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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
第八章

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式典参加者 5

《sideアイリス・ヒュガロ・デスクストス》


 ヨルカラスに依頼された領主代行をわたくしは仕方なく行いましたの。

 ノーラの従者たちは、むさ苦しい方々ばかりで、資料を見せて頂き、運営について話し合いからしましたの。


 迷宮都市ゴルゴンの運営は、ほとんどが叔母様が完璧なルールを作っておられましたの。

 ですから、従者だけで十分に運営が可能ですの。


 わたくしが取り決めたことは二点だけですの。

 

 式典の延期と聖女ティアの裁決ですの。


 式典の延期は、ノーラがいない以上、やったところで意味がありませんの。

 ですから、事件の解決を名目に時間を稼ぐことにしましたの。


 幸い、ゴルゴンには潤沢な資金が蓄えられていので、お越し頂いた貴族の方々が滞在する際は費用を出すことになりましたの。


 ですが、いつ再開とも言えないため。

 滞在費用負担は一週間と区切らせて頂きましたの。

 それを聞いて帰るもの。

 数日の観光をして帰るもの。

 せっかく来たのだから再開するまでいると言うものに分かれましたの。


「それでは第一回、図書館参列者襲撃事件の重要参考人の裁判を行いますの」


 わたくしの宣言と共に、裁判場となった迷宮都市ゴルゴンの広場では、大勢の人が集まりましたの。

 聖女ティアさんを犯人と思っているわけではありませんの。

 ですが、犯人グループの一人であるヒルカラスの証言を、参列者の多くが聞いていたんですの。


「重要参考人の聖女ティアに問いますの。あなたは今回の事件に関与していますの?」

「いいえ。私は一切関与しておりません」

「それを証明することはできますの?」

「この場では不可能です」

「それでは、今回の事件について説明をしてくださいですの」


 私は検事側として、ディアスポラ・グフ・アクージを召喚しましたの。

 最初はチューシンにお願いするつもりでしたの。

 ですが、チューシンは通人至上主義教会の関係者として、聖女ティアに忖度していると思われてしまいそうだったので外しましたの。


「はっ! それでは調査内容を交えてお話をさせて頂きます。事件が起きたのは二日前。図書館完成の参列者が集まる前夜祭のパーティー会場で、テロ行為と思しき爆発が起きました」


 見物人たちも、事件を見ていた者、体験した者たちだと頷きますの。


「幸にして、死者は犯人グループの二名だけであり。一人はヒルカラスと名乗る通人至上主義教会の信徒です。私自身が捕まえ、アイリス様の元へお連れして、逃げてきていた参列者の方々の前で、聖女ティア様のためにやったと言った後に殺されました」


 全員の注目は聖女ティアに集まりますの。

 聖女ティアは目を閉じて、ディアスが読み上げる内容を黙って聞いておりますの。


「そして、もう一人の死亡者は少し離れた丘の上で、ヒルカラスと同じ衣装をきた老人でした。彼の名は預言者アケガラス。有名な魔導士で、深淵を知る魔道士の一人として予言や占いなどで有名な方でした。今回の実行犯のリーダーではないかと思われます」


 ディアスの言葉に、会場中が騒がしくなりますの。

 どうして高明な魔導士が今回の事件を引き起こしたのか? 彼ほどの人物を動かせる人物は限られていますの。


 王族や貴族がいくらお金を積もうと預言者アケガラスが動かすことは無理ですの。

 それは、彼自身がすでに極めた者であり、尊敬を集めている人物だからですの。


 では、彼を動かせることができる人物がいるとすれば、勇者が明確に誕生していない以上。

 脅して言うことが聞かせられそうな魔王か? それとも聖女しかいないのではないかと思われますの。


「以上を持って、聖女ティアを我々は有罪と考えております」


 ディアスの発言に、民衆たちの視線は聖女ティア様に向けて冷ややかな物になりますの。

 それまでは聖女と言う肩書きで、熱い視線を送っていた者たちも掌を返してしまいますの。


「異議ありです!」


 そう言って立ち上がったのは、エリーナ・シルディー・ボーク・アレシダスでしたの。

 わたくしにも負けぬ美貌を持つエリーナが立ち上がると、民衆からは美しさで吐息が漏れますの。


「弁護人、アレシダス様。反論があればおっしゃってくださいですの」

「発言をお許し頂きありがとうございます! それでは反論を述べさせて頂きます。まず第一に物的な証拠はありません。あくまでヒルカラスさんの証言と、アケガラスさんの遺体が見つかっただけで、辻褄合わせをしているようにしか感じません。これでは聖女ティア様を貶めるために仕組まれていてもおかしくはありません」


 聖女ティア様の弁護人として、堂々とした反論をしますの。

 この場に立つために色々と勉強してきたのが、よくわかりますの。


「何よりも、聖女様はそのようなテロ行為を行うような方ではありません。それは聖女様に救っていただいた尊き信者ならばわかるのではないでしょうか?」


 さらに情に訴える作戦ですの。

 民衆も先ほどの冷ややかな目がいく分マシになり、困惑する顔をむけていますの。


「確定的な証拠を提示していただくか、もしくは他にもいるかもしれない犯人を炙り出して初めて犯人であると言えるのではないでしょうか?」


 随分と様になった言い方をしていますの。

 わたくしが感心していると、ディアスが手を挙げましたの。


「物的証拠はありますよ」

「なっ!」


 意外にもわたくしの知らない証拠があると言うので、目配せを送りますの。

 すると、ディアスはすみませんと言って謝罪を口にして衣装を取り出しましたの。


「この衣装は、聖女ティア様の泊まられているホテルの部屋から発見されました。本来は聖女ティア様もテロ行為の一人として参加するはずだったのではないですか?」

「なっ!」


 わたくしだけでなく、エリーナも、聖女ティア様も驚いた顔をしていましたの。


「お答えをお聞かせください」


 ディアスの質問に、聖女ティアの回答が注目を集めましたの。


「いいえ、私は一切関与しておりません」


 証拠が出てきたにも関わらず、否定を口にした聖女ティアに対して、民衆はブーイングを発っしましたの。


「静粛に、静粛にするんですの」


 そんな会場の雰囲気をわたくしは止めましたの。


「混乱が治る気配がありませんので、本日は閉廷にしますの」


 わたくしの発言に、聖女ティアは連れて行かれましたの。


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