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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
序章
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入学試験

《Sideルビー》


 私の名前はルビーにゃ。

 冒険者をしている両親の元で育ち、冒険者になるのだと思ってきたにゃ。

 生きるために魔物と戦っていたにゃ。

 森でサバイバルもお手のものにゃ。

 たくさん生きていく術を学んできたのにゃ。


 そんな私に両親が言ったにゃ。


「ルビー、お前は王都の学園に通いなさい」

「そうね。私たちのように生きていくのは大変なの。

 ちゃんとした仕事をして安定した仕事をしないとダメよ」


 私は両親が自由に生きている姿を見るのが好きにゃ。

 にゃけど、両親は私の将来を心配してくれているのにゃ。

 私に隠して学費や受験に必要な物をコッソリと用意してくれていたにゃ。


 猫族の両親は王国では生きていくのが大変だったにゃ。

 仕事も冒険者しかなれなかったにゃ。

 そんな両親の娘の私は、自分が王都に行っても大丈夫なのか不安だったにゃ。


「時代は少しずつ変わっているからね。

 公爵様が獣人を登用してくれるようになって、王都では少しずつだけど獣人への扱いも変わってきていると言っていた。ルビーは大丈夫だよ。

 猫耳は小さくて帽子を被っていればわからないし、なにより可愛いからね」

「そうね。尻尾も短いからスカートの中に隠せるわよ。それに可愛いから大丈夫」


 脳天気な両親のいうことを……


「そっか、なら行ってくるにゃ!」


 素直に聞いた私は王都へと旅立ったにゃ。


 王都はスゴかったニャー!!!

 建物が大きくて、人も多くてビックリすることばかりだったにゃ。

 美味しい屋台で買い食いしたにゃ!

 冒険者ギルドで泊まらせてもらったにゃ!

 王都見物して、悪い奴とも戦ったにゃ!

 楽しい日々を過ごして学園の入学試験を待っていたにゃ。


「ここでいいのかにゃ?」


 慣れない王都で迷いながら、何とか試験会場を見つけることができたにゃ。

 三つの試験があることに愕然としたにゃ。


 実技試験は試験官と戦ったにゃ


「どこからでもかかってくるがいい」


 ゴツイオッちゃんだったにゃ。


「もっ、もう勘弁してくれ」


 泣いて謝るので許してやったにゃ。

 父ちゃんに比べれば凄く弱かったにゃ。


 隣で目を閉じて戦っている綺麗な奴の方が強そうだったにゃ。


「次は魔法試験です。あちらの的に魔法をぶつけてください」


 魔物との戦いは魔法が必要なので余裕にゃ。

 目を閉じて戦っていた奴が今度は魔法を打っていたにゃ。

 あれ?私よりも上手いにゃ!!!


 二つとも余裕だったにゃ!


 にゃけども……学科試験!何なんのにゃ!わけがわからないにゃ!!母ちゃん、父ちゃんごめんにゃ。私……絶対落ちたにゃ!


 文字は読めるにゃ、計算問題も出来るにゃ。

 だけど、文字を読んでも意味がわからないのにゃ!


 絶望しながら名前だけ書いたにゃ。

 絶望のまま試験会場を出たにゃ。


 絶対落ちたにゃ……両親に謝って冒険者として生きていくにゃ……


「ルビーちゃん!」


 絶望に打ちひしがれて帰ってきたにゃ。

 悪いことは重なるものにゃ。


 私が旅立った後……両親が魔物討伐の依頼を受けたそうにゃ。でも、魔物の生息地が危険なところで、両親は消息不明になっているそうにゃ!目の前が真っ暗になった気がしたにゃ。


 両親のことは信じているにゃ……絶対生きているはずにゃ。


 だけど、あの強い両親が行方不明になってしまう場所に助けにいけないにゃ!自分が行ったところで助けるどころか先に殺されてしまうにゃ。


 今すぐ強くなりたいにゃ、強くならなくちゃいけないにゃ……どうすれば強くなれるにゃ?


「悲しいことばかりじゃないわよ」


 お世話になっている冒険者ギルドのマリアさんが、何日も悩んでいた私へ声をかけてくれたにゃ。


「なんにゃ?」

「合格通知が来たのよ!実技試験が首席だったから合格ですって」


 それは郵送で届けられた合格通知だったにゃ。

 掲示番に張り出される以外に、成績上位者のみに届けられる物だとマリアさんが教えてくれたにゃ。


 私は合格したのかにゃ?


「良いことがあったんだもん。きっとご両親も無事よ!だって、ベテランの冒険者なんだから絶対に帰ってくるわよ。

 今、ルビーちゃんがしなくちゃいけないことは、ご両親が行ってほしいと願った学園に通うことよ!」


 マリアさんに励ましてもらって、私は立ち上がることが出来たにゃ。


「ありがとうございますにゃ」

「うんうん、ルビーちゃんは絶対に大丈夫だよ。

 だって可愛いもん。

 それにルビーちゃんが通うのはアレシダス王立学園だよ。

 ルビーちゃん自身の成長のために、きっと役に立つわ。

 それに色々な人が集まって来るんだもの。

 その中にはルビーちゃんよりも強い人がいるはずよ。

 その人が協力してくれるなら、ご両親の捜索も出来るかも知れないわ」


 マリアさんの言葉は私に希望を持たせてくれたにゃ。


 両親の無事を祈り。

 学園での成長を目標にして。

 強い人との出会い求めるにゃ。


「強くなるにゃ。仲間探すにゃ。父ちゃん、母ちゃんを助けるにゃ」


 私は猫族のルビーにゃ絶対諦めないのにゃ。

 獣人を受け入れてくれて、強い人を絶対に探すにゃ。

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