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英雄までの物語  作者: ノンプロット
一年期七月下旬〜 反英雄
108/113

百五話 話にならない

だいぶ期間が空きました。

因みにまえの書き溜めです。

13時になり昼の食事と休憩を終え。

各々は興味本位で組み合わせを決めた。


その1組目。

前に出て行くのがどちらか問答を始める。








「………何で、」

「何で俺とお前で組むんだ!?」


「ふん、知らん。

強いて言えばフレムが私を嫌がったから、か?」


「ブレイズ……お前と俺の戦闘相性ってどうだ。

良いと思うのか?な?」


「お前がどうかは別に興味無い。

私としてはブレイドと組むのではなくブレイドを倒してみたいのだがな。」




「ーーーーまぁ何でも良いやっ!

取り敢えず行くぜ、ブレイズさんよっ。」


「まぁそうだな。

宜しく頼む、エイラ先生。」




「ふむ。」

「宜しい、組が決まっているなら早く来い。」








そうして謎に剣士ブレイドと青炎ブレイズの不思議なタッグが完成した。

 日頃関わりを持つ事が無い同士という事で組まされたが、全くもって連携の術が不明。


その辺りをどう補助するかも試されている、か。

クラスが余計な案を出したせいで面倒だな。



ブレイズが空中、ブレイドがその真下で構え。

戦いながら連携を見つける方法を採った。







(ーーーほう。

合わせは初見らしいが、悪くはないな。)


