アンナとクウがお酒などの給仕をしてくれる。

 クロマは入りたそうにしているが、他の者たちの手際の良さだったり、身分の違いで控えてくれている。


 後で可愛がってやろうと思える判断に、控えめな存在が損をしないようにしたい。


「リューク、本当にティア様も嫁に迎えるのですか?」

「うーん、彼女の意思は固いからね。教国のために己の命を賭けた奴をボクはバカにしないよ。そして、ボクたちを同行させてくれるのに感謝もしないとね」

「そうですね」


 エリーナは、ボクが肯定すればそれで良いようだ。

 王族として育てられたエリーナは、他の女性への対応は極めて寛容と言える。


 むしろ、自分が愛されていれば満足するようなタイプなのだ。精進料理の一つに甘い野菜があったので、口元に差し出すとパクりと食べて可愛い。


「あっ、あの! 私も」


 なぜかティアが対抗してきたので、同じく甘い野菜を口元に差し出すと、恥ずかしそうに食べた。

 エリーナを見本にしてはいけないように思う。


 まぁどっちも可愛いので、ボクとしてはどっちでもいいか。


「リューク様、少し問題が」

「問題?」

「はい」


 ボクは席を立って、タシテ君と共に廊下へ出た。


 どこにいても水音が聞こえてくるアクアリーフは、静かでありながら落ち着ける雰囲気がある。


「どうやら帝国への同行者に王国の者が混じるようです」

「ダンたちか?」

「はい」


 どうやら潜入作戦は実行に移されるようだ。

 

「教皇は、ただで聖女ティアさんを差し出すつもりはないということでしょうね」

「勇者と聖女がいれば、帝王にでも対抗できると思ってか?」

「そうかもしれません」


 厄介なことをしてくれるものだ。

 ティアだけなら、ボクがバルニャンを使って連れて逃げることもできる。


 だが、ダンを失った場合は、魔王討伐時にゲームオーバーになってしまう恐れすらあり、面倒なことだ。


「なんとか阻止はできないのか?」

「難しいと思います。それならばリューク様の言うことを聞かせた方が早いかと」

「ハァー面倒だな」


 やっぱりゲームの主人公とボクは因縁のようなものでもあるのだろうか? 

 ダンとボクは切っても切れない中で、いつかボクをダンが斬るという未来は終わっていないのか? 

 今のダンなら確かにボクを殺す力を持っていると思う。


「ふぅ、とにかく共に行くのは仕方ない。ダンと話をする場所を設けてくれ」

「かしこまりました」


 タシテ君が姿を消して、ボクは深々とため息を吐いた。



《sideダン》


 俺はユーシュン王より、特別な任務を受けた。

 現在の王国は帝国と戦争中であり、かなり王国側が劣勢で危険な状態だ。


 こんな時にリュークがいてくれたら嬉しかったが、リュークは塔のダンジョンに行ったまま帰ってきていない。


 それに、エリーナ王女たちも避難するように姿を消した。

 フリーがユーシュン王の護衛として駆り出されていたから仕方ないが、そちらの捜索願いも出ている。


 戦争以外にも問題が山積みであり、俺とムーノが一番動きやすいということで、今回の作戦に抜擢された。

 俺たちの活躍次第で、王国は逆転できるかも知れないんだ。


 四人で何ができるんだって思うかも知れないが、相手の指揮官。

 帝王とは言わないが、イシュタロスナイツの一人でも打ち取れたら本望だ。


「おい、ダン。客人だ」

「客人?」

 

 ムーノに声をかけられて入口を見れば、タシテ・パーク・ネズールが立っていた。

 意外な人物に俺は驚いてしまう。


「どうしてネズール伯爵家の当主がこんなところにいるんだよ! 大丈夫なのか?」

「あなたに言われる筋合いはありませんけどね。それよりも少し話がしたいのですがいいですか?」

「あっああ、ちょっと待ってくれ」


 俺はタシテの登場に動揺しながらも、ムーノとフリーに同級生であることを話して、ハヤセと共に部屋を出た。


「ハヤセ嬢を連れてきたのは賢明ですね」

「何?」

「タシテ様っすね。と言うことは」

「ふっ、察しがいい。我が家に迎えたいほどです。ついてきてください」


 ハヤセは何かを察したようだが、俺は分からなくて耳打ちをする。


「何かあるのか?」

「ハァ、本当にわからないっすか? まぁ行けばわかるっす」


 なんだって言うんだ? 俺はタシテの後に続いて、別の部屋に入るとそこには……。


「リューク! 戻ってきていたのか!」

「久しぶりに会うのにうるさい奴だ」

「リューク様、お久しぶりっす」

「ああ、ハヤセ。ダンの手綱を十分に握っているようで安心した」

「どうもっす」

「今回は、我々も帝国へ潜入する。聖女ティアの護衛としてな」

「なるほどっす。承知しましたっす」

「エリーナもこちら側にいる」

「なっ! エリーナがいるのか?!」


 全然話が見えないが、リュークが生きている! 


 それだけでなんとかなるかも知れない。


 話はハヤセが理解してくれれば問題ない。


「わかったっす」

「我々の帝国潜入には目的がある。貴様らにも目的があるのだろう。騒いで目的を達せられなければ意味がない。わかるな」

「はいっす! 我々も生きて帰りたいと思っているっす。ですから、リューク様に従いますっす」

「いいのか? 他の二人の確認を取らないで?」

「ユーシュン様は私に隊長を命じられたっす。ダン先輩は私と一番相性がいいっすから同行者に」


 ハヤセはすごいな!

 リュークの難しい言葉に対等に話ができている。

 後で詳しく教えてもらおう。


「そうか、ならば今から貴様らはボクの支配下に入ってもらう。いいな?」

「承知しましたっす」

「おっおい! 勝手に」

「騎士ダンは黙っているっす」

「はっ!」


 ハヤセの忠犬のように護衛として従うだけだ。


 リュークの支配下に入るのは、心強いな。

 

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