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英雄までの物語  作者: ノンプロット
一年期七月上旬 団体戦
23/113

二十話 猪退治

色々ゲームやってたらモチベ激下がり。

夜中じゃないと書く気にならないのもあって手が付きませんでした、すいません。











「ーーーーー突進、き来ます!

 躱して!」



「当たり前。」








正面を風切り音と共に突き抜ける。

喰らえば只では済まない、痣?いや、骨折だ。



幾らか距離を置きつつ、私はフレムと挟む形で位置を維持する。

この距離感であれば、どちらかに狙いを定めて突進してきた場合、即座に片側が背後を突ける。


原始的ではあるが、魔物相手には丁度良い。







その様なやり取りを行い、幾らか時間が経つ。







「どうだ。」






フレムが指を鳴らし、スナップ音と共に左手に集めた炎を至近距離で炸裂させる。


フレムの炎が猪を包み、火傷を生む。

幾らか効いてはいる。





だが。







「なっ!?ーーーーーーぐがっ!」



「フレム!猪の右牙に引っ掛かりましたか!

 ………右手の手首、脈を切られた?

これは、素人の私では動脈か静脈か判断が付かない。」



「僕は、良い。

 左手で抑えながら上手く立ち回るよ。

君はしっかりその銃を使ってくれ、まだ一度も使っていないじゃないか。」



「っ。

 バレてますよね、そう、ですね。」







戦闘を開始してから既に10分は経つかという頃。






実はここまでに一度も銃を使わずに牽制のみを行なっていた。

 敵の行動を観察していたのもあるが、万一にも誤射する可能性と自身の射撃精度が信用できないのが大きく起因している。



本当に、私が当てられるのか。

ミスなく?

誤る事なく?


そんな思考が頭を駆け回るのだ。






猪がフレムを追いかけ回す。


右手の腱付近からぼたぼた滴る血液の流れは止まる様子が無い。

このまま続けると危険だ。





私が悩む様子を見ていたのか、同じく何かを考えていた様子のフレムは自身の右手首を左手で握り込むと、






ぼむぉっ。

右手を燃やし、患部を止血した。








「なっ!だ、大丈夫ですか?!

そんな事したらどれだけの痛みが、」



「早くしろ!その場凌ぎにしかならない!

お前がやってくれなきゃ僕達最悪ここで死ぬ!」



「つっっっ。

 私が。」








フレムは今も右手をポケットに突っ込んだまま、残り僅かだろう魔力を左手で上手く使い牽制とヘイトを担っている。



そうだ、この状況で間延びさせるのはまずい。

私が、やるんだ。







唾を飲む。

両手で握るだけだった銃身を、激しく動き回る猪に合わせる。


バタバタと忙しないその挙動に先端を合わせるだけでもかなり危なっかしい。







フレムが崩れたベンチの残骸を飛び越え、猪がそれに頭を引っ掛けた。


フレムは咄嗟にクラスに声を投げ掛けようと視界を切り替えた。

が。







「射角問題無し。

風圧無し、減速率ほぼ無し。

弾数全6発、リボルバータイプ。

反動、強烈であることが予想可能。

総合的に判断ーーーーーーー」








考え込んでいる。

思わず声を張り上げる。








「クラスッ!!」








ばっ。

こちらへ向き直したクラスの顔を見て、思わず表情が固まる。


凄まじい集中力だ。

 震えも鳥肌も無。

感情に左右されていた時のクラスと別人としか思えない風体。






全てを見抜かれた感覚に襲われ、一瞬フレムは悪寒が走った。

なんだ、この寒気?

クラスは、これだけの存在感を持った奴か?






