被害者が描くこうなったらいいな。
あぁ幸せの青い鳥ちゃんは私の元に帰ってきてくれ・・・はやく・・・私は中毒者なんだ・・・
「あー!もう!ふざっけるなよ!?なんでこんな少しで制限されるんだ!?」
その存在、世界間を容易に渡ることが可能な黒混じりの白い翼を持つ彼または彼女は怒りの声を上げていた。
「どうなさったのです?」
怒りを察し、うっかり八つ当たりでどこかの世界の人類を滅ぼしてしまう前に、執事服を着た、白髪のThe・執事と言える存在が問いかける。
「あ!聞いてよ!ファイゼル!第5根幹世界のSNSサービスがさ!制限かけやがったんだよ!?あー!もどかしい!かわいい動物の画像も、純粋な怒りの感情も、オタクの推しへの感情みたいないろんな信仰を眺めてられたのに!」
その叫びに、執事は困惑する。自身が仕える存在は、世界を壊すことすら可能な存在であると認識していた。
それなのにもかかわらず、主がそのような些細な出来事で一喜一憂していることは、理解ができなかった。
「なぜ、そんなにもその世界にこだわるのです?不愉快なら、干渉して都合よくしてしまえばいいでしょうに。」
執事の言葉に、主はきょとんと目を丸くする。
「あれ?言ったことなかったっけ?根幹世界・・・って言っても勝手に名付けてるだけなんだけどさ。大本に干渉できないんだよね。なんなら、分ける事すら私では不可能なのさ。」
今度は、執事が驚きで目を丸くする番だった。
「・・・万能とばかり、思っておりました。」
「はっはっは。ファイゼル君。そう言えば君は、最近来たばかりだったね。」
ファイゼルのことを笑いながらバシバシと背中を叩くのは、いつの間にかファイゼルの後ろにいた銀髪の中性的な外見の、狐の尾が生えた少年、メイトである。
「メイト様、そうですが・・・」
「この方ね、一回人間に負けてるのさ。万能でも何でもない、チョーっと力があるだけの存在なの。」
「メイト?あのねぇ・・・彼らを人間と呼ぶのはどうかと思うわ。それに、私も私ではなかったしね。それより、聞いて頂戴!このむかつくマスクとか言うのがね!」
「あー、はいはい。前に言ってた、推し?とやらのことを眺めるのに使ってるツールですよね?根幹世界にほとんど干渉できないとはいえ、分流くらいは作れるんじゃないですか?分けてしまえばやりたい放題でしょう?」
メイトの言葉に、主は頬を膨らませる。
「この、根幹世界の濃度がいいのよ!分流だと劣化しちゃうの!」
「はぁ・・・分流でストレス発散してもらうのが、一番なんですがねぇ・・・」
「・・・それよ!」
「はい?」
「今、彼らの嘆きが存在するわ。」
「彼ら、ですか?」
「あぁ、同じツール使ってる民ですね。感情を信仰にできるのであれば、相当なエネルギーが・・・」
「彼らの望みはただ一つ!良いSNSツールを作ること!じゃーもうその願いを叶えてあげるしかないでしょう!神として!」
「貴方は神は神でも邪神に近いですがね。」
「うるさいわね!細かいことは気にしないの!この怒りと嘆きと願いの感情を信仰とし!分流作ってやるわよ!」
ソレは瞬間的に掻き消え、地球の世界樹の外側に巨大な状態となって現れる。
手をかざし、カッと光らせると、第五根幹世界と呼ばれた、数多の枝が生えている太い幹から、新たな芽が生える。
「この世界では、ついー・・・名称そのままは良くないわね。うーん・・・ディザスター・・・disaster・・・dis,aster・・・Asterなんていいんじゃないかしら。アスートに、返信と、拡散と、肯定、否定、あと閲覧、付箋・・・これくらいでいいかしら?あ、アカウントと単語のブロックとミュートは必須ね。よし、これでいいわ!」
分流側の人類視点からすると、2023年7月3日の早朝3時に、唐突にいつどこからでもアクセスできるホログラムのような画面が出現するようになり、そこにはAsterと言う名の、シオンの花のマークのアイコンが一つあり、そしてそこには便利極まりないSNSツールが存在する状況となったのである。
災害が起きても、決して途絶えることのないSNSツールは、数多の命を救い、そして笑いと怒りと悲しみを共有することができるツールとなったのだ。
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