十五話 団体戦二日目
一応今回から出てくる女の子とブレイドがエッッッッなので注意です。
後、【】を意図的に多く使いました。
理由はこの話の後半に分かります。
「今回からは面子の組み合わせを変えて、各々である程度好きに動いて貰う事にします。
………まぁ、フィスタとナジャは二人で動いて頂いた方が空気的に宜しそうなので、それでお願いします。」
「おう、端からそのつもりだ。
ナジャ、離れるなよ。」
「解ってるわ、手は離さないでね。」
「苛々するな、俺らと遠い出来事が起きてるとよ。
フレムはそう思わねえか?」
「僕は僕しか興味無いから、異性に時間は割かないよ。」
「そう言えばそうだったな、ナルシストだったわ、お前。」
二日目からは以前に合併したチームの内ナジャを除く8名全てとフレムを貧弱なクラスの護衛に付け、俺は唯一独立して活動する事にした。
前日に広場で行った手合わせの際にフィスタと違い未だ余力を残していた俺の実力であれば協力は必須で無いと言う判断でこの割り振りになった。
①ナジャ&フィスタ
②8人護衛&クラス+フレム
③ブレイド(俺単独)
流石におかしい気がするが、これは何より孤立した空気を好む傾向にある俺を気遣っての配分なのだろう、有難い。
今俺は、真空剣を試したくてしょうがない。
あれだけフィスタにダメージを与えたんだ、相当な威力が有る。
直撃ならあれの2倍近いダメージが期待出来るかもしれない、ウキウキしてくる。
今回俺達は以前に最終時間を経過する事になった東門付近の宿からスタートする事になった。
俺は即行で宿を飛び出し、普段の3時間目を抜けている時のルーティーンを行なっていた。
そう、パンを齧りながら飲み物を流すアレだ。
尤も、今回は冷たい牛乳でも無ければ美味しい焼き立てのコッペパンでも無いので渋くはあるが。
久しぶりの自由を感じ喜びの感情に震えながら、俺は中央へとダッシュで進んでいた。
中央であれば必ず何かあると信じていた、いや間違い無く面白い事になるはずだ。
そうして暫く走った。
「お、と。
もう中央か、早いな。」
東門付近から中央の学院の外回りまで来るのは早かった。
不自然なくらいにスムーズだ。
まだ参加者はかなりの人数がいるはずなのに、だ。
妙な予感がする。
周囲に人は見当たらない。
見当たらない、と言うのは単純に見回しただけでは誰も視界に入らないと言う事。
つまりこれは、建物に潜伏している事になる。
これだけ人気が失せているんだ、相当な人数が居るのかも知れない。
周辺を良く見渡す。
……………。
「いや、居ねえな。」
「おおぉおおぉおっ!!!」
「うお!?」
反射的に背後から飛び込んでくる男の声に反応し横へ転がった。
そこには、木刀を持って突き刺しを試みたのであろう男子生徒が必死の顔でこちらを見ていた。
現れたか。
竹刀を腰から引き抜き、此方も戦闘状態に入る。
「へぇ、タイマンか、良いね。
嫌いじゃ無いぜ、寧ろ好きなくらいだ。」
「そ、そんなわけないだろ!
お前相手に一人で戦うのなんて自殺以外の何物でも無い!
早く出てこいよお前ら!!」
「お?」
ぞろぞろ。
どこから現れたのか、建物に詰め込まれていたらしい隠れ生徒達が数人、十数人、数十人姿を現した。
これは、どういう展開になる?
「まさかだけど、俺一人対数十ってことは無いよな?
流石にアンフェアがすぎるだろ?なぁお前さん達もそう思うだろ?」
ーーーーーお前の存在が不公平だ!