猪が背後の気配に気付き、両牙に突き刺さった鉄脚が先端割れしたベンチをそのまま向け、突進を放った。


危険だ。

あれは最悪内臓にまで刺さる可能性が有る、でもクラスの運動性能じゃ対処出来な、









視界前方。



突進中対象、頭部横幅30cm強。

自身の状態、良好。





左手のみを突き出す。

そのまま体を正面ではなく縦向きに向き直し衝撃を受け切れる様に調整。


トリガーを握る。






風を切りながら突撃してくる猪の距離感を限界手前まで引き付ける。

精度の問題は解決出来ていない、最低相打ちとなる距離、推定で2m。





20m、10m、5m。

そして、2m。







「クラスゥッ!!今だっ!」



「当然ーーーーーー射撃。」








人を横にした程度の距離まで待ち、余裕を持って撃ち抜かれた魔弾。


1発では無い、6発全てを撃ち出した。

念には念を。







数秒後。

クラスの横に滑りこんだ先の猪の成れの果ては、その身を砕けた粒子に変換させ、クラスとフレムにそれぞれ半分ずつ溶け込んでいった。



そして、二人の眼前にウインドウが表示される。








クラス

ーーーーーー10⇨15レベルーーーーーー


フレム

ーーーーーー12⇨15レベルーーーーーー








二人のステータスが、急激に成長した。

場違いの敵を見事撃破、その見返りだ。



だが、目に見えるステータスの報告は初めてだ。

これは一体。







「ーーーー以前、ブレイドが言っていましたね。

英雄曰く、任意的なレベルアップは表示や報告が浮き出るとか。」



「へぇ、これがレベルアップ。

先代の連中、こうして強くなったんだ。









「フレム!」



「うわっ、な、何。」







霧散する銃身を空に投げ捨て、クラスはフレムに向き直る。


とても明るい笑顔でこう言う。







「強くなりましょう。

私も、貴方の様に強くなりたいと思ってしまいましたから。」



「う、うん。」



「では、この事が学院に把握されていることを祈りつつ、4日目を過ごすとしましょう。

今はとても気分が良い。」








気持ち早足気味に周囲の見回りへ合流しに行くクラスを背中に感じつつ、フレムは先の光景を脳裏に映し出す。






無慈悲な目だった。

機械の様な。

それこそ魔物の様に冷たく、殺意の様に純粋でそれ一色の視線。


あれは、本当に臆病で勤勉な彼の顔なのか?

今もその腹の底まで覗かれた様な酷く冷たい感覚が脳にこびり付いている。








無意識の事だ。

残り滓の炎を左手から燃え上がらせ、体を温めていた。


自分でも茫然とした。

何をしているのだろう、と。

 体が冷気に晒されたような感覚を覚えて、肉体が本能で暖を取っていた。








右手首から先は今現在正面の皮膚を脈諸共焼いてあるが、これが万一にも再出血する可能性がある。


一先ず場所を変えて近場の建物から応急手当てに使える物を探し始めた。


























「あ、貴方はまさか、」



「兄さん、この人は、」









バルト学院の一回入口。

広場にて。






大勢の生徒等を黙らせ、エイガとアラガンはその全身を覗かれるような強烈な嫌悪感を感じ、内心巳浦を思い浮かべた。


だが、彼の場合強烈な圧迫感だとすれば。

こちらは悪寒。








顔に掛けている黒い眼鏡を右手で調節し、身に付けている黒色のマントをひらつかせている男。


ロビーの教師用のソファーに座り、この場の人間を全て無視し上部の水晶に移る戦いを目視していた。







こちらにも先に素晴らしい戦いが繰り広げられていた。

 ブレイド等一行の手合わせは非常に見応えのある物であり、フィスタ二人組の小規模なチーム破壊は今年の一年生徒達がどれだけ異次元的であるかを認識出来る物だ。




だが現在進行形で映し出されている映像には、教師を出動させるかどうか騒ぎにもなっていた元凶の猪の死骸、それを地に伏せたクラスとフレムのコンビネーションが映っていた。


その戦闘の様子はこの男も見ていた。









光源に照らされていたレンズの反射が途切れ、瞬間だがアラガンと視線が合う。


その時だ。







「っぐぉっっ?な、なんだ?

 こ、この感か、く。」








エイガは確かに見た。

アラガンの体を大気の魔力が包み、尋常では無い量が彼の体を出入りし。


そしてマントの男へ集合していく魔力の流れが。









「lv29、体力2000、魔力2100。

年28、血統ーーーーロルナレ。

名前ーーーーーアラガン・ロルナレト。

体脂肪率10%、体重80kg。

魔力系統、加速。

ん…………巳浦の血筋ですか。」




「え、なんだ、この男。

アラガン兄さん、この人って本当に。」








振り向くと。

アラガンは全身を尋常ではない寒気に包まれ、両腕を肩に巻き込み座り込んでいた。

明らかに様子がおかしい。








「(なんだこの感覚、吐き気と悪寒が走る。)

えぇ、そうでしょう。

(気持ち悪い、鳥肌が立つ。治れ。)

 時間で収まります、問題ありません。

素の魔力抵抗値が低いのが原因、鍛え直しなさい。」



「"っ!?な、何で、私の思考が。」



「解りますよ、全部。

貴方の事は、相手の事は。

無機物でも有機物でも、人でも魔物でも。」









「良いですかアラガン学長。

10月の学院戦、必ず勝ちなさい。

 もし負けでもすれば、ハイデンから間違いなく刺客が来ます、巳浦や私の様な者が居なければ戦いにすらなりません。

 今年は私達の血筋の子等が皆揃っている、久方振りに事が動くでしょう。」




「貴方はやはり、松薔薇様?」





「他がいるものですか。

それより巳浦が居るでしょう、彼と会わせなさい。

話しておきたい事が余りにも多い、いつまでも連絡を寄越さないものですから私態々出向いてきたのです。

何処ですか?」




「は、は!

現在は王城の3階、無の空間にて精神統一をしているかと。」



「そうですか。

クラスには頑張って強くなって欲しいものですね、私の血統のものがまだ息を残していたことに取り敢えず安心しました。

では、私はこれで。」








彼はそう言うと、マントの左内側を捲り、年季の感じる銃を右手に握る。


何をするかと思い注視する。







「随分久し振りに人類の希望を見出した気がします。

改めて失礼。」







銃をその場で右横に撃ち抜き、銃口の先端で爆発する魔力を利用して数瞬で視界から消えて行った。


どれだけ頭を捻っても、あの様な移動方法は思い付くはずがない。









「あれが英雄【松薔薇】」




「あの人が、巳浦様の同輩。

成る程、理解出来ない人だと思ったが、納得がいった。」









そうして四日目は静かに事のピークを迎えた。

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