七十一話 激動
非常に大きな境となります。
速報。
プライモVSダンジョン(男児音)&凛堂。
それは、予期せぬ事態を引き起こす。
東、西、南、北。
全ての地域へ偶然流れたその圧倒的な情報が、眠れる者達を叩き起こす。
反英雄、将又英雄。
各地最強の武人、騎士。
そして、天使や魔王に至るまで。
誰かから誰かへと伝い伝いに流れる久方ぶりの刺激ある試合に、古今東西の実力者が集まる。
9月7日。
午前10時30分にA地区を出て30分。
E地区の検問を潜ると何やら大騒ぎが起きていた。
まだ現地には当事者は着いてないと言うのに、何事か。
アルバ達20名の乗る馬車親衛隊7、7名の二輌とブレイド&クラスに魔王二人が乗る一輌。
そして、マリウェルとプライモが乗る一輌。
これ等の馬車列が道を突き抜けて行くとそれだけで歓声が上がる。
何故、これ程の騒ぎが?
荷台から外を覗き込むと、奇妙な話が耳に入る。
「明らかに普通じゃない奴らが闘技場に集まってるってよ。
どうなっちまうんだこの国は。」
「各地区の放映館や広場は観客で溢れ返ってるとよ。」
「いつかの販売水晶で見た事ある奴が居たんだよ、確か腕相撲ーーー」
プライモや魔王達のみが、先から異常に強力な魔力を感じ取った。
まだ闘技場まで4kmもあると言うのに、顔を驚かせて三人が荷台から遠方を見る。
すると進行方向の上空100m高度から見慣れた姿のものが現れる。
そう、彼。
松薔薇であった。
人々は稀に姿を見せ人類を導くと言われる【賢者】の英雄、松薔薇を目撃し歓喜の声を上げる。
だがこの時点で既に異様な事態である事を他の馬車に乗る者達も感じ始める。
何故?どうしてあの多忙な彼が此処に。
答えは、すぐに分かる。
「良いですか貴方達ーーーー!!」
「ーーーーーー全てです!」
「凡ゆる全てが来ています!!」
「貴方等に期待を寄せ、集まったのです!」
「気合いを入れなさい!応えなさい!」
ブレイド達が何やら盛り上がる松薔薇を見てどうなるのかと不安や期待感で浮き足立つ中。
更に別の誰かが飛行して来る。
それは、
「私はレインドと言う。
久方振りの最高格の戦いが見れると聞き文字通り飛んで来てしまった。
巳浦もとい巴も来ている手前、心からの健闘を祈る。」
「ーーーー巳浦が、来てる。」
「かの、大英雄か。」
「そうだよ、僕が唯一認めた人間。
そうか、彼が。」
「ーーーーーーは、はは。」
荷馬車からプライモが飛び出す。
周囲が物音を聞き何かと首を出すと、そこには一つの浮いた剣に足を乗せ遥か前方へ飛んで行くプライモの姿があった。
皆が呆然とする場に、たった2名が流れと言わんばかりにそれへ続く。
凛堂と、ダンジョンである。
左右から互いに飛び出ると。
凛堂は地面を全力で蹴り。
ダンジョンは顕現させた大剣を全力で投げそれに掴まり。
途轍もない速度で遥か先へと消えて行く。
理解を止めてアルバ達は一先ず荷台へ戻る。
ブレイド達は歯痒い思いを抱きつつ、先に何が起きているのかを思い馳せて行く。
そして。
「あ、来た。」
「へぇ、あれが。」
「とんでもないない、ほぉっ?」
プライモ達三人は確かに目撃する。
誰が何処の召還者か、何処の出身かは正確には分からないが。
全ての英雄級らしき人物達が集結していた。
勿論見慣れた者もおり、凛堂は地上に降りるとハイデン王国以来に会ったレインドと挨拶を交わす。
そして、その横にいる巳浦にも。
プライモが駆けつけて来る。
巳浦もそれに気付き、嬉しそうな顔で再会を喜ぶ。
「やぁ、裏界以来だね。
元気だったかい?」
「おう、元気も元気よ。
色々あって今は娘がいるんだが、ほら。」
「こんにちわ!」
「うん、強いねこの子。
君の、子供なんだ。」
「それと、私のな。」
「ーーーー確か、レインド。
君も強いね、うん。」
「そう言って貰えると光栄だな。」
「凛堂様ぁぁぁ!」
「ん。
ーーーーーーおぉ、切咲か?」
「はい、私です!