そんな声を皮切りにどんどん俺の胸を叩く様な、生徒達の轟音の様な批判が殺到する。
だから、そんな事を言われても困るんだ。
だって俺はこいつらと違って。
「努力してるしなぁ。
毎日外周5キロの街を五周して、フィスタと寮部屋で筋トレして、吐く位に飯食って全部力にしてるから。
あ、後は朝っぱら5時手前から剣の訓練とかもしてるんだぜ?通学時間の9時手前までの4時間弱。
恨み辛みはそれをこなした上で宜しくぅ!」
「キチガイ野郎はこれでも喰らえぇぇええ!」
覚えのない暴言と共に、何かが俺の足元に転がる。
これは、市販の火薬。
こんなんで何するーーーー
「ライターだぁあぁぁあぁあ!!」
「げええぇっ!?」
足元に撒かれた大量の火薬、しかもアルコールの匂いもするそれに、何を血迷ったかライターを投げつけて来た。
流石にこれはまずいぞ。
「真空剣!」
反射で出した真空で投げられたライターを弾き飛ばす。
と言うよりも弾けたが。
生徒達は自身らの作戦を目の前であっさり回避され、思考がストップしている様子だった。
まぁ無理もない。
相手は一年生の中で最強と言えるブレイド。
それも魔力を使い熟していると来た、このレベルは最早ギルドですら通用する段階だ。
学生生地の膝部分に付着した火薬を手で叩きつつ、最初に捨て身で突っ込んできた木刀の生徒の頭を竹刀で払い飛ばした。
プレートの体力表示が一発で800から0に擦り切れた。
適当に近い相手を潰したところで、周りを人混みの様に囲む彼等に一歩ずつ近付く。
「あ、あいつ、人としての感情ねえんじゃ。」
「失礼な事を言うなよ、歴とした人間だ。
ただまぁ、お前らより幾らかロケットスタートしてるだけだ。」
「よおし、一振りで二人位落とせば一分くらいで終わるな、全員起立して待ってろよー。」
…………あれ、退散してくぞ。
気付けば既に100メートル以上距離を離されており、些か面倒な状況になっていた。
取り敢えず追うのは止めて、少し移動する事にした。
東及び中央にはもう何もなさそうなので、西に向かう事にする。
「ーーーーー来たぞ、ブレイドだ。」
「一斉にやるぞ。」
「せえの。」
上から襲って来た三人をバックステップで躱し、即座に手に持っていた武具類を真空剣で飛ばした。
また弾け散ったが。
ふるふると震えている男二人と女一人の体を叩く気にはなれなかったので、プレートを首から取りそれらを全て破壊した。
ルール上これでも戦闘不能になるのでアリだ。
唖然としつつも安堵と悲哀の表情を浮かべる三人に教師が来るまで待つよう伝え、西門へと歩を進める。
今の所雑魚ばかりで真面に戦いになっていない事を考慮し、やはり先生やフィスタは強いんだなぁと実感していた。
今もこうして歩きながら、建物を蓑にしている生徒達の気配を察知できるようになっていた。
今更その程度の人間に用はないが。
もう少しで西方向に渡り切ってしまうなと思いつつ、パンを齧り出す。
水気が無くて口の中の水分を取られるので、この手の発酵食品は飲み物が無いと嫌いだ。
「おまけにこのパン、表面が乾燥してて尚更悪質だよなぁ。」
「貰った!」
後ろから竹刀による横振りをしゃがんで避けつつ、そのままの勢いで抜いた竹刀を使い背後の人間の足元を払う。
どたん。
「きゃ!」
「あれ、女の子か。
ごめん、怪我ないか?」
「な、舐めるな!この!」
ぶふぉお。
「うおぉっ!?
おいおいあんまり調子に乗るなっての、お前も武器壊されてえの?」
「そんな事はさせない!
私は強くなる、強くなって必ず、ギルドで名声を挙げるんだぁ!
ブレイド、お前は不愉快だ。
ここで決着を付けてやる!」
「ははは、血の気の強い奴だなぁ。
可愛いハイポニーテールが損だぜ、全く。」
振り下ろして来た竹刀を避ける。
避けようとした。
だが、何故か竹刀が止まった。
ん。
紺髪の彼女を見ると、此方を見つめて顔を赤くしていた。
あれ、これってもしかして。
「恋人でもないのにか、可愛いとか言うなぁあぁあぁぁあっ!!」
「まぁまぁ、俺は強気な子は好きだぜ?
