表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/38

4話 能力が分かり始めました

「ほら、焼けたぞ」

「ありがとー……」


 昨日獲ったお肉を焼けた状態でエヴァンが渡してくれた。


 明日は絶対筋肉痛になってるよ、これ。だって腕がプルプル震えてるんだもん

 年を取ると筋肉痛が遅れてくるっていうけど、明日だったら私はまだまだ若いかな。

 ご年配の方は3日後だったかな。それくらいに来るとか聞くし。



「寝る前にまとめられること(まと)めたか」

「うん」



 2回連続でわさび味のお肉だけど文句は言わない。

 私が料理出来たらいいんだけど、いつも何かしらに失敗してるからな。

 例えばカレーだったら水っぽくなったり、野菜炒めでも塩コショウが多すぎてめちゃくちゃ辛くなったりで。



「それで、今の段階でわかったことはあるのか?」

「全然」

「そうか」



 いくつか問題を抱えたときは、何から考えたほうがいいんだろう。

 目の前にある小さいものから? それとも大きいものから? 

 

 エヴァンがここにいるのは、私が危機的状況に遭ったから。そのときの私は何も出来なくてただ目を(つむ)って固まってただけ。


 これからも同じやり方をするといつか死んでしまう。

 だから別の方法を考えないといけない。それが分かったら別のことも出来そうなんだけどな。


 最初から思い出してみようかな。

 お城に召喚されて、勇者とか巫女とか誰かが言って、水晶で鑑定されて、『巻き込まれた一般人。スキル【創作キャラクター召喚】』で高校生に笑われて森で彷徨っているところにエヴァンが来た。

 

 召喚ってことは別のキャラもここに呼べるってことかな。

 仮にそうだとして、試そうにもそのやり方が分かんないんだよね。

 

 確か、ここに来たとき″ゲームみたいな世界だ″って思った。

 もし、本当にそんな世界だったらあの言葉を言えば何か分かるのかな。


 もちろんエヴァンには聞こえないように。なんたって恥ずかしいからね。



「ステータスオープン」





 うん。何も起きなかった。そりゃそうだよね! 現実でゲームみたいに画面目の前に出るわけじゃないもんね!

 エヴァンが変なもの見たというような視線を送ってくるけど、知ーらない。



「……いろいろと試行錯誤しているのは分かるのだが、その言葉の意味もわからんし、それは人前で言わんほうがいいぞ」

「……うん」



 聞こえてたー! 

 しかも英語を日常的に話している人の前で和英語で話すのってめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど。

 穴があったら入りたい! 穴を掘る力すら今ないから顔をうずめることしか出来ないよ!

 


「参考になるかわからんが、俺たちの世界を創っているということはノベリストなんだろ? それを活用してみたらどうだ」

「あー」



 そっか。頭の中で考えればあんな恥ずかしい思いしなくてもいいのか。

 でも、考えたとしてどうするか。ノベリストって小説家とかのことを言ってるんだよね。なにか書けばいいのかな。



「何か思いついたか」

「なんとなくは思いついたけど、それをどうやって外に出すかなんだよね」



 紙もないし、パソコンもない。今手元にあるとすればスマホだけ。

 一応スマホのメモ帳で試してみるかな。

 でも充電が無くなっていそうなんだよね。最近経年劣化ですぐ充電が少なくなってるし。



「ん?」

「どうした」



 スマホの右上に今何パーセントっていつも表示してるんだけど、バイト行くときに充電していた100パーセントのまま変わってない。

 いつもだったら67パーセントぐらいになってるのに。

 相変わらず電波は入ってないけど。



「充電が満タンだ」

「それの何がおかしいんだ?」

「これ2年以上使ってるからバッテリーの減りがいつも激しいんだけど、全然変わってない」



 今思い出して手に取るまで全然頭の中になかったし、充電もしていないんだけどな。



「確かに変だな」



 立ち上がり、私の隣に来てスマホをのぞき込んでる。

 別のことをと思ったけど、全部電波がないと使えないアプリばかりだった。

 今唯一使えるのはメモ帳だけ。



「何か書いて変わるか試してみたらどうだ」

「うん」



 試しに何を書こうかな。小説だからちゃんとしたお話になってないといけないよね。

 うーん、今のところ何も思いつかない。



「何かいい案ある?」

「今欲しているものしか俺の頭の中にないが」

「それは何?」

「水」



 水大事だもんね。人は食料はなくても水があれば結構生きられるとかいうし。

 ただ水と書いて出てくるかな?



「お水っと」



 メモ帳に書いてみたけど、どうやって出てくるんだろう。目の前に急に出てくるのかな? それとも地面から湧き出してきたりとか? ははっ、そんなわけないよねー!



 って笑ってたけど、本当に出てきたら心臓が飛び出てると思う。

 結果、出てこなかった。本当に小説みたいに書かないといけないみたい。 語彙力が大事になってくるじゃんそれって。私のじゃいつか苦しくなってくるよ。


 エヴァンなんか飽きたのか焚火のところにいつの間にか行ってるし。



「出てきたか?」

「ううん」

「そうか。バッテリーのほうはどうだ?」



 えっと……。あれ、何も変化ない。100パーセントのままだ

 とりあえず今分かったことは、物が出てこないとバッテリーは減らないということだけかな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