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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
第一章 

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ダンジョンボス

《ダンジョンボス》


 ダンジョンでは、大量の魔物を倒されると、ダンジョンコアに危機が迫っていると判断して、より強力な魔物を出現させることで自らを守ろうとする。


 その際に出現する魔物こそがダンジョンボスであり、大量の魔力が含まれるため巨大な魔石を体内に持つ。


 他にも、階層型のタワーダンジョンなどには階層ボスと言われる中級ボスや特殊なアイテムを所持するレアボスが存在している。


 ダンジョンボスを倒されると、ダンジョンコアは一時的に機能を停止して、レベルが下がると言われている。

 蓄積された魔力を放出してしまったのだと研究者は判断した。


 ♢


《Sideシーラス》



 成績ランキング戦

 0クラス所属生徒ルビー

 同組リンシャン・ソード・マーシャル


 勝者ルビー、成績ランキング4位を獲得

 敗者リンシャン・ソード・マーシャル、成績ランキング18位へ転落


 二人のランキング戦を見届けた私は闘技場を後にした。



 _____コンコン



「入りなさい」

「失礼します」


 学園長室には、グローレン・リサーチ先生と、もう一人の男性が座っていた。


「只今、ランキング戦を行った者がいましたので、ご報告に参りました」

「ふぉふぉふぉ、リサーチ先生のお陰で観戦させていただきましたよ」


 魔導具狂いが学園長室に魔導モニターを運び込んで、闘技場内を映し出していた。


「それにしても今年はハイレベルな戦いをする者が多いようじゃな。魔法も、実技も王国の将来は安泰じゃ」


 学園長は生徒達の活躍を喜んでいるようだが、私は素直に感想を伝えることが出来ない。実際に戦った者達は素晴らしい戦いを見せてくれた。


 しかし、私は戦いの後に見た未知の魔法に興味が移ってしまっている。

 研究者とは因果な者だ。

 リューク・ヒュガロ・デスクストスが作り出した無属性魔法の話は、魔法省でもある時期、話題になった。


 当時の私は子供が魔法を使っただけでも十分に凄い才能だと思っていたが、表舞台に出ない子など興味がわかないとしか思わなかった。

 こうして目の当たりにしたことで、リューク・ヒュガロ・デスクストスの作り出した魔法が現代の魔法書に記載されていない物であることは一目でわかってしまう。


 学園の副担任をしているのも、魔法について研究が出来るからだった。

 ただ、最近は魔法の開発よりも魔導具のような快適な物ばかりに研究は移行している。

 未知との遭遇が無いまま数年を過ごしていた。


 そんな私の衝撃がどれほどのものであったことか……今日見た魔法は私の知らない未知の魔法だった。


「なっ、なんじゃこれは!!!」


 学園長の叫び声によって、異常な出来事が起きていることに気づいた。


 魔導モニターの向こう側、リューク・ヒュガロ・デスクストスとダンが対峙していた。

 やはり、もめ事を起こすのか?リューク・ヒュガロ・デスクストス!私は彼の異常性に危機感を持っていた。

 リンシャン・ソード・マーシャルを託したことは間違いだったのか?


 私が疑問に思っていると……モニター越しにリュークと目があった気がした。


「ボクは、あくまで怠惰な悪役貴族だ。それだけは忘れるな」


 それは私への警告?


 リュークは更に魔力を放出して膨大な魔力は、数百年生きている魔力に長けた自分よりも遙かに多く。

 魔導モニターに映し出された魔力量を遙かに超える異常な数値を計測していた。


「ふぉふぉふぉ、若者はええのぅ~一人の強者が、もう一人を引き上げる。ライバルという奴じゃな」


 魔導モニターは二人の魔力を測ろうとして、異常な魔力に当てられる……


「うわ~!!!なっ、なんだこれ急にモニターが!!!」


 火を噴き出した魔導モニター。


 オーバーヒートを起こしている。高出力の魔力に魔導モニターに使われる魔石の方が、耐えられなかった。


 闘技場内に設置されているダンジョンボスクラスの魔石で無ければ、今の彼の魔力は受け止めきれないのだろう。


「リサーチ君、大丈夫かね?」


 慌てて近づいたリサーチ先生が、魔導モニターの爆破に巻き込まれる。


 とっさに、私と学園長は魔導障壁を張った。

 もう一人の男はいつの間にかいなくなっていた。


 リサーチ先生はどうだろうか?


「ボクの魔導具が!!!うわ~」


 どうやら元気なようだ。全身黒焦げで頭もちりちりになっているが、痛みを訴えていないようなので大丈夫なんだろう。


「ふむ、どうやら凄い子が紛れ込んでおるようじゃな」


 慌てているが元気なリサーチから目を逸らして、学園長は窓際に立って闘技場に向かって話し出す。


「ふぉふぉふぉ、彼に触発されて、相手の彼だけじゃなく周りも成長していくじゃろう。なんとも面白い子たちが入ってきてくれたものじゃな」

「そうですね」

「先ほど剣帝殿も参られて話をしていたんじゃ……彼も弟子を探しにきたそうじゃ。

 もしかしたら、面白い子たちの中に剣帝を継ぐ子が現われるかもしれんのじゃからワクワクするのう。

 ふむ。シーラス先生。君は教師ではあるが、魔法の深淵を知るものじゃ。弟子は取らんのか?」

「私は……気になっている子はいます」


 リューク・ヒュガロ・デスクストスの顔が浮かぶ。


「ふぉふぉふぉ、深淵の魔女の弟子と剣帝の弟子。本当に面白いのじゃ。それで、どうじゃな?今年の課外授業は?」

「……0クラスは癖の強い者が多いですが、強さで言えば問題ないと判断します」

「そうかそうか……ふむ。楽しみな世代じゃのう。上のバカな者達がきな臭い動きを始めておる。どうか若者達に被害がないようにしてほしいものじゃ」


 通人族は本当にめんどうな生き物だ。

 強欲で、権力や地位など常に欲にまみれている。


「彼らならば問題はないと思いますが、警戒はしておきます」

「うむ。一年生がダンジョンに挑戦する時期は、ダンジョンボスの出現も確認されておる。様々な問題と共によろしく頼むのじゃ」


 私よりも年若い学園長は、禿げた頭を私に向かって下げた。


 生徒達の行く末を思いながらも……私は彼へ接触の仕方を考える。


「もうダメだ!!!魔導モニター作るの凄く大変なのに!!!」


 一人で慌てるうるさい男に邪魔されながら……。

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