特にアンタとかは好みだ。(友達として)」
「な、なに、何をお前ふざけた事、覚悟しろ!」
突然テンションが跳ね上がったかと思えば、雑に見えるようで芯の入った打ち込みをしてくる。
彼女、制服で体付きは分からないが、かなり質の良い筋肉だ。
体幹も強い。
適当に振り回してくる剣の軌道をその場で見切り全て避ける。
避ける。
避ける。
「よ、避けるなブレイドぉぉ!!」
「は!?いやいや、態と当たってやったらあんた、絶対に手加減どうこうって騒ぐだろうが!
俺なりの気遣いだ、受け取れ!」
「えぇいこのぉ!!」
乱雑且つ腰の入ったその突きを、正面から握り止める。
雑に頼っていた竹刀を握られ、ハッとしている。
武器を握られた、という事は。
ブレイドの魔力が彼女の竹刀に流れていき、段々とその重さが上がっていく。
1キロ、2キロ前後、5キロ近い重さに、際限なく感じる程無慈悲にその重さを上げていく。
「お、重、無理だぁ。」
彼女の手を押しつぶす形で地面にめり込む。
これで懲りてくれると良いが。
「おいアンタ、もう勝負は終わりでいいか?」
「終わってなどいない、これからだ!」
いやいやいや。
そんな言葉が思考を埋める。
「名前、ソディアってんだな。」
「!!!
か、勝手に見るな!!」
「綺麗だ。」
ぴくり。
彼女の蠢きが止まる。
「き、綺麗、だと?
な、何故だ?」
「ソディア、ソディ、ソーディ、ソーデ、ソード。
アンタ日頃からかなり身体鍛えてんだろ。
俺には分かるよ、俺もそうだから。
で、きっとそれは名前に剣の由来を付けられてるだけあって、騎士家系やら何やらみてえな武家や剣士としての道に進めるように御呪いとしての意味があるに違いない。」
「わ、分かる、のか?ブレイド。
…………ブレイド?………ブレイド、ブレード。」
ニコリと笑ってやる。
どうやら彼女と俺の名前の由来は、どちらも同じような理屈らしい。
「そういう事だ。
あんたも俺も剣そのものだ、啀み合うもんじゃないだろ?
鞘が無い身だ、刃毀れしない様にお互い気を遣おうぜ。」
「……………了解したぞ。」
「おう、ありがとな、ソディア。」
そうして彼女の手を押し潰している竹刀を片手で取ってやり、それに込められている俺の魔力を真空剣で空中に吐き出した。
それなりに魔力が篭っていたせいか、真空ではなくもっと明確に目に映る様な魔力の斬撃が空中に放たれた。
軽く息を整え彼女を引き上げようと顔を見つめる。
見つめられている。
ん、何だ?
がしい!
突然俺の両肩を掴み怒声、にも聞こえる迫力で疑問を投げかけて来た。
な、何だ!?
「さっきの!」
「あ?さ、さっきの?」
「空中に出した斬撃だ!あれは何だ!?
私にも出来るものなのか!?教えてくれ!」
「あー、真空剣か。」
このワードを聞くや否や、機械の様に何度もその名前を大声で叫び、暫くしてから此方に戻って来た。
「うんうんそうだ!それだ、真空剣!
良い名前だな、お前が付けたのか!?」
「あ、まぁ、そうだな。
俺の作った技だし、他の誰もこの名前は使ってないと思うぜ。」
「お、お前の技なのか?
……………悔しいが、私には技は無い。
ブレイド、真空剣とやらは私でも使える様になるのだろうか?」
「ん?………どうかな、魔力操作が完璧なら、魔力の系統次第なら使えるんじゃないか。
ソディアは魔力の系統は何なんだ?」
それを聞くと、彼女は俺の額に自分の額を密着させ、集中し始める。
数秒後。
びりり。
「うお痛ってぇ?!痺れたぞ今?」
「感電だ。
剣術には活かそうにも難しそうだし、基本的にはゴミだ!
