三十六話 【傾国】
翌日、21日。
朝7時から歩き始めた二人は、そのまま午後の4時位をデルヴァ森林到着の目安にしていた。
朝早くから農作業に勤しみ始める者達に軽く挨拶を交わして更に東へ歩を進め始める際、
『また帰りは寄ってくれなぁ!巳浦とイジャエさぁん!』
若き青年のロロイにそう言葉を掛けられ見送られる背中には、久しき友情の擽ったさを感じていた。
まぁイジャエは彼を苦手としている様だが、ロロイは歯抜けでも無ければ根性無しでもない。
顔立ちも割と整っているし結構良い人じゃないかと伝えると、
「じ、冗談はやめて下さい!
私がす、好きなのは、巳浦様なんです!」
「おい、そいつは叶わないぜ。
血が近いし、何より俺が気持ち悪いから子孫なんかと子は作れん。他にしろ。」
「あ、そうですよね。
そう言われますよね、解ってます。
……………諦めないんだから。」
そんな会話をしていたのだが、日頃の鍛錬で鍛えた体は強くとも精神が未熟なのか。
はたまた甘えようとしているのか。
右腕に抱き付いてくる。
面倒臭いと伝えているのだが、ずっと密着して移動したいなどと抜かしてくる。
正直邪魔だ。
堪らず肩車をしてやると、子供の様にはしゃいで喜ぶ。
「うひゃあ!
うわぁ、高い景色………」
「面倒臭いし、担いだまま走るからな。
俺からしたらお前なんて空気と同じ様なもんだ。予定変更で飛ばして行くから、落ちるなよ。」
「え?ーーーーーきゃぁぁあぁっ!!」
こんなペースじゃ夜になっちまう。
肩にイジャエを乗せると、ここまで徒歩であった体のギアを数段上げ、全速力で走り始める。
その時イジャエの視界は、まるで鳥が大気を駆ける際の光景が映し出されていた。
その速度、実に秒速30m近く。
1分で1.8km、30分で54kmほど移動する。
つまり、1時間の半分で森まで到着するペースであった。
が、
豪速で移動する。
途中から背中が静かになったと思い振り向いてみると、イジャエが気絶していた。
「…………飛ばしすぎたか。
まぁでも、このペースで移動すりゃあ8時前には森に着くだろ。
悪いけど気絶しといてくれ。」
イジャエの安全を確認してから、再び前を向いて走り出す。
因みに背中にイジャエを乗せていなければ、現在の走りのギアで大凡秒速40m近い速度になる。
※それでもヴェルウェラなら秒速150m程度の速度で移動する為、仮に鬼ごっこをしたら瞬殺である。
それでもまだ互いに速度は上がる為比較は場合にもよるが、どの道どんな英雄や魔王でもヴェルウェラから逃げ切る事は不可能。
可能な者がいるとすれば、[最速の天使]か、
(……………原初、プライモ・ザ・スタート。
サキエルの野郎とプライモは【この世界】の中で最高峰の実力者。
俺が全力で戦っても、結局勝てなかった。)
そう、この世界には大英雄と名高い歴史上最強級の巳浦ですら勝つことの出来ない存在も居る。
だが、勝つことは出来なくても対抗する事が出来るだけ巳浦が異常なのだ。
決して人間の身では超えられない壁を越えているからこそ、【英雄】と【大英雄】で態々区別されるのだ。
だが、他の猛者達が弱いかと言われれば、それは違う。
其々の能力の噛み合わせ次第でどんな英雄も特定の天使や魔王、黒人に対して特攻的な力を発揮する。
若き大魔戦記の後半では実際そうして天使達を打ち破った。
それでも、あいつらが完全な本気を出していないのは皆気付いていたが、当時の天使達の目的はあくまでも試練を与える為。
端から人間相手に本気で戦うことはない。
そんな中。
当時最終要員として残った巳浦は、凛堂から直々の居合術を教えられ一刀流をさらなる高みへ昇華させた。