エイラから見た感想としては、

【意外と様になっている】だ。


勿論息が合ったりは無いが、互いの呼吸や初動の感覚を探っている様子だ。

 完全な散散、ではない。

これならば幾らか期待出来そうだ。





エイラから行く事は無い。

待機に徹し、後出しで対処する流れだ。


そんな彼女に先んじて突っ切ったのはブレイド。

ーーーいや、ブレイズも同時だった。



両者共驚いて上下に視線を交わすが、瞬時に切り替えて各々の予定していた攻撃を一先ず出す。


ブレイズの繰り出す滞空での踵落とし。

それに合わせるようにブレイドが両手で握った木剣の切先を地面から真上に切り上げる。





上下から挟まれる形になった。

その偶然か必然か分からない見事な同時攻撃を、


ーーー両手で普通に握り掴んでしまう。

そこからブレイズを地面へ叩きつけ、ブレイドはエイラの背後へと投げ飛ばされる。


二人ともその人間離れした返しに目を疑う。

 だが怯んでいても状況は変わらない。






「行くぜエイラ先生っ!」

「よし…………《魔剣》……っ」


「ふむ、魔力を見境なく流し込んでいる訳か。

同等の相手であれば怖い代物だろう。」

「だが、普段通りに動けなければ無意味だ。」


「どうっだろうなぁっ。

見てから判断……してくれよっ!」






木剣が黒い霧に包み込まれ、ブレイドの肉体から魔力の風が巻き上がる。

発展途上の彼が成長したらどんな姿になるのか、見る者の好奇心が刺激される。


そんなブレイドががむしゃらに振り下ろした剣撃を右手で掴む。

すると、薄皮を僅かに削られる感覚が走った。



一瞬とは言え眉間を寄せた表情になったのをブレイドは確認した。

そして、自身でも初の試みを実行する。






《纏刀》から《真空剣》を撃つ事が出来るなら。

……《魔剣》からも撃てるんじゃないのか。


その発想は前からあった。

だけど試す相手が居なかった、多分危険だから。

 でも、エイラ先生なら問題無いよな。



掴まれた木剣に流し込んでいる魔素を循環から放出へ切り替える。

規模だけで言えば幅4m、直径12mと範囲型真空剣の4倍を誇る魔素の塊が両者を包む。


まるで巳浦の《剣衝》に近い面積の真空剣は、後方で這い蹲っていたブレイズまでその風圧を届ける。



観戦していたガトレットは、9月初めまでの技に試行錯誤していたり10月初めの学院戦でレイレンに見せた応用力にも当時驚いていた。

 それらの成長だけでも凄まじかったのに、今の一撃は何なんだ。


まるで一流の冒険者、武人、騎士の戦闘。

同様に観戦していたアラガンやエイガ達教師もブレイドの異常な成長速度に口が半開きになって閉じなかった。

非現実的でそれを信じられなかった。







「ーーー凄いじゃないか、ブレイド。

ここまでの技をもっていたとは。」


「…………駄目だ……動けねぇや……」


「今日の中ではフレムの蹴りに並んで凄かったぞ。」

「さて…………ブレイズ。」






「…………っうぐっ……ふざ、けっ」

「なん、でっ私だけ寝てるんだッ」


「ふぅむ。

所詮は女子、という事だ。」

「おまけに打ち所も悪かった、首を痛めては動けないだろうな。」


「ぅうぅっ…………納得出来ないっ……っ」


「すまないが私は感電魔力でな。

傷を癒す事は出来ないんだ。」

「ブレイドと一緒に医務室、保健室等に連れていって貰え。」







そんなこんなで1組目は撃墜された。

ブレイズは運悪く何も出来なかったが、ブレイドは大きな衝撃をこの場の全員に刻んだ。


ブレイズは今日1日で競争相手だったフレムに大きな成長を見せられて嫉妬していたが、自身は二戦ともまともに結果を残せなかった事を許せなかった。

これがどの様に彼女を導くかは、分からない。



そしてブレイドは、自身の魔力を全て注ぎ込んだ一撃ですら指の薄皮をほんのり傷付ける程度だったのを目視してエイラが何か普通の存在ではないと確信した。


そうと分かった所で何する訳でもないが、少なくとも負けて当然の戦いであったのならまだ納得が行く。

自分の史上最高の一撃が髪を靡かせるだけに留まるのは不可解なのだから。


そんな事を考えながら、ベッドの上で暫し休みに入った。











一方。

2組目は誰かと言うと。







「俺の足引っ張んじゃねえぞ。

ーーーー聞いてんのか?」


「………はぁ、先が思いやられるよ。

君こそ、僕の足を引っ張らないでよね。」


「まぁ、お互い自由に動くか。

それなら文句もねぇだろ。」


「賛成。

ブレイドも帰っちゃったし、僕も早く倒されて医務室に行こうっと。」


「あ、おいてめぇ!