ちゃんと覚えてくれてたのですね!嬉しい。」
「お前は珍しく強い女だから、忘れねぇよ。
北西末端にある鎖国ゼツの英雄さん。」
「そこまで褒めないで下さい、貴方が居なかったら私は此処まで強くなろうとしませんでした。」
「またまたぁ、元々60級はあったろ。」
「そうですけどっ。」
「ダンジョン。」
「んー、この声は。
………………あ、ガイダル!」
「何だその反応は?忘れてたのか、貴様。」
「いやいや!仲間の事忘れるなんてそんな。
ただあまりにも期間が空いてて少しね?」
ーーーーー某も居るぞ。
「え、まさか。」
「久方振りだな、ダンジョン殿。
某、ライメスを忘れておらぬ様で安心した。」
「だぁから、忘れませんって!
皆さんの僕の扱い何なんですかもう!」
ーーーーやはり、我を忘れているではないか。
「あー、あ、ん?えーっと。」
「…………レイバルだ。」
「あーすいません、全く姿見せないもので本当に忘れてましたっす。」
「ーーーーそれは、我も悪いな。」
世界中。
奇跡的な出来事だ。
現界している全英雄と反英雄。
隠居していた筈の魔王。
そして尊敬の眼差しを送ってくる少し離れた位置の武人達。
今この国は、結果的に最強の国となった。
そんな空気感の中、松薔薇が降り立ちこの場の全員に通達する。
可能な限り世界各国各地にある秘密の書記を、全国皆々で共有したい、と。
その件を聞き全員が空気を変える。
冷たい、殺意に塗れた空気感へ。
だがそれを制止する声が一つ。
ーーーネイシャの声であった。
「あのね!
皆んなも色々あって召還されてるとは思うんだけど、私丁度今ガイダルさんと松薔薇さんから話を聞いたの。」
「どうにも私達は【世界の意思】に都合良く動かされて、世界全体を乱すように仕向けられてるみたいで。」
「既にイルディア公国、ダイエン共和国、ハイデン王国の三国はバルト王国と友好関係にある。
今すぐには決められないだろうけど、良かったら今日の内にその話をしたいなぁって。」
「あ、私ネイシャって言います。
ネイシャーインディアフォンツォーアムザアーナムって聞いた事ある?よろしくねー!」
国民達は意味不明な内容で仁王立ちだが、英雄や反英雄達はその言葉を聞き騒ぎ出す。
では、自分達が牽制し合う意味はない?
異様に簡単に召還されたのもそれが原因?
偏向的な内容の書記に類似する内容等も明かされ、その会話に松薔薇が割って入り事情を聴取していく。
今日、世界を大きく動かす事になる。
そんな予感が、全域に及ぶ。
そんな中。
ネイシャの絹の外套から覗く顔に惹かれ一人の男が名乗り上げる。
彼はデルゼロ。
7世紀、没落する事になったフォンツォ王国で最後の当主となった男だ。
本名を、デルゼローインディアフォンツォーアムザアーナムと言う。
兼ねてより言い伝えられてきた5世紀の女王であり凋落の切っ掛けとも言われる反英雄の彼女を見て、黙ってはいられなかった。
ネイシャに似て綺麗な黒基調の薔薇色髪を耳まで伸ばす彼を見て、ネイシャもまた注視する。
「貴女が、貴女がいけないんだ。
貴女がゾルイア帝国に負けなければ、僕達のフォンツォ王国は崩壊せずに済んだんだよォッ!」
「ーーーー君は。」
「僕はデルゼロっ!