どうだ?これでも行けるか?!」
これは、俺じゃ判断できない。
巳浦先生に聞くしかないぞ。
彼女に多分役立つとだけ伝え、団体戦後に教員として戻ってくるタイミングで一緒に聞きにいく事を約束した。
「所でソディア、一つ良いか?」
「何だ?」
「勝負はいいのか?」
「………良い、君には勝てそうにない。」
「俺は、ソディアを応援するぞ。
絶対に強くなる、基礎もあるし意欲も凄い、俺の憧れの先生にだって褒めてもらえる筈だ。」
「君の、先生、か。
気にはなるが、今は団体戦に集中だ!」
彼女がベラベラと長話を続けそうな雰囲気を出し始めたので、思い切って両腕を掴む。
饒舌な口がぴたりと止んだ。
突然だけど、決めたぞ。
うん。
「あのさ、ソディアが良ければ、俺と一緒に行動しないか?
正直に言うと今日の出来事の中で君を知れた事が一番嬉しい。」
「な、そ、それは、どういう?
私は父と母から厳しく教えられているから、異性と関わる際は話を通さないとまず禁止なのだが。」
「じゃあ今日の午後5時過ぎ、一緒に両親の元に行こう。
あ、でも王国外だとすると禁止区域になるのか、どうすれば。」
「い、いや、ここからすぐ近くの西の住宅街デルに住んでいる、私は寮から家が近い、話をするのは簡単だ。」
「じゃあ今夜すぐにでも話をしに行こう。」
「え、いや、だが。」
な、何だこの男。
【普段積極的な性格が嫌われる原因】でもある私に、逆に歩み寄ってくるだと?
な、何かこう、じれったい。
何だ、【この気持ち】は。
私は、彼と剣術を鍛錬する時間を共有したいと薄く期待してはいたが、彼の要求はそれどころではない。
どちらかと言えば、知り合いではなく友達、親友と言った類の接し方の様な………………まさか。
「ブレイドお前、私と友達になってくれるのか!?」
「え。」
いや、そうじゃない。
そうじゃなくて、その、フィスタとナジャみたいな関係を期待してんだけど。
【上手く噛み合わない】ぞ?
一体どういう事だ?
「ま、まぁ、親友とかになれそうだと思ってな。
嘘じゃない、俺はソディアの事が好きだ。」
「そうか!私は友達なぞ一人も出来たことがなくてな、どう会話するものなのか知らん!
ブレイド、君は知り合いが多そうだな?
色々と私に教えてくれ!」
「友達が、一人も……………あ、あぁ、勿論。
今から友達だ。」
「嬉しいよ、私は!
それではこれからは友達一号として宜しく頼む!」
彼女の発言やバックボーン、妙な点が多い。
はしゃぎ回る彼女の態度、それは
【年不相応なまでに可憐で可愛らしい】ものである。
これからどうするこうすると独り言を呟く、というか叫んでいる彼女を横目に、ブレイドは【危険な何か】に関わったのかもしれないと今更ながら自覚する。
(異常に厳しい人間関係の制約。
執念すら感じる強さへの信条、思考。
何より、男子以前に女子も含め友達が出来たことのないという交友関係の絶縁性。)
「そして、異性との関わりは両親を通さなければならない、か。
もしかして今日の夜、俺は地獄の家庭への門を開くことになるのかもしれないな。」
「あ、そうだ。
ブレイド!」
呼ばれたので不意に振り向く。
体が後ろへと退いた。
え、何。
「友達なら、この様に人と抱き合ったりもするのだろうか?
