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17話 従魔登録

「正しくは、俺とあかり、どちらかが触れている間だな。言葉で説明しても良かったが、見てもらう方が1番早いだろ」


 ガインさんが目を見開いて驚いたあと、考える素振りをしている。それにしても触れている間しか見えない馬か。


「では、見えるようにすれば」

「する必要はない」


 する必要ないって何故だろう。見えていないとあとから困るよ。それに毎回説明するのも大変だし。


「あんたらに呼ばれたということは今まで見たこともない馬ということだ。なかには物珍しさに(さら)おうとする(やから)もいるだろう。話が広まれば広まる程、そういうリスクも増える。それに、俺が近くにいるときより、あかりが近くにいた時を狙う可能性高い」


 ちらりとエヴァンが私を見上げてくる。ま、まぁ、明らかに拉致しやすそうだしね、私って。実際弱いし。


「今はまだ分からなくても、(さら)う方法が分かればすぐ行動を起こすさ、奴らはな」


 だから、と言いながら立ち上がり、エヴァンはガインさんを鋭い目つきで睨んでいる。


「くれぐれも口外しないようにしてくれると助かる」


 お願いするときの顔じゃなかったよ、今の。猫ちゃんがめちゃくちゃ怒っているときみたいに目が細くなってたし。眉間にしわも寄っていた。それのせいでガインさん、すごく腰が引けてる。どちらが強いのかなんてわからないけど、屈強なギルド長、怯えちゃってるよ。


「俺たちのところに従魔がいるっていう登録だけはしておく」


 用は済んだと言わんばかりにお馬さんを連れてギルド長の部屋を出ていくエヴァン。自分もお願いしますと一言告げてから頭を下げ、彼の後を追う。


「ガインさん、めちゃくちゃ怖がってたよ」

「あれくらいで怖がってちゃ、ギルド長なんて出来んだろ。気のせいだ」

「そうかな」


 足で床を擦るような音がしていたけど、聞き間違いだったのかな。緊張しすぎて会話はほとんどエヴァンに任せてばかりだったけど、それだけは聞こえた。


 ギルド長の部屋を出てから私たちは、従魔登録をするために受付に戻っていく。触っていなければ分からないお馬さんを登録するというなんとも不思議な状況に。受付さんも混乱した様子で登録を進めていた。何度も大丈夫だよねと小さい声で呟きながら。その気持ち分かるよ。私も不安になったとき、何度も同じことを確認するから。


「こ、これで従魔登録完了です」


 受付の人が戸惑いながら、レザーの腕輪を渡してきた。1つはお馬さん用だとして、もう1つはどちらが付けたらいいんだろう。


「これどっちが付ける?」

「俺がつけよう。さっきギルド長に説明したとおりのことが起きた場合を考えてな」

「お願いね。何かあったとしてもエヴァンなら切り抜けられるだろうし」


 絶対とかは言い切れないけど、もし誘拐されたとしても生きていられるように軍人にしたからね。半分は私の趣味だけど。


 エヴァンが腕につけたのを確認した後、私は隣にいるお馬さんを見上げた。この大きいものを付けたとき、一緒に見えなくなるのかな。それともこれだけが浮かび上がったり。

 

 あ、そうだ。名前考えなきゃいけないんだった。とはいうものの、ネイビーサン以外のいい名前はまったく浮かび上がらない。召喚される前の世界の馬の名前をつけるのも違う気がするし、難しいな。キャラクターを考えるのは楽しいけれど、いつも迷うのが名前。性格も含めて考えるようにしているから、なかなか決められない。


「どうした」

「何でもないよ」


 頭の中でいろいろ考えてたらエヴァンに心配された。こうなったらエヴァンに相談するか。


「ねぇ、エヴァン。お馬さんの名前ネイビーサン以外思いつかなったから、これでいいかな?」

「悩んでそれに決めたのなら、俺は何も言わんさ」

「これからあなたの名前はネイビーサンね」


 首につけようとしたけど、意外と地面から頭の位置が高くて付けられなかった。158センチの私が背伸びしても届かないってことは、少なくとも170くらいはあるのかな。何度か試そうとしたけど結果は変わらなくて、エヴァンが代わりに付けてくれることに。


「ありがとう」

「ああ。まぁ、仕方ないことだってあるさ」


 お馬さん(あらた)めネイビーサンは抵抗とかもせず、首輪を付けてくれた。苦しくないだろうかと顔を見たけど、分からなかった。確か不満とかがあると前足を()くんだったかな。それがないから大丈夫だと思うけど。

 今後苦しそうにしてたら(ゆる)めておかないとね。

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