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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
第七章

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皇国の新体制

 号外の記事に目を通す。


 新 皇王 クーガ・ビャッコ・キヨイ様 即位。


 即位式は簡易的な物であった。

 戦乱の現状、皇国の守り神と言われた麒麟様は飛び立たれ。

 新たな守り神として白虎様が迎えられた。

 白虎の巫女として、クーガ皇王の妹君であるオセイ様が白虎の巫女に就任して、神都にて新たな皇王の即位式が行われた。


 クーガ皇王の妃として、青龍の戦巫女アオイノウエ様を迎え入れられることになった。クーガ皇王が長年求愛をしていた相手であり国民は相思相愛の二人を祝福した。


 彼女が妻になった経緯として、クーガ皇王の求愛だけでなく。

 後見人が関与していると言われていた。


 後見人


 ・龍人族当主、カザト・ソウショウ

 ・白虎の老子、モウコ

 ・皇国忍集流図根一族忍頭、ムクロ


 三人の名が、連名で皇王を支える幹部として挙げられた。

 

 ・白の侍大将ジュウベイ

 ・赤の侍大将コジロウ

 ・青の侍大将アオシ


 さらに三人の将軍によって朱雀領、白虎領、青龍領の守護が任された。


 今まで国の幹部として名を連ねていた者たちは全ていなくなり、完全な新体制が取られることになった。

 不安を覚える民も多くいたが、乱世の時代ではあればお館様が代わることは度々あったことなので、クーガ皇王はすんなりと受け入れられた。


 戦争が続いていた王国に対しては、手打ちとして、玄武領が献上されることになった。

 玄武領に関しては王国侯爵バドゥ・グフ・アクージの管轄となり、デスクストス家は権利を放棄した。


 代わりに、新皇王クーガによるデスクストス家の次男リューク・ヒュガロ・デスクストへ行なった行為についての非礼を詫びる謝罪文と謝罪に対して賠償金が支払われた。

 それは正式に皇国が降伏を示したようにも見えるが、デスクストス家が受け入れたことで平和的に和睦したことになっている。


「さて、みんな帰る準備はいいかい?」


 ボクが問いかけると、来た時よりも人数が増えた馬車の中の面々が頷いてくれる。見送りはチヨ婆だけだ。


 トラやアオイノウエは王族になったことでやらなくてはいけないことが多岐にわたる。ボクは絶対にやりたくないことばかりだ。


「バル様。しばらくはこっちに来ないのかい?」

「どうだろ? 皇国にダンジョンもあるから、ちょくちょく青龍領の温泉には来ると思うよ」

「神都には来ないんだね」

「必要ないからね」

「そうかい。本当に不思議なお人だよ。ふらっと現れて、皇国の問題を解決していっちまうんだからね」

「チヨ婆?」

「私だって、元々は皇国の忍びをしていた女だよ。あの人に嫁ぐまではね」


 美魔女なチヨ婆なら、房中術を使って多くの男が騙されたかもね。


 ボクがそんなことを考えているとチヨ婆が頭を下げる。


「ありがとうね。これから良くなるかわからないけど、一つの時代が終わった。破壊があったからこそ創世ができる。破壊神バル様、あんたのことは伝説の存在として語りついでおくよ」

「大層な伝説だね。まぁ好きにすればいいさ」


 ボクも馬車へと乗り込む。


 たくさんの着物やお土産を積んだ馬車の中は、マジックバックに入りきらいないお土産で溢れている。


「ヒナタ、頼む」

「はい! オウキ、お願い!」


 御者を務めるヒナタとシロップ。

 ヒナタの声でオウキが浮き上がる。

 バルが連動して馬車の車体を浮き上がらせる。


「青龍領まで頼むよ」


 麒麟が引く馬車に乗り、ボクらは皇国の空を飛んだ。


 帝国は白虎領の領地を返す代わりに自由な出入りを許す権利として、白虎領内に自治領を獲得した。

 そこには帝国軍基地が建設され、名目は皇国の守護を帝国が手伝うという形に収まった。


 そして、皇国に残された三つのダンジョンに関しては、ムクロ率いる忍び集が調査を続けている。王国の基準に合わせた調査がされることになり、王国と帝国から合同で冒険者ギルドの設立がなされることになった。


 そのため朱雀領に皇国初の冒険者ギルドが建てられることになり、一番最初に冒険者登録を行ったのは、クーガ・ビャッコ・キヨイ皇王自身だった。


 これからの皇国は、閉鎖的になるのではなく。


 他国の文化を取り入れ、他国との交流を持つことで発展を遂げる道を選んだ。


 そのため一つの宣言をクーガ皇王は宣言した。


「我が国は戦地となって多くの悲しみを乗り越えなければならない。これまでの歴史を守りながらも、他国の文化を取り入れ共存できる未来を模索したい。そのため、どの国の民でも受け入れ、どの国の宗教でも自由に受け入れる。中立国として平和の象徴でありたいと考える。二度と我が国のような悲しみが起きないように」


 クーガ皇王の宣言は、他国から称賛される物であり。


 王国、帝国、教国、三国に合わない者や、平和を愛する多くの賢者たちを集めることになった。それは今までの閉鎖的な皇国とは全く違う道を歩むことになる。


 だが、それはまだ少し先の話。


「ふぅ〜、王国に帰る前に温泉に入りにきてよかったね。やっぱり気持ちいい」

「なんで女湯に男が入ってるんだよ!」

「カエデ。うるさいぞ」


 温泉宿の娘カエデに文句を言われながら、妻たちに体を洗われて温泉に浸かるのはやっぱり気持ちいい。


 もう何もしたくない。


 やっと、カリビアン領のリューへ帰れる喜びで、ボクはいつも以上に怠惰な日々が送れることを想像して目を閉じた。


 

 どうも作者のイコです。


 第8章皇国編 完!!!

 これにて皇国編が終わりました。

 読んで頂きありがとうございます。


 リュークのお騒がせな日常は、舞台を王国に戻します。


 《第9章 塔のダンジョンと孤独の乙女》をお送りします。


 書籍、コミカライズ発売中です。良ければ応援購入お待ちしております!


 いつも《あくまで怠惰な悪役貴族》を応援しただきありがとうござます。

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