私は父にも母にも抱きつく事を許された事がなくてな、【良ければ私と抱き合ってみてくれないか】?」
「へ?……………うんうんうんうん、抱き返してやるよ!どんと来い!」
「本当か?やったぁ!えぇいそらぁ!!アッハハっ!」
あまりにも無邪気なその気持ちに、邪な感情は湧き上がらなかった。
連れ三人と記念すべき何かを祝うときの様に自然と体が彼女のハグを受け止めていた。
流れで上に投げたりもした。
落ちてくる勢いでお姫様抱っこをしてやる。
血の気の強い性分、口数と強烈な声量で敬遠されていたのかもしれないが。
「んはははは!楽しいな!
………………?どうした?顔が熱いぞ?」
「え?あ、いや………何でもない。」
「そうか。
体調が良いのは何よりだ、ほら、降ろせ。」
俺が16年生きて来た中で、一番心が惹かれる人だった。
その後、この二人を取り巻く部外者立ち入り禁止のハグ合戦を見ていた者達は、不思議と不粋な感情は抱かず、自身の友人関係を思い浮かべていた。
そして、正午から午後5時までの5時間をずっとフルスイングで遊び続ける二人であった。
★
「お前ブレイド、その子なんだ?」
「あれ?………………ソディアさんね。
貴方、ブレイドと並んで歩いたりなんかして、どうしたの?」
「まぁ、俺に剣で負けた子なんだけど、他の奴らと違ってかなり鍛えてる子でさ。
一緒に動く予定なんだ。」
「まだ予定だ!
これから西のデル街にある私の自宅に向かい、私の両親に顔合わせだ!!
許可が降りたら一緒に行動、無理なら諦めるまでさ!」
「そ、そういう事。
元気有り余ってる子だから、まぁ俺とも丁度良いかと思ってな。」
フィスタとナジャが手を繋ぎながらこちらを見つめてくる。
な、何だよ、その目は。
「おいブレイド、どういう距離感なんだよ、それはよ。
明らかに恋人でも友達でもねぇ訳わかんねぇ状態じゃねえか。」
「ブレイドさん、一つだけ言っておきます。」
ん、何だ。
「彼女の家庭は、暗闇ですよ。
友達が出来ない理由は、性格というより、どちらかと言えば家の方です。」
「解ってるよ、そんなの。
彼女の言葉の端端から感じてはいた、妙なニュアンスはな。
それ込みで俺は、彼女を知りたいと思ったんだ。
ナジャ、あんたはフィスタと仲良くしといてくれれば良い、俺と彼女の関係にこれ以上口は出さないでくれ。」
自分でも意外な程に真剣な顔つきになってしまっていた。
それを言われたナジャは目を細め、脇から何かを取り出しこちらへ手渡しして来た。
……………女子の制服。
っと、ぼーっとしている場合じゃない、俺の推測を実行しなきゃ多分ヤバい。
周囲を高速で確認する。
すると視界に食堂へ走っていくソディアを視認する事が出来…………
「食堂おぉぉぉおおぉっ!?何でぇぇえっ!?」
「腹が空いた!ブレイドも来るか?」
「くっ。」
何か珍しく腹が減ってないぞ、何でだ。
彼女と遊ぶので疲れちまったのか、俺は。
だが、ここで彼女と過ごす時間、そして【経験】を少しでも積んでおかないと、彼女の両親と会った時の覚悟が決まらなそうだ。
行くしかない。
「俺は丼物食う!!」
「そうか!!私はサラダだ!!」
「おいぃ!?なら俺もサラダにする!」
「合わせなくても良いんだぞ!」
「実はお腹空いてなくてさぁ!!水だけでも良いくらいなんだよ俺!」
※進行上必須な為性的描写有り※
「はは、面白い奴だなお前は。」
「ん、何が。」
どう考えてもラブムードが漂う中デカい声を上げつつ食事、しかも何故かサラダを食べるこの二人の雰囲気は、友情と愛情の溶け合った様な地獄とも天国とも取れる絵面であった。
だがブレイドは今、とても溌剌とした爽快で明るい彼女と過ごし、満たされた気分であった。
「私とここまで生活を共にしたのは君が初めてだ。
あぁ、これはアレか?私は何かお返しをするべきなのだろうか?
