おかえり
ヒューゴ・ラッセル副団長が連れた一行は、ドームの中から、情報になりそうなものを探り、捕虜とともに持ち帰っていた。
情報の中には、アスベル王国の軍事機密も入っていた。
これは、国内の中枢に裏切りがあるという裏付けで…。
もちろん目星はついているのだが、全く証拠が掴めない。
この情報も、証拠とは言えなかった。
捕虜は、自白するものもいたが、やはりアスベル王国の中枢に繋がるような情報を持ってる者はいなかった。
国王の誘拐は、国内外への影響が大きすぎるので、
今回の誘拐事件は、公にはされなかった。
ーーーーーー
「マオ!・・・怪我はどこにも・・・?」
リリアーナはマオに駆け寄ると上から下へ、指先で触れながら確認していく。
「痛いところは?」
「・・・ふふ、いつもの僕みたいですね。」
「心配した……。」
そういうと、目頭にじんわり熱がこもった。
「ごめんね、リリー。意地を張っていたよ。」
もう抑えられない涙を隠すように、マオの胸に顏をうずめると、ふわりと優しい両腕が私を包んだ。
おかえりなさい、マオ。
ーーーーーー
学園祭でリリアーナのクラスは、コーラスを披露することになっていた。
全クラス生徒30人が声を合わせて歌う。
各パートに分けて、合唱する。
リリアーナは、話し声の高さからソプラノに分けられていた。
それからノエル・ボルトンがピアノを弾くことになった。
音楽の先生が教室まできて、教えてくれる。
まずは発声練習からとなった。
一人一人、皆の前に出てピアノに合わせて歌う。
「次、リリアーナ・オーベル嬢こちらへ。」
呼ばれると、リリアーナは前に出て、簡単な発声練習をした。
「ドーレーミーファーソーラーシードー」
リリアーナが歌い終えると、その場の空気が凍った。
全員、隣どうしで、気まずそうに顔を見合わせる。
それはまるで、まるで、まるで小動物の泣き声かのよう。鳴き声ではない、泣き声である。
本人はまるで気づかないようで。
そこへ、殿下が教室に入ってきた。
パンパンパンパン!という、拍手と共に……。
殿下はキラキラしい笑顔で口を開くと。
「流石だなリリアーナ!とても良い声だな。天使の歌声かと思ったぞ。」
シーンとした教室の中、「ごくり。」と、何人かがつばを呑む音が聞こえた。
空気を察した先生が、指揮棒を取り出し、リリアーナの手にしっかりと持たせた。
「リリアーナ・オーベル嬢、あなたにはクラスをまとめる力があるわ。是非、指揮者を任せたいの、どうかしら?」
先生の声が少し上擦っていた。
リリアーナは突然の提案に少し驚き、返事を考えていると……
ーーパチパチパチパチ!
生徒たちは立ち上がり、これで指揮者は決まった!とばかりに、「おめでとうございます。」と口々に言った。
リリアーナは、満更でもない顔で指揮棒を受け取った。
「ええ、ありがとう。」
リリアーナが単純で良かった。
その場の全員が思ったことだった。
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(-人-)




