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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
第八章

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いざ 塔のダンジョン 5

《sideダン》


 俺はノーラ・ゴルゴン・ゴードンの攻撃によって吹き飛ばされて壁に激突した。

 ありえないぐらいの筋力に、攻撃力は俺が今まで戦ってきたどんな相手よりも強い。


 技が凄い奴。

 力が凄い奴。

 魔法が凄い奴。


 そのどれとも違う。


 まるで、リューク・ヒュガロ・デスクストスに初めて倒れた時を思い出した。

 もしかしたら、ノーラ先輩にリュークと同じぐらいの力強さを感じる。

 絆の聖剣を装備していなかったら、いくらレベルをカンストさせていたとしても、俺は死んでいた。


「大丈夫っすか?」


 傷ばかり負う俺のために、回復魔法を勉強してくれたハヤセ。

 壁に激突した俺に回復を施してくれる。

 いくら痛みに対して耐性がある俺でも、あの攻撃は痛みというよりも死を予感させられる。


「ああ、大丈夫だ」

「今はバル様が戦っているっす」


 紫の鎧を着たバルと、漆黒の翼を生やしたゴードン先輩の戦いは、この世の頂上決戦を思わせるほど圧倒的な強さを誇っていた。


「なぁ、ハヤセ」

「何っすか?」

「あいつは誰なんだろうな?」

「あいつって、バル様のことっすか?」

「ああ。リュークが死んで、突然現れたあいつの戦い方は、今まで遠距離攻撃をしているところしか見てこなかった」


 地下迷宮で見た時も、あいつの武器は拳銃だった。


「それでも十分に強くて、魔法を使えばもっと凄いやつだった。だが、今の鎧をきて体術で戦っている姿は、まるでリュークのようだ。俺はリュークの戦いを研究したこともある。だからわかるんだ。あの戦い方はリュークだ」


 どうして、俺は今の今までリュークが死んでいると信じていたんだろう?

 

 リュークの遺体を見ていない。

 リュークの死を確認していない。

 リュークが負けるなんて一ミリも思えない。


 それなのに周りがリュークを死んだって言って、葬儀もして、リュークはどこにもいなくなった。

 姫様も、カリン様も、兄弟であるテスタ・ヒュガロ・デスクストスもそれを認めていた。


 だけど、それは本当のことだったんだろうか?


「……私にはわからないっすよ。戦い方なんて。それはダン先輩だけがわかる真実じゃないっすか? それにバル様の仮面の下をダン先輩は見たことがあるっすか?」

「ないな。ないからこそ、戦いでしか判断ができない。俺はハッキリ言ってバカだ」

「それは認めるっす」

「だから、声や話し方は正直真似られたらわからねぇ。だけど、動きや戦い方は、ずっと専門的に研究してきたからこそわかる。あれはリュークだ」


 俺はバルの戦いを見て確信した。


 バルはリューク、その考えにどうして至らなかったんだろう。

 どうして、姫様がリューク以外の人間を好きになるって思ったんだ? そんなはずはない。俺の知っている姫様は一人の男しか愛せない不器用な女性だった。


「はは、なんだよ。一つの謎が解ければ全てのことが繋がるじゃねぇか」


 リュークが生きていて、裏から作戦を実行していることがわかれば、姫様やその周りが上手く立ち回っていたことも説明できる。


 あの地下迷宮を攻略したのもリュークだ。

 それに、王国剣帝杯の裏で起きていたことも関係していたんじゃないか?


「おいおい、解っちまったら聞きたいことが山のようにあるぞ!」

「ダン先輩、どこにいくっすか?」


 リュークが生きている。

 そう思うだけで、力が漲ってくるような気がしてくる。



《sideハヤセ》


「負けてらんねぇだろ? 俺は今も昔もリュークに勝つために強くなったんだ!」

「はぁ、オモチャを見つけた子供のようっす。そんな単純なことで強くなれるなら誰も苦労しないっす。だけど、それで強くなるのがダン先輩っすよね。なら私も準備をするっす」


 私はリューク様に渡していただいた魔道銃を握る。


 ダン先輩は、リューク様とノーラ様の戦いに割り込んでいくっす。

 だから、そこに割り込める力を私が授けてやらないといけないっす。


「シーラス先生」

「どうやら、ダンは気づいたようですね」

「はいっす。だから、私に魔導銃の使い方をご教授願いたいっす!」

「エルフは、遠隔武器が得意なのよ。見ていなさい!」


 そういうと片手で構えたシーラス先生が、標準を合わせて、リズミカルにノーラ先輩の攻撃をリューク様に当たる瞬間にいなしていくっす。

 その射撃は正確無比で、私のダーツでは匹敵できないっす。


「魔道銃は込める魔力量によって威力を調整することができるのよ。だから、トリガーを引いて、自分の込めたい魔力を弾に集め。打ち出すのよ」


 シーラス先生のご教授頂いて、私の弾丸がダン先輩を撃ち抜いたっす!


「ガハッ! クゥー!!! キタキタキタ!!!」


 いつものダーツよりも威力があるのに、私が撃ったと解った瞬間、ダン先輩の全身から光が溢れ出したっす。

 

 もう、本当にバカっすね。


「妬けるぐらい良いコンビになりましたね」

「シーラス先生。からかわないでほしいっす。先生もリューク様もラブラブっす」

「わっ、私はまだそこまで経験はないのですよ」


 美人なエルフ先生が照れるとか、同性の私でも可愛いっす。


「その顔でリューク様を落としたっすね。やっぱりエルフはエロいっす!」


 私はダン先輩が飛び上がるのに合わせて、三発の弾丸を打ち出したっす。

 

 足の裏、お尻、股間。


 全部、ダン先輩が責められると弱いところっす。


「イケー!!!」


 最大級の絆の聖剣を、ノーラ先輩に叩きつけたっす!

 

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