私にとっては【貴重な交遊経験や友好関係】を共有してくれた君には、何か一つ頼みを聞いてあげようと思うぞ?うん!」
「そんな、普通の事だよ。
でもそっか…………………頼みねぇ。」
…………………。
俺は、ナジャの考えてる事が何となく解った気がするよ。
紙袋に入っているそれを確認する。
でもこれで嫌われでもしたら俺、一生後悔するだろうな。
くそ………………やってやるよ。
「ソディアはさ、友達と恋人の違いは何だと思うよ?」
「それを聞くのが頼みか?」
「違う違う違う!これは単純に聞いてるだけだ!」
「つぉっ?!」
謎に気迫の込められた訂正に少し驚いたが、すぐにその意味を考える。
「そ、そうだな。
友人と言うのは、共に楽しいと思える何かを共有したり、他には他人の苦痛や恐怖、そんなストレスの原因を共通してくれる、肉体的にも精神的にも助けになる存在のことではないか?」
「お、おう。
で、恋人は?」
緊張する。
この会話の流れで、一気に均衡を壊す。
失敗したら、全部終わる。
男としても、人としても。
「んー、難しいな。
私には君と言う友達がいるが、それすら
【つい先程経験したばかりの事柄】だ。
ましてや恋人、となると、返答に困る。
強いて言うなら、どんな時でも支えてくれる、常に互いが互いを守ろうとする関係、か?
長い目で見れば人生を添い遂げるパートナーであろう?
ならば子供を作るわけで、その子を守る為、延いてはそれ以前に半身であるパートナーを守る為に【身を挺してくれる己の分身の様な存在】だ。」
「あぁ…………はは、そこまで考えているのか。」
彼女は活発なだけの女子ではない。
自身の境遇に臆する事なく向かい合い、その上で己の目標を叶える為研鑽を怠らない
【強靭な精神】を持っている。
そして何より、見てくれに浮き出る言葉とは真逆に繊細な思考を持ち合わせている。
なんて綺麗で、でも繊細な人なんだよ。
俺は、この人の事を救う。
言葉の端端に【】が付くような区切られたニュアンスが、この人の異常の一部だ。
それを、壊す。
そして、俺が勝手に救う。
席を立つ。
ソディアが見つめてくるが、構いなしに向かいの彼女の席の横へ移る。
「なぁ、ソディア。」
「な、何だ?急に近づいて来たから驚いたぞ。
一緒に並んで食べたいならそう言えば良い物を、回らない奴だ、ふふ。」
「…………っ」
この人は、何でこうもッ。
その言葉を聞いた瞬間だった。
我慢出来ずに腰に右手を回す。
こっちが理性崩れる前にソディアを壊すんだ。
「え?!な、何だ何だ!何をしているブレイド!?
女子の体に気安く触るのは良くないぞ、
【私だから良いもの】を、」
「アンタは自分一人だけの物じゃねえんだよ!!」
「え?ーーーーーーーーーひっ!?」
無理矢理食器を直させ、彼女を抱き寄せる。
周りにはもう人も居ない、構うものか。
そのまま彼女の体の感触を上半身で覚えていく。
着痩せしているがかなりキツく晒を巻いている、相当胸が大きいらしい。
腰が抜けたのか動けなくなっている彼女の顔を手で寄せ、頬を擦り合わせる。
「んへぇっ////!?な、ななにをお前!これは
