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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
第八章

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式典参加者 9

《sideエリーナ・シルディー・ボーク・アレシダス》


 私は怒っています。


 これまで生きてきた中で、悔しいと思ったことは何度もあります。


 アレシダス王立学園に入学した時。私は主席で合格したのに、各教科でトップには立てなかった。


 リュークの戦いを始めてみた時。同年代で勝てないと思える相手に出会ってしまった。


 アイリス・ヒュガロ・デスクストスに一年次学園剣帝杯で負けた時。本気でぶつかって手も足も出なかった。

 

 迷宮都市ゴルゴンで、指揮を任された時。結局リュークに助けられて私の指揮は半人前でした。


 二年次も、三年次も、私はずっとダメで、悔しい思いをしてきました。

 その度に悔しくて不貞腐れてしまっていた。

 もちろん、至らぬ自分を律するために、努力は続けました。

 努力をしている間も、慰め、側にいてくれたのはアンナです。

 いつもアンナに頼ってばかりだった。


 そんなアンナが誘拐されて、危険な目にあった。 

 全ては私がダメダメだから、そしてこの場にはアンナを誘拐して危険な目に遭わせた相手がいるのです。


 ディアスポラ・グフ・アクージだけは絶対に許しません。

 

「以上を持ちまして、今回の事件の説明を終えます。そして、ここからは各重要参考人の方々に証言を聞いていきたいと思います。それでは、ディアスポラ・グフ・アクージ殿。貴殿は、第一回では聖女ティア様を責める検事として裁判に参加していた。しかし、今回は重要参考人の一人として、参列してもらっています。どうしてなのか分かりますね?」

「はい。私が、エリーナ・シルディー・ボーク・アレシダス様の従者であるアンナ嬢を火事が起きる前に、街の外へと連れ出したためです。その際に、糸を使って意識を失わせたため、犯人の一人として思われております」


 何を抜け抜けと! まるで、自分は火事からアンナを救ったように言っているではありませんか。


「うむ。それはあなたはアンナ嬢を拉致、誘拐したわけではなく。火事から救い出したということでしょうか?」

「少し違います。私の仕事を完遂させるためにアンナ嬢が危険な場所に向かおうとしていて、邪魔でしたので排除させていただきました。危害を加えるつもりはありませんでしたので、傷一つ負わせてはいません。結果として火事から救ったことになっただけです」


 アクージの言葉に嘘偽りがないことは、それを見抜く者たちによって確認が行われた。

 魔法の中には嘘を言っていれば、すぐに検知できるものもあるのだ。


 聖女ティア様が、今回の件に関わっていないと宣言した時も嘘をついてはいないと魔法は判断した。


「ありがとうございます。それでは、その仕事とはなんでしょうか?」

「仕事の内容は秘匿義務がありますので、全てをお話しすることはできません。ただ、私が言えることは今回の件に関したことではありません」


 チューシン様が嘘感知の魔法を使っている者達に視線を向け。肯定を確認する。


「分かりました。それでは質問は一旦保留とさせていただきます」


 チューシン様の言葉に、アクージが頷きますが、私はそれで終わらせる気はありません。


「異議あり!」

「アレシダス様。どうされました?」

「今の、質問に異議を唱えます。仕事に秘匿義務があることは大切ですが、この法廷に呼ばれた以上、隠してもためにはなりません。包み隠さずお話しいただきたいと思います」


 私はアクージの矛盾点を見つけることはできませんでした。

 ですが、唯一隠し事をしたことに対して異議を唱えないわけにはいきません。

 このままのらりくらりと言い訳を並べられてたまるものですか。


「アクージ殿、秘匿では納得しない者がおられるので、お話しいただいても?」

「……」


 アクージはアイリスを見て確認をとる。

 アイリスはアクージの視線に首を縦に振った。


「今回の私は、アイリス様より隠密の指令を受けておりました。それは今回の事件を解決するためです。指令内容は、実行犯の特定です。それも、内部に裏切り者がいると考えて行動しておりました」


 なっ! 裏切り者がいるですって!


「そして、エリーナ様の従者であるアンナ様を見つけたので、一先ず捕えさせていただきました。ですが、私がアンナ様を捕らえている間に、迷宮都市ゴルゴンは火の海に飲まれることになったのです」


 アクージの言葉に私は反論できないで、固まってしまいます。


 アイリス、ヒュガロ・デスクストスが裏切り者の調査をしていたなど知りもしませんでした。


「預言者アケガラス、爆弾魔ヒルカラス、そして、火事を起こしたユウガラスなる人物を特定できてはいません。ですが、先の事件二件共、現在通人至上主義教会に関与した物だと思われます。そして、この場に現れていない状態で、我々が確保していたはずの。二人の人物を捕らえたことを私は宣言します」


 そう言ってアクージが連れてきたのは、聖女ティアの従者として同行していた十二使徒のミカ様とロリエル様でした。


「私は彼ら二人を重要参考人として、この場に追加して犯人か疑惑を検証していただきたいと思います」


 アクージは私の言葉を利用して、聖女ティア様を追い詰めるつもりなのだ。


 やられた!

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