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8話 冒険者ギルドへお姫様と

「これから行く場所はエルトという街で、この国はラピテルといいます」



 わかったのはいいことだけど、知らない名前だし、メアリー様から聞いたことでここが違う世界なんだなって思い知ってしまった。

 それに、私が小説を書いてたときにつけた国の名前でもないし、ほかの作家さんが考えた場所でもなさそう。

 どうしよう。また新たな問題が出来ちゃった。

 来ちゃったのも問題だけだけど、どうやって現代に帰るか、だよ。



「……そこには何があるんですか?」



 今は答えが見つからないし、無理に考えて体調崩しても嫌だから慣れてから考えることにしようかな。

 


 少しでもこの世界に早く慣れるために、自分からも質問していこう。

 こうやって言葉が通じて、いろいろと聞けるんだから。

 

 人見知りを常に発動しているけど、慣れたら怖くない。たぶん。

 いろいろと勇気はいると思う。その為に常に元気でいなきゃ。

 健康じゃなきゃ何もかもめんどくさくなるからね。



「いろいろとございますよ。お食事処や宿泊施設。服飾屋や鍛冶場など。あと、冒険者ギルドや職業ギルドなどもありますね」

「ぼうけんしゃぎるど……?」



 小説とかでよく見る冒険者が集まって依頼をこなすあの場所の事かな? それとも未知を求めて旅をする人のことだったり? 

 本来だったら、未知を求めて旅をする人のことを冒険者っていうけど、ここは前者のことになるのかも。

 わけがわからずに、突然異世界召喚されたっぽいし、『勇者様』と『魔王』って言葉が聞こえてきたから。

 

 いまだに半分はゲームっぽいなってちょっと思っているところもあるしね。



「困っている人の依頼などを受け持ち、それを生業としている方々の事ですね」



 あ、やっぱり。

 ちょっと望みは薄いけど、そこに行ったら何か情報が分かるかな? それともここに呼んだ人に聞いてみるか。

 

 となると召喚されたところに行かないといけないよね。あそこはお城だったのかな。

 としたら呼んだのは王様?

 今、簡単にメアリー様に会ってるけど、普通はそう簡単に会えないよね? え、そんな気軽に会えるものなの?



「あかり様?」

「あ、ご、ごめんなさい!」



 いろいろと考えこんじゃって、エヴァンとメアリー様に心配そうに顔を見られてしまった。



「冒険者ギルドにご興味があるのですか?」

「ええ、まぁ」

「それでしたらそちらまで案内致しましょうか?」

「え、そんな! メアリー様にそこまで! それに、エヴァンの意見も聞きたいし……」

「お前の指示に従う」



 思考を放棄しないで! 現実世界でいろんなことに縛られてて、こっちではなんも縛りもなく行動出来るのは確かに楽しそうなんだけど、冒険者ギルドって小説とかの話の内容そのままだったらめちゃくちゃ危険なことがいっぱいなんだよ! そこは止めてほしかったな! 



「別に冒険者ギルドに行かなくても別の街とかにいけば……」

「街の中に入るにはお金を払うか、証明書がなければ難しいのですよ。そのお金も10エールもいりますし」



 はい、決定! お金や証明書なんて日本のじゃ通用しないし、お金の単位っぽいのが聞こえてきたけど、そのエールがどれくらいの価値なのかもまだわかってないし! 

 待って。じゃあ、これから私たちどうやって街に入るの? お金持ってないよ! 不法侵入で捕まっちゃう!



「……なんというかにぎやか方ですね」

「申し訳ない」

「ご、ごめんなさい。お騒がせしてしまって……」

「元気になって何よりですわ」



 自身の顔に出ていたのか2人に心配そうな顔で見られていた。

 いろんな意味で心配させてしまった。落ち着いた大人としてこれからふるまわなきゃ。



「これから街の中に入りますが、今日はわたくしがあなた方お二人の入国金を払いますね」

「そんな、悪いですよ……!」

「そのかわり、わたくしが何か困っている時助けてください。1つ貸しですよ?」



 タダでなんてことはなかった。そりゃそうだよね。無償でいろいろとしてくれるのは優しすぎるもんね。



「彼女がまだ力不足だった場合、私が代わりにしましょう。彼女の分も含めて」

「ええ、お願いします」



 私たち三人の中で密約? 口約?が出来ました。どんな助けになるかはわからないけど、恩は恩で返さなきゃね。


 街に入る前にお姫様が門番に話を付けてくれて、お金も払って無事入ることが出来た。

 渡したときに見たんだけど、あれは銅だったのかな? よくわからないや。

 

 無事入れたし、何も問題を起こさなければ大丈夫。



 ギルドに行くのにこの馬車のままじゃ怪しまれるだろうってことをエヴァンが提案して、途中で降り、お姫様は派手過ぎない布で顔をかくして案内してくれたけど、それがまたいい生地の布っぽくて街の人からはなんだなんだ? と注目を浴びてしまった。



「着きましたわ。ここが冒険者ギルドです」


お姫様が顔を隠しながら案内されて、目の前には立派な建築物が。私の語彙力じゃ立派っていう言葉しか出てこなかった。


「何から何までありがとうございます」

「健闘を祈っておりますわ」

「ありがとうございます」



 少しどころかたくさん不安なことがいっぱいだけど、帰るために無理せずこれから頑張らなきゃね。

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