【いくら友達でもやらない】だろう!!」
「あぁ、【恋人のする事】だ。」
「え、へ。
……………恋人、の方のスキンシップ、か?」
「そうだ。」
あたふたしている彼女の顔を両手で固定し、此方に釘付けになった目を確りと見返しながら、その野菜の切れ端が付いている鮮やかな唇に自身の口を重ねる。
猛烈に暴れた。
「〜〜〜〜っ!!!?〜〜っ〜〜っ。」
「んっ……………………んくっ」
フレンチなんてものではない。
俺の人生初のキスは、舌を突っ込んでソディアの口内を貪り尽くす物となった。
途轍も無く深い、ディープだ。
そのまま勢いで彼女の着ている青い制服の襟元にあるボタンを一つ外す。
これ以上は幾ら鈍い彼女でも気付いたのか、かなり抵抗してくるが巳浦先生に授けられたステータスでごり押す。
俺は何となく感じ取っていた。
【【【【【【【【【【】】】】】】】】】】】】
【彼女の歪み】を。
【【【【【【【【【【】】】】】】】】】】】】
それは、友達なんて【浅い関係では到底治すことの出来ない】程歪んだ代物である。
今こうして肉体を求めてはいるが、全く俺の下半身は興奮していない。
兎に角今はこうしなければもう間に合わない予感がして、彼女を無理矢理粉々に、跡形もなく破壊しているのだ。
そうしなければ今夜限りで俺は
【彼女と会えなくなるのが解ったから】。
「待ってまってま"っで、何?解ら、ないッ?」
「うぜえな、このボタン。」
「へ"、えぇ?」
面倒だから胸倉から一気に腰元の下まで引き千切る。
晒以外にもう胸を隠す壁は無くなっていた。
無駄に体に巻き付いている制服だった物を彼女の腕伝いに袖部分から抜き取る。
上半身は晒オンリー、下半身は漏らした尿とぐずぐずに濡れたスカートだけになっていた。
「わ、私、わた、わたた、な、えこれ、どう言う事?服、ふふ服服があれ、漏らし、なんで?」
溌剌と知性を感じさせた当初の彼女は完全に千切りにされ、ただ凄まじく整った顔と引き締まり腹筋の薄く出ている綺麗な上半身が、俺の前に残された。
面倒なのでスカートも一気にずりおろす。
深い食い込みのTバックを見て思わずギャップ興奮したが、今はそれどころではない。
改めて彼女を見つめる。
推定Hはありそうな胸を押さえ付けそれでもE近くある晒、鍛えられ薄く浮く腹筋や肋の筋。
紺色の綺麗なローポニーの長髪に、当人の性格からは想像できないほど強烈な好みの下着。
男を喜ばせる為の要素しか無いが、要点は違う。
「今俺はソディアをこのまま自室に連れ込む、色々覚悟してもらうけど、良いよな?」
「な、何故、こ、こん、こんな?」
「君の両親に備える為。
ソディアの事を全部知る為。
体の事も、心の事も、全部共有して一緒になる為だ。」
「そ、それは、私が言ってた………事?」
ほぼ全裸で寒さに震える彼女を立った姿勢で抱き締める。
甘酸っぱい香料、シャンプーの匂いが鼻を突き抜ける。
当たる所が全て当たり、もう流石に興奮しない様にするので精一杯だが、理性を保つ。
「ソディアお前、
【自分の事をゴミか何かと勘違い】しているだろ。」
「え?な、な、」
「なんで何が何故じゃねぇんだよ!!」
「ん"ぃ"ッ!?