4代目である貴女から7代先の11代目当主だ!」
「そっか。
……………ごめんね、その話は聞きたくない。」
「ーーーーーなんだよ、それ。」
ふざけるなよ。
ふざけるな。
ざけるな。
ーーー。
彼の身に、魔力が纏われていく。
それは彼女と同じ原始魔力ではなく、薄く滲んだ黒の強化魔力であった。
周りの強者も気配を感じ警戒する。
が。
たった、一歩。
歩むだけで皆を振り向かせる程の存在が、そこに居た。
5世紀当時のギルドで初代 gloryClass(現在で言う白銀腕章)を異例として発行された正真正銘の英雄。
ーーーーー名は、ウォーレン-イコリル。
静観していたプライモですらが目を向ける。
彼の放つ強烈極まりない熱魔力は、高圧の蒸気宛らに周辺半径10m近くまで達していた。
金髪のソフトオールバックを風に流しつつデルゼロの頭を遥か上から撫でる彼を、デルゼロ本人は大きく上へ見上げる。
彼は、あまりにも大きい。
身長2m5cm、体重120kg。
ほんの少し小さいダンジョンといった体格だ。
自然と周りも彼へと視線を集める。
だが一番目を固くさせたのは、ネイシャである。
「あ、貴方があの、ギルド最初に栄光に選ばれた冒険者っ。」
「そういう嬢さんの話もよく耳にしたよ。
女性でありながらたったの二年、20歳に栄光級に成り上がった天賦の冒険者。
一度会ってみたいと思っていたよ。」
「わ、私こそ!
当時もしお会いしていたら私は貴貴方と結婚しようと思っていたのですから!」
「ほう、それは光栄だね。
ではーーー」
目前に立ち彼女を両腕で持ち上げながら言う。
今からでも?と。
ネイシャも流石に戸惑いを見せるが、何処かから飛び込んでくる者がいた。
それに含まれた魔物に近い狂気を感じウォーレンが防御の姿勢を取る。
重い一撃を、確かに受け切る。
その正体は。
赤黒い魔力の霧が晴れる。
そこには、無感情にウォーレンへ左上段回し蹴りを【全力で】打ち込むレイブンの姿があった。
ネイシャも反射的に名を呼ぶ。
すると、英雄達や魔王達が一様にその名を聞いて歴史を思い出す。
1〜2世紀。
これまでの歴史でも類を見ない程の凶悪な殺人鬼が居たと言う。
計6名共に危険である中、最後の6代目が最悪だったと聞く。
その者の名は、レイブン-スペル。
全員に警戒されるのを意にも介さず、レイブンはウォーレンに全力の体術を止められた事への驚きを抑えられずにいた。
何故、平気な顔を出来る。
どういう耐久性だ、こいつ。
ネイシャを抱っこして後方へ飛ぶ。
ウォーレンも意味を理解して謝る。
魔王達は皆がそれぞれ笑っている。
地獄の様な環境だ。
そんな時。
ーーーーーあらあらぁ、面白い騒ぎになってるわねぇ。
ーーーーーそうみたいだ、僕達も混ぜて貰おうか?
ーーーーー…………不必要に騒ぐな、ルシエル。
ーーーーー放っておけ…………整列。
四人の天使が、降臨した。
皆が内輪揉めしていた空気を瞬時に凍らせる程の存在感。
そこへ。
魔王四人組も顔を合わせる。
お互いの存在を押し合う様な魔力の鬩ぎ合いに周りも魔力を纏い対抗する。
そして、ガイダルが松薔薇とこれまでとこの場で回収した情報をサキエルに教える。
暫くして納得行った様子になると、
【どうやら敵は共通しているらしい】と言い握手を交わした。
友好関係を結べた様だ。
全体が安堵の声を鳴らす。
ーーーーーーー。
謎の、羽音。
この音は。
その原因らしき物体が、遠方から見えて来る。
巳浦はそれを見て顔を青くする。
あれ、黒人の船だよな。
成る程、今日がその日なのか。
一人怯えている巳浦をプライモが奇妙に思っていると、その船は段々と接近し。
暫くして空中に停止すると、中から何者かの集団が10名船から飛び降りて来る。
そう、黒人達である。