そう、凛堂の居合はこの時の戦いで教えられたのだ。
そうして奴ーーーー最強の天使、サキエル。
天使の中でも最も力を誇る奴に、唯一巳浦だけが本気を出させた。
その当時の光景を見たギャラリーは存在しなかったが、もし目撃した者がいるとすればこう言うだろう。
【何も見えなかった】と。
異次元の剣戟速度を誇るサキエルの二刀流に対して、基本の一刀から最大で四刀までを同時に扱う事が出来る巳浦の手数による迎撃。
もし魔王や黒人がこの四刀剣状態の巳浦を相手取ろうとしても、まず相手にならない。
どこからどの剣のスキルや斬撃が放たれるか不明であり、おまけに秒間八太刀と言う脅威の手数。
巳浦の戦闘経験の全てが活かされるこの戦法はまず英雄クラスであれば使われる事はない。
舐めている訳ではない。
無論強力な戦法ではあるが、一刀や二刀、三刀の方が大体の戦闘状況では噛み合う。
四刀は巳浦としても無理のある状態の為使わずに済むならまず使わない。
と。
そんな事を暇潰しに考えながらも、巳浦は着々と馬車道を軽快に突き進んでいくのだった。
道中の村。
名をキャロ村と言うらしく、シャリン村と違って旅人への商売で切り盛りしているらしい。
走り始めて15分程が立ち大体25〜26km程移動した先にあったこの村で適当に飲み水や食料を確保しようと思い店を訪れると、どうやら店で騒動が起きてきた。
近くで騒ぎを聞いていると、何やら腕相撲に自信のある人間が集まって賞金付きの見せ物をやってる様であった。
気になって手持ちを確認する。
銀貨4枚、詰まる所一人銅貨40枚分の手持ちしか持ち合わせていなかった。
まぁ思ったよりもシャリン村の民宿が高く、一晩で一人銀貨3枚ほど取られてしまったのだ。
それで手持ちが寂しかった巳浦は、イジャエが木陰で眠る内に軽く一稼ぎする事にした。
盛り上がる店内。
どうやら見せ物の腕相撲で大将を張っているのは意外にも女性…………いや女の子であった。
だが、見た目からして力の強そうな男達が皆一様に薙ぎ倒されていく様子から、巳浦は直ぐに理由を突き止める。
これは、魔力。
腕相撲は掛け声に反応したタイミングが早い者が自然とスタートダッシュを切れる訳だが、感じる感覚からしてこの魔力は………いや、違う。
なんだ、この感覚。
同じ魔力なんだが、より原始的で濁りのない別種の物。原生的な魔力だ。
巳浦はその暗い薔薇の様な色の髪をストレートに肩まで伸ばす女子に興味が湧いた。
見た事のないタイプであった。
即後ろの列に並ぶ。
仮に勝ったらその場でお開きになり、賞金として金貨5枚と謳っている。
しかし彼女の実力を少し見せてもらった感じ、5枚じゃ割に合わないのが解っていた。
まぁ、良い暇つぶしにもなりそうだ。
瞬殺される前の男が悔しそうな顔をしているが、対する彼女はその端正な睫毛を眠たげに下げながら欠伸を掻いていた。
周りの男達が苛ついていたが、どうにも容姿が美しく批判する気が失せてしまう。
身に付けている服も場違いな程に質の良い生地がふんだんに使われた真っ白な外套を身に付けており、恐らく一般の出でないのだろう事は容易に考察出来た。
そして、巳浦の番が来る。
席に座り込む。
正面に座り込んだ瞬間、眠たそうにしていた彼女の目が途端に見開かれる。
察したのだ。
今目前に居座る黒い長髪の男が只者でない事を。
頭に被っているフードを外し、その瑞々しさすら放つ鈍い赤黒色の髪を後ろに一纏めにする。
周りの観衆達はその露わになった顔立ちのあまりの女性としての魅力に目を釘付けにするが、席に座り込む二人の視線は完全にお互いの力量を測り合っていた。
そんな時、彼女は急に明るい笑顔で巳浦に話し掛ける。
「やぁやぁ!