お………………怒らないでくれブレイド。
何が何だか解らないんだ………お願いだよ。」
涙が出てくる。
俺が初めて好きになった女性は、俺の知り合った時点で既に心が壊れていたのだ。
一見正常に見えるが、自身の元気溌剌な行動理由とそれとは別に対象に求める何か、その実。
【【矛盾の状態】】
本来なら強く拒絶するべき接触を、
【機械的に客観視し受け入れる。】
ナジャが彼女と関わる事を忌避している様子だったのが今ならよく理解できる。
極論彼女は、
【犯されたとしても優しく宥める】のだから。
仮に抵抗はしてもだ。
私だから良かったものを、とでもほざくのだろう。
でも、彼女が轍を外す前に、俺の物にする。
絶対に彼女の本来の部分を損なわせない、あの俺が一目惚れした時の明るい面を、崩させやしない。
涙でしゃっくりの止まらない彼女の鼻を指で摘み、息を試みる口に栓代わりのキスをする。
コクコクと俺の肺から空気を吸い上げようとする彼女の肺と俺の肺の空気を交換する。
そして晒越しに人生で初めて女性の胸を揉み、恐怖で本能的に【濡れた】彼女の下着の中に手を突っ込む。
ーーーーーーーーーー無反応。
もはや受け入れることにしたのか、こちらの真意を察知したのか、寧ろ自身から四肢を絡めて行為を為しやすい様にしていた。
流石に意思とは無関係に俺の体も鋼鉄のように反応する。
先日までフィスタ達に抱いていた嫉妬心は溶けて、今は彼女を全て味合わなければ気が済まなくなっていた。
まずい、俺はこんな事がしたくて彼女を襲ったんじゃない。
俺は、ただ彼女の心を。
はむっ。
これは、驚愕だった。
ソディアからキスをして来た。
唇の表面から内側までを舐め回す、浅いながらも情熱的な接吻だ。
あまりの嬉しさに思わず舌を入れてしまうが、驚くことに彼女の差し出した舌と絡み合う。
一体どう言う心境の変化が。
一分程してキスを終える。
二人は汗でかなり汚れていたが、そんなことは気
にしていなかった。
「君は、私の本質を誰よりも早く、私よりも早く見抜いたのだな。
自慢ではないが、私はかなりいやらしい体だ、私服で出掛けると日頃から男性に色目を送られる。
だが君は肉体ではなくその先に覗く私の心を壊して治す為、無理矢理にこんな事をしたのだな。」
「ごめん、安い謝罪しか出来ない、この借りは技で返すよ。
………因みにさっきやったあれこれは全部ソディアが初めてだ。
これだけ自分を求められれば、誰にでも自分を不用意に踏み躙らせる思考じゃなくなったよな?
安心させて貰うぞ。」
「途中から流石の君も息子が元気に怒張していたが、それでも耐える精神力も益々気に入ったよ。
ブレイド、君は私にとって初めての友人であり、【最初で最後の身も心も預ける恋人】だ。」
「「さぁ、今から、」」
「ソディアの家に向かおう。」
「君の部屋に向かおう。」
…………………。
「いやいやいや優先度おかしいだろ。
それは確かに興味津々だけど、先ずは君の問題を片付けてからだ。」
「はぁ。
私をここまで辱めておいて、挙句準備まで万端にさせて、寸止めだと?
すごい男だな、この発情した状態で両親と会話しろとは、いやはや恐れ入った。」
「兎に角服を着ろ。」
「え?」
予期していたのかナジャから予備の制服を貰ってある。
これが無かったら彼女を救うことは出来なかっただろうが、俺はそれと同時にナジャに見下されただろう。
20秒ほどで着替えを終えた彼女を改めて抱き寄せ、また彼女もそれに応えるように両手を回して来た。
今行ったのが【本当のハグ】だ。
目で見つめ合い、再び口を合わせ合う。
これは、先の彼女の覚醒時も合わせると二度目の【本当のキス】だ。
その二人によるオーラルな混じり合いの中。
不思議と興奮ではなく親が子に抱くような温もり、暖かい感情が互いの心を染めていた。
日に【敵】⇨【知り合い】⇨【友達】⇨【恋人】
と段階を進めたのはこの二人が初めてだろう。
二人はその後西の住宅街デルに向かうが、それは次の話にて。
……………おや。
「え、エロ過ぎんだろおい。
こっちまで興奮しちまっただろうが。」
「良いんじゃない?ああするように暗に仕向けたのは私だし、フィスタがこうなるのも実質的に私のせいよね?
ねぇ、私はどうなるの?」
「ーーーーーっ。
部屋に来い、優劣分からせてやる。
ナジャは今回のブレイドとソディアの件を円満に解決出来た事をとても微笑ましく思いながら、同時にそれを実行してみせたブレイドの鋼の精神性に一種の恐怖を感じていた。
だがそれよりも先にフィスタによって嬉しい目に遭うらしい。
先程の光景で、この二人のテンションはマックスまで上がっていた。
主人公組四人に其々パートナーをつけたいと考えています。