巳浦は初っ端からガンつけて来る女性に目を合わせないで上を見ていたが、ネイシャも振り向くほどに端麗な女性が長い黒髪をスカート付近まで揺らしながら巳浦に言葉を浴びせる。
「よ、久しぶり。」
「ーーーーーお、おぉ。」
「ん?何だその反応。
奥さんだぞー。」
「わ、分かったから。
あの、そのさ。」
「その続きは要らないよ、行動で示して。」
「え、行動。」
察しろ馬鹿、といった顔で両手を左右に広げる。
魔王や他の者達もお?といった顔で何やら期待する目を向けてくる。
巳浦も観念して、彼女を正面から受け止める。
盛り上がる様に歓声が。
要らないからそういうの、騒ぐなって。
黒人達もあれ程静かながらも喜ぶヴェルウェラを見るのはいつ振りか分からず、仲間として少し嬉しくなる。
そんな中、松薔薇が端を発する。
「この場の皆さん方にお願いがあります。」
「もし叶うのなら、皆さんにギルドへの登録をお願いしたいのです。」
「自分たちが暮らし、その子孫や知人が暮らしているこの世界を守りたいと思うのなら。」
「是非ギルドに登録して所属する自治体で依頼をこなして頂きたい。」
「例え無理だと言うのなら、後々私が出向いて相談も可能です。」
「ですからどうかこの21世紀から生き続けてきた私に免じて、協力して欲しいのです。」
静聴。
急ぎで荷馬車に乗ってきたフィスタとフレムもブレイド達の側まで移動した頃。
英雄と、そして反英雄達から質問を受ける。
ならば、これからどうする?と。
単純ながら、核となる内容。
それに松薔薇は、話すにはまだ面子が足りないと暫し待つ様に伝える。
まだこれ以上居るのか?そう疑問に思う。
だが、巳浦だけは違った。
その言葉を、一部の者だけは理解した。
徐ろに松薔薇が描くのは、召還陣。
一人残らずそれの意味を解し、何をするつもりなのか見守る。
松薔薇が描く方陣は2つ。
その全てに一切の無駄なく全身全霊の魔力を込めて言葉を檄の如く飛ばす。
ーーーーー貴方達もいい加減来なさい!
そう言い放った途端、方陣全てが眩い光を放出し視界一面を幾らかの時間閃光に照らした。
そして。
「ーーーーーふぅ、出て来れたなぁー。」
「まぁ、巳浦の奴は先に出てたし後は時期の問題だったからね。」
「お、おまえら!?」
「よぉ、巳浦。
会うのは40世紀の戦い以来だな。」
「僕達っていつも一緒だよね。
松薔薇のせいだけど、今回もそうみたいだ。」
「何ですか私のせいって。
ほら見てください、色々な時代から沢山の英傑達が集いました。
最後が貴方達だったんですよ。」
「それと、事情を端的に話します。」
「ーーーーーー全員ッ!!
意思に抗え!!魔を討て!世を統べろ!」
「それだけが、私からの伝令だ!」
ーーーーーっ!
単純且つ、分かりやすい内容だ。
全員がそれぞれ深い人生を送ってきたが、これは大事になると言う未知の好奇心が全員の心に共通した意志を生む。
これはーーーーー面白い。
それだけで、松薔薇に対して賛同が挙がった。
無論一部はそうも行かないが、それは後で。
がっつり存在を見せ付ける松薔薇の背中を昔の癖で叩く三人。
いつも調子に乗った松薔薇を、こうして正気に戻してやるのがお決まりだった。
そうして、久しぶりに会った四人は心から笑い合う。
そんな楽しげな英雄達を見て。
過去から未来まで、凡ゆる豪傑達が互いの年代を語り合い歴史の話で盛り上がる。
ブレイド達は自分の目標である古い父親達を見て声を掛けたかったが、上手く切り出せずもじもじしていた。
そんな四人の後ろからダンジョンが言葉を掛ける。
ーーーー別に、普通の事っすよ。
そう言われて、四人は決心し駆け出す。
「あ、あの!」
「ん、誰だお前。」
「お、俺………………フィスタ。
あんたの、一番新しい息子だ。」
「はぁん、お前がねぇ。
ーーーー確かに、魔力が似てるな。」
「お、俺!
