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31話 探し物

 中に入れてもらうと、高く積みあがる棚に本が置かれている。あまりにも高すぎるのはどうやって取ろう。はしごとかあるかな。周りを見渡してもそれらしきものは見当たらない。

 とりあえず目的の物さがしてからガインさんに聞いてみよう。


「あかりちゃん、何を探すの?」

「この国が出来てからの歴史が書かれている本だよ」

「当てはある?」

「今のところはないかな。それらしきものを探して見つけるって感じ」


 この世界の文字が英語で良かった。異世界の言葉だったら完全に詰んでた。歴史は英語でヒストリーだよね。じゃあ、その文字を探せば見つかるかも。


「うーん、これかな?」


 とりあえず歴史って書かれている本を取ってみたけど、なんて書いてあるんだろう。


「エヴァン、これってなんて書いてあるの?」


 見つけた本を持ちながら探し物をしているエヴァンに近づく。ゾーイに聞いても良かったけど、今は少し離れたところに居たから近いエヴァンにした。本を自分の顔の前にまで持っていき見えやすい位置まで上げる。

 

「それは、nautical historyだから航海の歴史だな」

「じゃあ、これは違うか」

「とりあえず持ってたらいいんじゃないか?」

「そうだね」


 持ったまま他の本を探すことに。似たように歴史と書かれているのは見つけたけど、目的の物じゃないんだよな。念じてたら出てくるかな?


「見つかった?」

「全然。ゾーイは?」

「これかなって思うものはあったけれど」


 遠くで探し物をしていたゾーイが近づいてきて、分厚い本を渡してくる。表紙には【エルトの歴史】と書かれていた。忘れそうになるけど、この街そういえばエルトって名前だった。

 まぁ、それはおいといて、その本がまさしく求めていた物だった。けど、本が相当分厚く、該当(がいとう)する出来事をこの中から探さないといけない。長くなりそう。


「エヴァン、こっち来て」

「見つかったのか?」

「うん」


 見ていた本を持ったまま、私のもとに来るエヴァン。その手に持っている本も分厚そう。


「それなに?」

「いや、わからん。文字が読めないんだが気になってな」


 手渡された本の拍子を見ていると黒く塗りつぶされてうごめいている。その文字を見た途端、自分の背中がゾワリと泡立った気がした。本能的にこれは見ちゃいけない。見て読んだらSAN値が減る。確実に。


「エヴァン、それの中身見てないよね?」

「ああ、見てないが」

「それ渡して」

「あ、ああ」


 自分の顔は鏡を見ないと分からないけど、エヴァンが驚いた顔しながら本を渡してくる。


「あかりちゃん?」

「なに?」


 ゾーイがおそるおそる私に声をかけてくる。さっきの顔見ちゃったのかも。


「今の顔すごく怖かったけど、その本がどうかしたの?」

「ちょっと嫌な予感がしたから預かっておこうと思ってね。ゾーイも見ちゃダメだよ」

「あかりちゃんがそう言うなら見ないわ」


 この本、どうにかして回収出来ないかな? というより、何故こんな危ないものがここにあるんだろう。紛れ込んだとかかな? ガインさんに聞いてみよう。


「ガインさん、この本っていつからありました?」

「いや、分からん」

「本当に?」

「ああ」


 嘘かどうか判断出来ればいいんだけど。クトゥルフのシナリオとかだったら心理学で分かるけど、今は現実だしな。

 説得出来るかな。この本を私に預けて欲しいって。


「ガインさん。この本、私が預かっていいですか?」

「おま……それはダメだ。いつからあるのかはわからんが、ここのものは持ち出し禁止だと最初に言っただろ」


 当然止めようとしてくる。だから、なんとしてでも説得し続けなきゃいけない。


「確かに言いました。けど、この本がもし、今の状況よりも酷いことを起こしてしまう本だとしたら? 最悪この本を見た受付の人が死んでしまったら?」

「本を見て死ぬなんてことあるわけないだろ」

「通常ならないです。けど、この本はそれを可能にしてしまう。ガインさん、私を信じてください。これは絶対に人に見せちゃいけない本なんです」


 これで渡してくれるだろうか? 渡してくれなかったら、どうしよう。誰も見ないように鍵をかけて保管するしかない。


「そう言われるとここに置いておくのは危険だが、どのような本でも持ち出しは禁止だ」

「……分かりました。なら、せめて誰も見ることが出来ないよう、厳重に保管してほしいんです。それは出来ますか?」

「ああ」


 厳重に保管された後誰も開けないことを望むしかない。

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