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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
第六章

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剣帝祝賀パーティー

《side剣帝祝賀会場》


 流浪の剣士フリーが、新たな剣帝となったことで優勝者を祝うための祝賀パーティーが開かれることになった。


 王太子ユーシュン。

 第一王女エリーナ。

 辺境伯オリガ。


 三人の権力者が姿を見せて、新たな剣帝を祝うために綺麗な会場が用意された。


 剣帝祝賀パーティーの会場は華やかな装飾で彩られ、美しい光と笑顔が溢れていた。壮大な屋敷の中庭には、煌めくキャンドルが配置され、輝く花々が鮮やかな色彩を放っている。

 華麗なドレスをまとった人々が舞台に集まり、ワインの杯を手に優雅に談笑する出場者や関係者たち。


 剣帝としての栄光を手に入れた優勝者フリーは、用意されたドレスを身に纏い。舞台の中央に立った。

 会場はモニターで映されており、モニター越しに拍手と歓声が鳴り響いていた。彼女の鋭く素早い剣は皆の記憶に新しいことだろう。

 

 戦っている姿とは代わり、美しい少女が深く頭を下げた。


 それはこれまで沈黙を守り、謎に包まれていた彼女の珍しい態度だった。

 

 それは大勢の人々に感謝の意を示していた。


「まずは、皆さん。このような場に立たせて頂きありがとうございます。自由の民のフリーと申します」


 顔を上げて名乗る声は、可愛い声をしていた。


「この栄誉を授けてくださった全ての方々に心から感謝申し上げます!剣帝の称号を手に入れることができたことを名誉に思います。以上です」


 彼女の短い言葉に会場は沸き立ち、祝福の言葉と称賛の声が一斉に上がった。

 

 その後は、パーティーの司会者が登場し、優勝者フリーへの報酬について話を進めていく。


「剣帝フリー様、あなたの勇気と剣の腕前に敬意を表します」


 司会者が合図を送ると巨大な箱が運ばれてきた。

 そこには宝石が散りばめられた剣が輝いていた。

 それは剣帝の証として贈られる特別な剣であり、その輝きはまるで勝利の輝きそのものだった。


 フリーは装飾の施された剣を見て微妙な表情を浮かべ、剣を受け取ると静かにその刀身を見つめた。


 困惑するフリーに、ユーシュンが立ち上がって声をかける。


「剣帝フリーよ。それは剣帝の証だ。納めて置いてくれ。さらに貴殿には王族に対して願う権利が与えられる。金でも、家でも、土地でも、爵位でも、貴殿の望む物を王族が叶えられる範囲で叶えよう」


 ユーシュンの発言に、モニターの向こうにいる観客は黙って状況を見守り。


 また会場に集まった関係者たちも固唾を飲んで見守る。


「我々自由の民は、ずっと特定の土地や国を持ちません。どうか我が部族が永住できる安住の地をお与えいただけないでしょうか?」

「あいわかった。剣帝フリーの願いを叶えよう。自由の民は我が王国を母国とできるように領地を与える。アレシダス王国王太子ユーシュン・ジルド・ボーク・アレシダスの名に置いて誓おう」

「ありがたき幸せ!」


 彼女の言葉は力強く響き渡り、モニターの向こうに見える観客たちは再び歓声と拍手に包まれた。

 剣帝祝賀パーティーは、華やかさと熱気に包まれながら、一夜限りの栄光の輝きを放っていた。


 ♢


《sideリューク》


 ボクが剣帝祝賀パーティーで賑わうベルーガ領ヒレンの街ではなく。

 静まり返った闘技場の地下に呼ばれたのは、翁クーロからだった。


「こちらになります」


 翁クーロは失態を犯したような雰囲気で、恭しくボクを出迎えた。


「私が使役しております。魔物の世話に来た際に見つけたのでございます」


 そこには剣帝アーサーが倒れていた。

 仰向けに寝かされ、腕を組んで眠らされていた。


「すでに固まり始めておりましたので、このような形で」

「剣帝アーサーが死んだのか?」

「はい。死因は心臓部への一撃かと。何者が行ったのかはわかりませんが、残されていたメモが一通」

 

 メモには、《皇国は王国を許すまじ》と書かれていた。


 現在の王国と皇国は、戦争状態にあり。それを逆恨みした皇国の者が剣帝を殺したことを宣言して言ったように見える。


「さて、皇国からの潜入者で剣帝アーサーを殺せる者はいたのか?」

「私共の調査ではおりません。剣帝アーサーは歴代でも屈指の腕前を誇っております。正直な話、Mの伝道師殿が勝てたのは奇跡だと想っております。これまでの連戦。特に剣豪殿との一戦が相当堪えたのではないかと思われます」


 剣豪にダン。二人の強者との戦いが剣帝アーサーの体力を削り。暗殺者に殺されたと言うわけか。

 ただ、皇国で剣帝を殺せる腕前を持つものは剣豪のみ。その剣豪は未だに病院で動ける状態ではない。

 

 では、帝国か? 帝国の者はジュリを含め、作戦失敗をしたことで早々に撤退していった。


 では、教国だが。可能性がある人物はロリエルとか言う十二使徒のみで。

 彼に関しては、エリーナへの求婚が叶わなかったショックでダイレクトアプローチをしてエリーナに氷漬けにされて、教国へ送り返された。


「ふぅ、謎が多いな。疲れてきたよ」

「考えるに。敵は身内にいるのかもしれません」

「身内? 王国人と言うことか?」

「はい。王国も一枚岩ではありませんので」


 ボクは会場から消えた一人の人物を思い出す。


「アクージか……あの家は厄介なことばかりしてくれるな」


 ゲームの世界でも、どのシナリオでもアクージの名は現れた。兵隊が多く。兄弟姉妹も多い。

 まるで、世界に混乱をもたらすように裏で暗躍する家として度々登場してくるのだ。


「ふぅ、テスタ兄上が皇国とことを構えているから安心できるかと思ったけど。面倒だね」

「リューク様。我々、ベルーガ家はリューク様の要請であればいついかなる時でも出陣する準備ができております。何なりとご命令を」

「すでにアクージは逃げているだろう。追いかけても意味はない。それよりも、ベルーガ領からは皇国へ繋がる国境があったよね?」

「はい。ありますが? 現在は戦争中のため、両国は緊張状態にあります。王国剣帝杯がありましたので、通行はありましたが、ほとんど閉鎖状態です」

「うん。それは知ってるよ。だけど、ちょっと面白いことを思いついたんだ」


 ボクはベルーガ領へ足を伸ばしたついでに、海外旅行を考えていた。

 

 どうも作者のイコです。


 第七章は少し長めに書きましたが、これにて完結です。


 第八章からは、皇国編をお届けしたいと思います。


 どうぞ、これからもお付き合い頂ければ幸いです(๑>◡<๑)

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