流石に手は抜くんじゃねぇぞっ?!」






「ん?それは勿論問題無いよ。

僕も、ブレイズみたいに悔しい思いまではしたくないからね。」


「そうかよ。

んじゃあまぁ、行くか。」


「うん。

まぁ僕達も一回は戦った仲だし、気楽に行こ。」



「二人とも、準備は出来たようだな。

それでは2回戦を始めるぞ。」







両者は、互いの背中を合わせて正面へ構える。


ガトレットは右側に立ち左半身を前へ向け。

フィスタは左側に立ち右半身を前方へ。


互いに掌打、打拳と分野は違えど同じ武闘家。

似た者同士で組んだものの、一体どうなるか。



そんな空気の中を割りガトレットが踏み込む。

一歩遅れて後方からフィスタも追従する。

 エイラの視界左右を埋める形で詰めた。


そんなガトレットが放つ捻りを加えた掌打。

フィスタの殴り上げ(アッパー)。

 それらに対してデコピンをし二人の腕ごと背面へ弾き返す。



そんな事態もここまでの全員のやられっぷりで想定していた両者は一切の怯みを見せない。

 即座に構え直し、再度踏み込む。






フィスタが右手裏拳を放ち、ガトレットが左手の掌打を左真横に叩き付ける。

その両攻撃を簡単そうに両手で掴み止めると、1組目の両者に実行した放り投げを見せる。


その行動に対して。

フィスタは地面に叩きつけられる直前に全身を時計回りに捻り頑丈な背面から受け。

 ガトレットは空中から地面に落ちる丁度に全身へ強化魔力を纏わせ、顔側を下に向けながら畳んだ両腕を緩衝材に受け身を取る。


可能な範囲で負傷を抑え、二人とも幾らか痛そうな顔をしながらまだ動ける様子であった。






一歩間違えばブレイズの一例にもなり得る威力をここまで受け流すとは、素晴らしい。

 エイラは軽く2回手を叩き、何とここまでの手合わせで初めて自ら動き出した。


それには観衆も皆心臓を強張らせるが、一先ずの目標はガトレットとなった。



最大限の警戒をし視界に意識を集中させる。

どんな予備動作も見落とさないつもりで。


そんなガトレットが行う瞬き、2回。

それに合わせて一歩、二歩の踏み込んで来て。






間にあった20m、それをたったの0.5秒で詰めてきた。

速度的には巳浦と同程度かそれより僅かに速い。


当然意識が追い付く前に通り魔と化したエイラの左手による指弾きを額に喰らいその衝撃で仰向けに倒れる。

喰らって初めて自分が攻撃された事に気付く。






そんな一連のやり取りを見ていたフィスタはやけくそ気味に全魔力を全身に走らせる。


《夢儚》であった。

初戦ではまだ見せていなかったそれは秒間30mと並みの英雄に匹敵する速度を誇る。


ーーーが。

その状態のフィスタが打ち出す1秒七発の打撃を全て両手の人差し指で受け止めてしまった。

 その上最後の10秒目に両拳を軽く握り止められ、最後に頭突きをかまされた。



まぁ無論耐えられる訳もなく。

極度の疲労と内出血、そして外傷。


最後はエイラの胸元に頭から倒れ込み終了。

短時間とはいえ速度だけなら間違いなく英雄と並ぶフィスタの健闘を讃える様に彼を両腕で受け止め、地面へと静かに寝かせる。








「フィスタもガトレットも素晴らしい。

この者達以外に戦う組はいるか?」







最初の方はまだクラスやグラプロ等余力のある者達が行くか悩んでいたが、フィスタの高速戦闘を更に上から潰してしまったエイラを見て意欲が失せた。


特にクラスはフィスタの《夢儚》なら通用するかもと考えていたのもあり余計気が引けた。

そうしてこの日だけ行われたエイラの戦闘訓練は後日以降も伝説の授業単位として記録された。



そして14時、15時と時間は経ち。

ーーーーー。














17時。

この日の7時限目も終わり。


医務室で休んでいたフィスタやブレイド。

ガトレットやブレイズの合計4人。

彼等も4時限目の13時過ぎから4時間近く眠り、幾らか元気を取り戻していた。


唯一ブレイズだけは窓際から校庭を見つめていたが、それに触れる無粋者は居なかった。





4人は起きてからエイラ先生との戦闘を振り返り、それから少しして住宅街の寮へと転移して帰って行った。











余談。

転移装置は松薔薇の発明品。

人間界に存在する冥界門と地獄界門の構造を解明した結果、一定の空間内に存在出来る物質量を超える事で発生する歪みが元に戻ろうとする際近辺で最も密度の低い空間へ瞬間移動の如く飛ばされるのが判明した。


そして転移装置は1人入るのが限度の狭い縦長の箱状になっていて、その中にある台座上の不思議な引力を持った水晶を触る事で水晶と手の間の極僅かな空間に歪みが発生する。

その後は、凡ゆる物質を寄せ付けない斥力を持った不思議な水晶の設置された転移装置内へと瞬間的に飛ばされるのだ。

※引力装置は一方通行。



以前にも何度かあったやり取りに、一定の空間内に多くの魔素が放たれると魔物が発生するなんて話があった。

それもこの世界の法則の一つであり、それが度を過ぎると最終的に冥界門と地獄界門という名のゴミ箱が開いて魔素が流れていく。


そして現代は、歴史的にも異常な程猛者が跋扈している。

表界に収まり切らない尋常ならざる魔素質量は何処に行っているのか?


そう、冥界と地獄界に流れ込んでいる。

その結果の一つが、ヴァンデル遺跡に現れた黒鎧と呼ばれる冥界生まれの上級魔物。



簡単に言えば、魔物は文字通り魔素のみで構築された存在。

その存在理由は空間内に効率良く魔素を詰め込む為である。


多くの魔素が圧縮されればされるほど、より強大な魔物が生まれる仕組みなのだ。

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