9話 鑑定したら桁違いだった
メアリー様と別れた私とエヴァンは、冒険者ギルドの中に入ると、そこは結構賑わっていた。
昔に実在した海賊たちがいそうな酒場とかを想像してたけど、そこまで荒れてはいない。
けど、物珍しそうに見られてるからものすごく緊張してる。
なんか怖くなってきた。エヴァンの後ろに隠れとこ。
登録するには、どこでするんだろう。
「いらっしゃいませ。冒険者登録ですか?」
「はい」
「では、こちらにお名前を。鑑定はこちらの能力鑑定機で致しますので、書き終わったら手を置いてください」
コーヒーを紙全部に溢してしまったような色をしたのが2枚。私たちの目の前の机に置かれ、水晶型の鑑定機を紙の間に置いた。
鑑定をするって言ったけど、どうやってするんだろう。占いみたいに映像とかが浮かんでくるのかな? それとも小説みたいにステータスみたいなのが目の前に出てきたり?
そんなまさかね。
おっと、早く書かないとって思ったら書いてある文字が全て英語。ここはエヴァンに助けてもらおう。
「どうでしたか?」
「数字で書かれていてよく分からんが、低い方なのか?」
「教えて貰ってもよろしいですか?」
水晶からどうやって文字が書かれているのかわからないけど、これはやっている人しか見えないのかな?
エヴァンが言うには
【 HP 】 15
【 MP 】 15
【 STR 】 16
【 CON 】 15
【 POW 】 15
【 DEX 】 11
【 EDU 】 11
【 INT 】 13
【 SAN 】 75
だって。
これってクトゥルフ神話TRPGと同じステータスだよね。
HPとかMPとかを除いてSTRしか私まだ理解してないけど。何度も見たことあるステータス表記だから分かる。
SANはあれか。SAN値ピンチ!でよく聞くやつか!
でも、なんでこんな表し方なんだろう。
もし召喚された時にあの人たちにも見えていたとしたら、高校生たちは危ないんじゃ。
「あ、あなたいったい何者なんですか!」
び、びっくりした。いきなり大声上げたら心臓が飛び出ちゃうよ。条件反射で体が飛び跳ねちゃった。
「最初からこれほど高い人は久しぶりに見ました! これならば、高ランクの冒険者としてやっていけますよ!」
「いや、いい。最初から始める」
「で、ですが」
受付さんの目がキラキラ輝いてる。
自分のを記入しようとしたんだけど、英語で解んないんだよね。
どうしよう。声かけたいけど、受付さんが必死に熱弁してるから声かけづらい。
「書き終わったか?」
「ま、まだ」
「なにで手が止まってる?」
「……全部。これ読めない」
騒がれるのが好きじゃないエヴァンは、話を途中で終わらせて私の方に向いてくれた。
良かった、気付いてくれて。でも途中で終わらせてよかったのかな?
「名前だけでいいんだぞ」
あ、そうなの? あれ、さっきそう言ってたっけ?
書いたら次は鑑定機に手を置くんだったよね。
えっと、何が書いてあるんだろう。STR? あ、ストレングスの略か。これだけは分かったよ。
TRPGの知識だけどね。
なんかますますゲームっぽくなってきてない? 本当に現実? 召喚されたけど、実はゲームの世界だなんてことはないよね。
もう、訳わかんなくなってきちゃった。
【 HP 】 9
【 МP 】 不明
【 STR 】 10
【 CON 】 8
【 POW 】 7
【 DEX 】 10
【 EDU 】 15
【 INT 】 13
【 SAN 】 35
こうやって私のが表記されたけど、SAN値は低い方なのかな? MPが不明って何だろう。
他の人のが分からないから何とも言えないし。エヴァンのは規格外だって驚かれていたから参考にはならないよね。
「えっと、ストレングスが10。CONが」
「Constitutionの略称だ。日本語だと体質という意味になる。受付嬢、俺はよく分からんのだが、STRとかCONは何の意味があるんだ?」
「それはですね。STRは数字によって持てる武器とかが異なります。CONは生命力が高ければ高いほど、毒や溺れそうになった時に抵抗出来るんです。貴方は全てにおいて高かったので、これから先困ることは少ないと思いますよ」
そりゃそうだよ。私がエヴァンを強い男の人が良いなって思って設定したんだもん。
だって強い人に護ってもらったら、興奮しちゃうじゃん?
あれ? ということは、エヴァンのを勝手にいじれるってことだよね? 私が設定した強さだから。
ま、そんなひどいことはしないけどね。必要になった時は変えたりするかもしれないけど、勝手にして嫌な思いとかさせたくないし。
例えるならば、勝手に人の脳をいじるようなものだからね。
私が生み出したとはいっても、彼は実際に目の前にいて生きているわけだから。