お兄さん強そうだねぇ、明らかに気配が違うっ!
何者〜?」
「さぁて何者かな。
そんなお嬢さんも随分と濃い【魔力】を纏ってんじゃねえか、魔力感知すら出来ない一般人相手に酷い事するもんだ。」
ぴく。
彼女の顔が疑惑から確信へと変わる。
完全に巳浦に対しての認識を改めた。
揶揄う様な口調ながらも、真剣さを含みながら会話を続ける。
「へぇ、魔力感じ取れるんだね、君。
じゃあさ、私の魔力が普通じゃないのも解ったりするのかな、なんて。」
「あぁ、妙な程純粋な魔力だ。
濁りの一切ない、川の下流の様に濾過された綺麗な魔力。
系統が謎のままだが、何か秘密でもあるのか?」
「……………よっしゃ、本物が来た。
まさかこんな所で会えるとはね、
「ーーーーーー【大英雄】さん。」
「……っ。
何の事だ?」
「あはは、誤魔化さないでよ、もう。
裏の天界で聞いてるよ、歴代の英雄より更に上の次元に達した唯一人の【エンドカード】。
かなーり昔、20世紀位前に裏界に来て一暴れしたよね、原初とか言う化け物とさ。」
「おいおい、どこまで知ってんだよ。
つー事はあれか、あんた【反英雄】だな。」
「そ。
大昔も大昔の5世紀に、この世界に生まれた大国のお姫様。
当時私を危険視した敵国に嵌められて国も身も穢されて、その場で人類史の時代を著しく停滞させた大罪人。」
「………可哀想だよな。」
「ーーーーーーえ?」
脅かしのつもりで話した話題に、恐怖はあれど同情されるとは思いもしなかった。
想定外の一撃に思考が止まるが、言葉の意味を確かめる為問いを返す。
「松薔薇からも聞いたけどよ、反英雄とか言って都合の悪い猛者共は全員エラー扱いしてもう一つの世界の檻に閉じ込める。
本当世界の意志って奴は糞同然だ。」
「……………君。」
「まぁ何だ、レインドとか言う奴と近々会うと思うんだけどよ。
どうにもあんたと同じく理不尽に対しての復讐心やらを抱え込んでるらしいんだわ。
だからあんたら反英雄の闇を、俺が一丁払拭してやる事にした。」
「あはは、良い男だね。
私の時代に居たらきっと夫にしていたよ。
まぁ……………強ければだけどね。」
「それはこっちも同じだ。
あんたが何故ここにいるのかまでは聞かねえけどよ、勝負は勝負だ。
こっちも金が欲しいから全力で行くぜ。」
互いの間にあった壁を簡単に打ち壊した巳浦の底抜けの善意に、女はこの世界に召還されてから初めての安堵を覚えた。
そして、二人の右腕に力が入っていく。
周りのギャラリーは会話の内容をうまく聞き取れなかったが、きっと強者同士のシンパシーなのだろうと勝手に解釈していた。
そして。
ーーーーーー始め!
審判の掛け声の【は】のタイミングで、同時に横へ薙ぎ払われる両者の右手。
(うおっ!
