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あくまで怠惰な悪役貴族   作者: イコ
序章
11/379

健康楽々ダイエット

 婚約話をシロップから父にしてもらったところ……


「好きにすれば良い」


 ということだった。


 いや~本当にボクに無関心だよね。

 結婚だよ?他のお家にも関係することなんだよ。

 まぁ反対されるよりはいいんだけどね。


 お相手のカリビアン伯爵にはカリン様から話をしてもらって、より良い返事をもらえたので晴れて婚約成立したからいいけどさ。


 貴族の婚約ってこんなに簡単なのかな?


 挨拶の場にも父は現われなかったよ。

 カリビアン伯爵からは、すでに挨拶を済ませていると報告を受けたからいいのかな?申し訳ないです。


 父は、ボクと同席することすら嫌なんだね。


 傲慢で威圧的な態度をとり続ける父だから、来なくてよかったのかもね。

 きっと来ていたらカリン様は怯えてしまうから……。


 カリビアン伯爵は海の男という印象で、小麦色に焼けた肌と鍛えられた筋肉隆々な身体をした豪快そうな人だった。


「本当に私でよろしいのでしょうか?」


 向い合うカリン様は凄く恥ずかしそうに……それでいて不安そうにこちらに問いかけてきた。


 確かに少しふくよかではあるけれど、まだまだ12歳であるカリン様は今からいくらでも綺麗になれる。何を心配しているのかわからない。


 むしろ、12歳という年齢で世界各国の料理が作れる方が凄いと思う。


 それに何も持っていないのはボクの方だ。


「ボクの方こそ公爵家の次男ではありますが、後を継ぐことができません。ですから、カリビアン家に差し出せるのはこの身だけです。

 婿養子になりますが、よろしいのでしょうか?」


 カリン様にはご兄弟がいないので、ボクにとっては都合が良い。

 後々、弟でも生まれたら、その子に家督が譲られるだろう。

 ボクとしては、カリン様の料理の腕があればレストランをしても上手くいきそうな気はするけど。


「リューク君、君からカリンに告白してくれたと聞いてはいる。カリンの見た目を悪く言う子もいるが、カリンの内面を見て選んでくれたこと心から感謝する」


 すいません。内面も優しそうだと思いましたが、料理の腕と伯爵家の娘だということで決めました。


「カリビアン家としてはリューク君を歓迎するつもりだ。カリンがここまで好きだと言っているんだ。何も問題はない!」

「お父様!!! もう」

「ガハハハハハハ。だが、見たところリューク君はひ弱に見えるが、カリビアン家に来て本当に大丈夫か? うちは、海運商を生業にしている。海に出ることもあるんだぞ」

「それは問題ありません。日焼け止めを塗りますので」

「そっそうか」


 海の上でもバルがいれば船酔いになることはないし、働かなくちゃいけない時もバルに代わってもらえればボクは寝ていられる。

 カリビアン伯爵は複雑な顔をしていたが、豪快に笑っていた。


「そろそろ邪魔者は消えるとしよう。カリン、父さんは仕事に戻るから後は二人で楽しくお話をしてきなさい」

「はい。お父様」

「リューク君も、娘を頼むぞ」

「かしこまりました。お義父さん」

「ガハハハハハ」


 カリビアン伯爵は豪快に笑いながら去っていった。


「あっあの。リューク様」

「何かな?」


 言い淀むカリン様は意を決した瞳でボクを見る。


「私、綺麗になりたいのです!」

「うん?うん。カリン様は可愛いと思うよ」

「違うのです。リューク様は男性ですが、とてもお綺麗です。

 噂では幼い頃から美容の勉強をしていたとお伺いしました。

 だから、私もリューク様の隣に並ぶために綺麗になりたいのです」


 これは決意表明という奴なのかな?


「う~ん。手伝うことは出来るんだけど。厳しくするよ?」

「覚悟しています!私でも綺麗になれる方法はありますか?」

「うん。凄く簡単な方法でなれるよ」

「えっ?簡単なのですか?!」


 ボクの属性魔法を使えば、ダイエットは簡単にできてしまう。

 だけど、綺麗になるのは痩せればいいと言うわけじゃない。


「……ボクはね。カリン様」

「カリンで結構ですわ。私もリュークとお呼びしても?」

「いいよ」


 ボクはこれから話すことをカリン以外には聞かれたくなかったので、場所を変えることにした。

 屋敷に戻ったボクの部屋へとカリンを招き入れて、シロップに誰も入れないように見張ってもらう。


「カリン。ボクがしてあげられることは、ボクの魔法を応用して行うダイエットと、運動の強制なんだ」

「魔法を利用したダイエット? 運動の強制ですか?」

「うん。ボクの属性魔法は《睡眠》と《怠惰》の二つあるんだけど」

「二属性持ちですか!凄いですわ!」

「ありがとう。それでね、ボクの属性魔法を使えば健康的なダイエットは簡単にできてしまうんだ」

「ダイエットが簡単に……どうすればいいのですか?!」


 物凄い勢いで食いついた。

 ボクは手のひらの上にバルを出現させる。


「なっ、なんですの?」

「これはバル。バル、挨拶して」

「m(_ _)m」

「まぁ、可愛いです!」

「カリン、運動は得意?」

「……苦手ですわ。でも、力持ちですのよ!」


 うん。見た目でそうだと思っていたよ。


「運動はこいつを使う」

「えっ? バルさんに何ができますの?」


 ボクはシロップに見せたように寝ている間に運動をする姿を見せた。

 これをカリンが寝ている間にバルに有酸素運動をしてもらう。


「凄いですわ! リューク様は格闘家だったのですね!」

「違うよ。これは全てバルがボクの身体を動かしているんだ」

「バルさんが?どうなっているのでしょうか?」


 ボクはバルの性能を説明して、寝ている間に運動をさせることを説明する。


「それは確かにラク?なのでしょうか?」

「ラクだけど、運動した次の日は凄く身体が痛い」

「えっ?」

「慣れない間は、身体への負荷が少ない運動をしてもらうつもりだけど、それでも筋肉痛が出るから痛いよ。我慢できる?」

「がっ、頑張ります」


 カリンにとって綺麗になりたい=痩せたいということはなんとなく理解出来る。


 だけど、料理が大好きなカリンが料理をすることを止めてしまうのはボクにとって嬉しくない。

 どんなことでも技術は磨いてこそ上手くなっていくものだと思うからだ。

 ボクの目的を叶えるためには、カリンには料理上手のまま綺麗になってもらう必要がある。


「運動の次は外見的な美容だね。洗顔や化粧水、乳液はしているかな?」

「はい。毎日しております」

「では、やり方から見ていこうか」

「やり方ですの?」

「そうだ」


 ボクは石鹸を使って泡を作っていく。

 肌の上に乗せるように泡を押しつけて、肌を傷つけないように待つ。


「ふぇ? そんなやり方では汚れは落ちないのではないですか?」

「汚れは石鹸の泡が自然に浮き出して落としてくれるんだ。ゴシゴシと摩擦させることで肌を傷つけてしまうんだ。

 カリンは洗顔をゴシゴシしていないかい?」

「しておりましたわ」

「それは綺麗な肌を傷つけてしまうんだ。だから、洗顔の仕方として泡立てて、次にぬるいお湯でゆっくりと洗い流す」


 ボクは実践しながらカリンへやり方の指導をしていく。


 ダイエットで急激に痩せても健康に良くない。


 美味しい食事を取りつつも、運動と美容の知識を正しく持って、健康的な方法でダイエットを覚えて、美しくなってほしい。


 ついでにダイエットメニューでも、一緒に考えようかな?

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