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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
第八章

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ヒロインたちの会話 13

《sideミリル》


 リューに来て医師として勉強できる環境をくれたリューク様のおかげで、毎日充実した日々を送れています。

 最近は弟がリューへ転居してきてくれたので、仕事の手伝いをしてくれるようになりました。


 師匠は、優秀な医師として多くの人々を助けております。私も学生時代から数えて二年間の勉強成果をへて、少しずつ患者様を診させていただくようになりました。


「ミリル、忙しいところ失礼するわね」

「カリン様! どうかされました? また働きすぎで点滴ですか?」


 カリン様は無理をされることが多くて、たまに点滴を打ちにこられます。

 本当はしっかりと寝て、栄養のあるものを食べて、自分の時間をとってほしいのですが。

 最近は忙しくてお好きな料理を作る時間もないほどだと愚痴っておられました。


 こんな時にリンシャンが居れば、代行をして休んでもらえるのですが。

 リンシャンはリューク様の付き人として、皇国に行っているので、なかなかこちらに戻ってくることは難しいのです。


「いえ、最近体調が悪いようなの」

「どのような症状ですか?」

「お腹が張るような気がして、昼間に眠くなったり、食欲がなくなったりするの。そうかと思えば食欲がありすぎる時もあって」


 ストレス性の胃潰瘍でしょうか? 働きすぎて胃がやられてしまいましたか?


「ふむ、お腹の調子が悪いのでしょうか? 最近食べた物でおかしな物はありませんか?」

「なかったと思うのだけど。めまいやふらつき、なんだか熱っぽいかしら?」

「熱や眩暈ですか? 腹痛も相まって、食中毒が一番可能性が高いのですが」


 カリン様の症状を聞いても、未熟な私では病名を特定することができません。

 ここは師匠を呼んだ方が良いのかもしれませんね。


「他に気になるような症状はないですか?」

「そうね。わけもなくイライラするとか、気分が落ち込む時が増えたかしら? リュークがいないからそんなことも思うのかもしれないわね」


 うん? わけもなくイライラ? 気分が落ち込む? 腹痛ではそのようなことは起きないと思います。

 精神的な疾患? でも、私はどこかでそのような症状を聞いたことがあるような。


「よう、邪魔するぞ」

「師匠!」

「隣の診察室で寝ていたんだが、ちょっと話が聞こえて来てな」

「また、診察室で寝て、ちゃんとベッドで寝てくださいよ」


 師匠は忙しくなると診察室の簡易ベッドで寝てしまう。お綺麗な方なのにいつも髪はボザボザでもう少し気を使ってほしい。


「ウルセェ。お前だって診察室で寝るだろうが! それより領主様。あんた旦那といつやった?」

「えっ! 唐突な質問ね」

「師匠! 何を聞いているのですか?! それにリューク様はずっと外出中で」

「一か月半ほど前です」


 いつの間に! いつ帰ってきたんですか!


「そうか、月の物は来ているかい?」

「えっ? それって」


 師匠の質問を聞いて、私にも心辺りがありました。


「来ていません。いえ、たまに血は出ていたような」

「そうかい。領主様、おめでとうさん」

「えっ?」

「多分だけど、子供が宿ったんだろうね」


 師匠の言葉にカリン様は驚いた顔をされて、私も驚きすぎて椅子から転げ落ちました。


「ええええええええ!!!!!!!!」

「バカ弟子、うるさいよ。妊婦がいるんだ。静かにしな」

「あっ、ごめんなさい」

「まだ妊婦という自覚はないけれど、それなら嬉しいわね」


 丸顔の可愛い顔をしているカリン様。

 お母さんになったことがわかると、落ち着いた雰囲気が強まったように感じます。


「まぁ、まだ安定するまで時間はかかる、あまり無理することなくゆっくり休むことだね」

「わかりました、先生。もう少しでリュークも帰ってくると言っていたから、その間の公務はリベラにお願いするしかないわね」

「わっ、私が行ってきます」


 私は診療所を飛び出して、リベラちゃん、アカリちゃんの元へと駆け込んだ。


「二人とも聞いて!」

「ミリルかいな。珍しいな。そんなに慌ててどないしたん?」

「そうです、ミリル。あまり騒々しいのはダメですよ」

「そっ、そんなことを言っている場合じゃないんだよ! 二人とも耳を貸して!」


 私は大きな声では伝えられないので、二人に耳を貸してもらって小さな声で伝えた。

 アカリちゃんが大きな声を出そうとしたけど、リベラちゃんがすぐに口を塞ぐ。


「それは仕方ないですね。しばらくは私が領主代行をしましょう。リンシャンが戻ってきたら、変わってもらうしかないですね。それよりもカリン様は大丈夫なのですか?」

「体調面は色々と症状は出ているけれど、今のところは元気そうだよ」

「そうですか。これは喜ばしいことですね。それに旦那様が帰ってくるのであれば」


 リベラちゃんとアカリちゃんが視線を交錯させる。

 

 私にだって二人の気持ちがよくわかる。


「リューク様に甘えたい!」

「そやな。久しぶりに帰ってくるなら、ダーリンにサービスせんとな」

「わっ、私もリューク様に甘えたいです」


 リューク様は外出することが多いから、帰ってきた時は残っていた妻たちで盛大にもてなすことになっている。


 カリン様と一緒にリューに残っている私たちは優先的にリューク様に甘える権利があるはずだ。


「今回はどれくらいいられるのかな?」

「リューク様ですからね。また、すぐに飛び出していくと思いますよ」

「そやね。怠惰、怠惰、言いながらホンマに忙しいからなぁ〜」


 私たちはリューク様のことを話しながら、楽しく笑い合った。


 早く会いたい! 大好きです。リューク様。

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