ーーーーこんなの、涼木級の力だぞおいっ。)
内心で古き親友との腕相撲を想起させながら、目前の彼女が未だ余裕の顔をしている事に少し楽しさを感じ始める。
巳浦もまた、強化魔力を少しずつ強めていく。
一秒経過する毎に巳浦の肉体を尋常ではない圧が纏わり付いていく。
それは彼女にも伝わっていた。
瞬きする度に自身の右腕を少しずつ卓上へ倒し続ける。
彼女もそれに呼応する様に、鮮やかな【紅色】の魔力を段々と目視できる程に体から滲ませる。
巳浦が押し始めていた位置関係は完全に中央で釣り合い、膠着状況で止まった。
そんな中、両者は互いの放つ魔力に驚いていた。
巳浦が体から垂れ流すその強化魔力は、その凄まじい濃度故に霧の様な浅い黒色ではなく黒の絵の具の様に濃色であった。
それはつまり当人の実力そのものを表している。
そんな巳浦はと言えば、最もこの場で驚愕を隠さずにいた。
まさか松薔薇が古い記憶の中で話していた
【原始魔力】を目にするとは思わなかった。
これは一般的に認知されている
【強化】【加速】【熱】【感電】【流液】
【重力】【自然】【毒】
これら全ての性質が発現する前の初期段階の魔力。
通常人にしろ魔物にしろ、どんな生物でも系統を決められて生まれて来る。
だが、世界に血統の文化が妄執的に守られていた古き時代。
ある大国同士の間に産まれた一人の人間が、その濁りない血統の混ざり合いにより奇跡をその身に宿して産まれた。
確かその人間の名前はーーーーー、
「っ!
ネイシャ!お前【傾国】のネイシャだな!?
友人から聞いた事があるぞ、確か武術も治癒術も全部こなせるって話だっ!」
「うおー、良く知ってるね。
ちゃんとした本名は知ってるかな?
ネイシャ=フォン=インディアフォンツォ=アムザ=アーナムって言うんだ、覚えてね♪」
「覚えられるかそんな長い名前!」
「でも私は君の名前覚えてるんだし、君も私の名前を覚えるのが筋でしょ?
…………冗談だよ、ネイシャで良い。」
(人に名前を語る事は無かったと言われてるらしいが、どうしてこうも簡単に俺に名を?
しかも本名なんて松薔薇からも聞いた事がない。)
巳浦は知らないが、ネイシャは自身が認めた心技体共に優れる者にのみ名前を名乗る習慣があった。
まず当時生きていた者達ならばその時代背景からフルネームを家系図から当てられたが、今の時代に彼女の本名をフルで知ったのは巳浦が初めてであった。
そしてそれはつまり。
敵として認められたと言う事。
途端に倍近い魔力がネイシャの体を包み、巳浦の右腕に途轍もない圧力を掛ける。
巳浦も反射的に魔力の出力を上げるが、何故だか押し負ける。
最初は理屈が分からなかったが、数度魔力を感知して気付いた。
原始魔力は全ての魔力の可能性を持った魔力であり、当人の意思次第で幾らでもその性質を八系統のどれかへと変質させる。
今の魔力色は、【紅】ではなく【翠】。
ーーーーーー自然魔力だ。
一気に此方の強化魔力に対して順応し始めており、段々と自然魔力の特性である中和、新和によりこちらの強化魔力を大気中へ中和させていく。
厄介極まりない。
一瞬力を緩めて彼女の腕を一気に攻めさせ、そこに一気に力み戻した腕を向かい合わせ一旦悪い流れを打ち切る。
彼女も気が緩んだのか少し口元が笑う。
小細工するタイプには見えないけど、なんて挑発してくるネイシャに柄にも無く苛つき。
ーーーーーー分かった。
………………出力、倍。
この世界に来てから初めて、自身の魔力出力を半分まで解いた。
勿論本来の使い方ではないが、一気に店内全体に霧散するほどの魔力量を右腕に集めさせる。
「なっ!っっ凄い魔力量だねっ。」
「だろ?俺の強味は幾つかあるらしくてな、一つは魔力総量だそうだ。
これくらい魔力量扱えないと、直ぐガス欠なんだよ。」
「だったら、こんなのはどうっ?」
「ん?ーーーーーーおっおぉっ!?」