あんたを、涼木爺さんを目指してこれからもっと強くなる。
だから、応援してくれよ。」
「応援、か。
悪いがそんな趣味はねぇ、俺が出来るのは稽古だけだ。」
「!!じゃあ、」
「見たら分かる、良く鍛えてるな。
良いぜ、特訓付けてやるよ。」
「っ。
お、おっす!」
「………………えっと。」
「大体流れで分かったよ、君の立場。
受け売りだけど、良かったら火の扱いを教えてあげるよ。」
「え、うん。
ありがとう、お爺ちゃん。」
「は、おじいちゃんか。」
「クラス。」
「は、はい!」
「また強くなりましたか、すぐに解りました。
素晴らしいです、実に。」
「はい!ありがとうございます!」
「いつか、貴方にはギルドで立場を担って貰いたい物だ。
期待してますよ。」
「光栄です…………本当に……っ」
「あのさ、巳浦じいさん。」
「なんだ?俺とお前は結構喋ってるだろ。」
「いやさ、レイレンって強いの。」
「うん、強いな。
既に40級は超えてるだろう。」
「っっ。
俺、10月の学院戦で負けるつもりなんか1%も無いからな!
後で伝えといてくれよ!」
「ーーーーーーいや。
すぐ後ろに居るぞ、お前が伝えろ。」
え。
そう言われ振り向くと、自分と同じ背丈の女子が立っていた。
比肩するものを知らぬと告げる面貌と、銀の髪を肩で揺らす少女に思わず心が動く。
ソディアを思い出し踏み止まると、そんな動揺するブレイドに対し嬉しそうに声を掛ける。
「君が、私のお兄ちゃん?
初めまして、レイレンです。」
「え、君が。
あ、あぁ、ブレイドだ。」
「今日は顔が見れて良かった、それに聞いてたよりは強そう。
10月の学院戦、楽しみだね。」
「っおう。
でも一つ言っておく、俺は今から一月死ぬ思いして特訓するから。
お前も本気で準備しろよ。」
「アハ、そう来たか。
うん、そうだね、その通り。」
そう言って別れ際に手を振って帰っていく彼女を、他の男性や女性も関係なく見惚れていく。
その中には一部英傑もおり、離れて座る彼女へ声がけする程だ。
「わ、儂はアンタに一目惚れしてもうた!!」
「んっ。誰?」
「儂は陣鉄!
15世紀でかのヴァンデル帝国に君臨した長!
知ってるかの!」
「知らないよ、昔の人なんだ。
此処に集まってる妙な人、皆強そうだから貴方も強いんだろうね。」
「勿論だぁ。
儂の加速魔力を使った攻、」
「おい、無闇に話し掛けるな。
お前も適当に反応は駄目だぞ、レイレン。」
「お父様。
うん、二度と話さない。」
「それは困るなぁ義父殿!」
「良いか無視だぞ、レイレン。」
「うん。
……………気持ち悪いもんね。」
「ーーーーーぐはぁっ!?気持ち悪いっ?
何て強烈な女子じゃあぁぁぁっ!!けど、それがまた儂の好みじゃあっ!!」
ブレイドは困惑した。
この陣鉄と名乗る人間。
ーーーーー女だ。
しかもとても綺麗な赤髪を耳に掛け揺らしており、肩甲骨まで伸びた髪の先端を縛って纏めている。
何処か不思議な魅力がありウォーレンはこの男勝りな彼女に少し興味ありげな風体である。
因みにレイレンとレインドに危険人物として認識された。
時刻。
11時45分。
いつの間にかそれなりに経過しており、皆が少しずつ闘技場の舞台外周に増設された実況席へと座り込んでいく。
親衛隊14席。
各地の武人24席。(ダイエン国のみ除く)
英雄&反英雄28席。
黒人10席。
魔王4席。
天使6席。(マリウェル、不在ルシフェル)
関係者6席。(エルメル、ブレイド達四人、レイレン)
これだけの超人が集まる事はまず無い。
圧巻、それに尽きる。
その大衆に見られる二人。
凛堂&ダンジョンが入場する。
完璧なお膳立てに盛大に応えると、お互いに詠唱を唱える。
そして迷宮武具を帯刀すると、主役を待つ。
ーーーーー来た。
プライモ-ザ-スタートだ。
彼はたった一本だけ、黒ずんだ剣を生成して右手に持つ。
自由の剣である。
つまり、本気で立ち会うつもりという事。
そしてとうとう、時間が来る。
剛の者が喉から見たがる、最高の戦い。
その幕は、今開かれる。