彼女の肘部分が漆色の強化魔力と紅色の加速魔力の二つに包まれ、本来起こり得ない馬力と速度を持った腕を叩き付けられる。
それは、嘗て戦った【裏界の皇帝】の戦い方と良く似ていた。
八つの魔力を系統として保持していた彼女の格闘は巳浦でも四刀剣で凌ぐのがやっとの猛攻であった。
しかしネイシャの場合無色の魔力が突然性質を帯びるせいで反応出来ない。
ーーーーあぁ、【変幻の天使】ルシエルも、確か無系統の魔力を扱っていた。
あれも今思えば原始魔力だったのか。
じゃなきゃ他人のスキルを完全に模倣するなんて出来る訳がないからな。
巳浦の中で一つ得心が行く。
双方の魔力が激しくぶつかり合う。
それは、互いの気持ちが昂るにつれてどんどんその出力を上げていき、
ばきりっ。
鉄製の分厚いテーブルに亀裂が入る。
観客から悲鳴が上がる。
しかし当人達は止まらない。
巳浦は男女関係なく実力ある者を認めるだけの器量があり、
ネイシャは自分の生きていた頃にほぼ存在しなかった練度の使い手に出会えた喜びに、
自然と二人の上半身と心の距離は縮まっていく。
ごつ。
いつの間にか額がぶつかり合うほどに力みあっていたが、当事者はそれ所では無かった。
いつまでも終わりそうになく疲れ始めていたのだ。
しかし疲労で終わりましたでは相手に申し訳が立たないため、諦める訳にもいかず息を荒げながら全開で魔力を放ち続ける。
が。
互いが互いの吐いた息を吸い合うほどに至近距離で行われていた腕相撲は唐突に終わる。
扉が勢い良く開かれる。
二人が、そして周りの人々が耳に入るその音に視線を向けると、そこには呼吸を荒げている様子のイジャエが居た。
そして謎の美少女と巳浦が腕相撲という理解不能の状況にも関わらず怒声を上げながら巳浦へ近づいて来る。
慌ててネイシャから腕を離し弁明を図る。
しかし聞く耳持たずといった様子でありお手上げとなってしまう。
しかしそこにネイシャが現れ、腕相撲のお開きを告げると共に金貨5枚を渡して来る。
「え、何で。」
「私、もう魔力が残ってなくて。
このまま続けていたら後十秒で腕を折られてたかも知れなかったし、丁度よかった〜!」
「そ、そうか。
ならまぁ、頂いとくよ。」
「うん。…………あぁ、そう言えば帰る前に一つ教えとくね。」
「ん、なんだよ。
まだ何かあんのか?」
イジャエには聞こえない声量で耳元に囁く。
「南方面一つ目の公国イルディアが私を召還したの。
そいつら曰く魔王やら天使やらの襲撃に備える為の召還って話だけど、どう考えても私利私欲で呼んでる節があるんだ。
バルト王国やハイデン王国みたいに真面目な所の方が少ないのかもよ、巳浦。」
「………そうか、任務が終わったら直ぐに仲間に伝える。
ったく何のために世界を平和にしたと思ってんだか、これじゃ争いが起きるだけだろうが。」
「全くその通りだよねぇ。
私、イルディアから偵察の任を出されてこのバルト王国からシャリン、キャロ村の順に君を探してたんだけど、1日遅れで君がキャロ村に来た形になるね。
まぁでも、接触しなかったと伝えておくね。」
「………何でだ。
お前の目的があんならそれに付き合う気はな、
「私、到底君とは戦う気になれないよ。
寧ろ私には珍しく友達になりたいと思ってしまった位だし。
だからお忍びで南の国のイルディアに来る機会があったら、ぜひ公爵の領地まで遊びに来てね♪」
「え……………おう、解った。
じゃあな、ネイシャ。」
そうしてこの日、偶然にも出会った反英雄ネイシャとの邂逅は、事なきを得た。
まぁイジャエが何やら拗ねて面倒だったが、私服の青い内着に白いカーディガンが綺麗だと褒めてやると、顔を赤くして何処かへと消えた。
ついでだが。
このキャロ村で行われた謎の美少女と長髪の青年の異様な腕相撲は店主の円形水晶によって録画されており、名物の鑑賞映像としてキャロ村を有名にさせていった。




