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英雄までの物語  作者: ノンプロット
一年期七月下旬〜 反英雄
107/113

百四話 表と裏の代表全員と

前話とこの話の間で他の趣味に時間と意欲を取られました。

モチベ下がりに肩を入れるべく3日跨ぎで何とか。






11月2日。

午前8時を迎え、腕に覚えのある生徒達が校庭に集合する。

本来であれば授業一限目は9時からだが、このエイラ直々の授業は実験的な要素が強いので1時間早めにずらしている。


バルト学院の校庭は異様に広く、中心に建てられている校舎から半径500mが全て敷地となる。

※以前ヴェルウェラが学院に訪れた際もこの距離を移動していた。



表代表組と裏代表組の中で誰が呼ばれるのか。

最初っからブレイドとなった。







長袖を捲ってある真紅のYシャツ。

浅黒い長丈のジーンズ。

真っ白な長髪はオールバックにして後頭部のカチューシャで固定してある。


そして体格はと言うと。

身長は180cm程、程良く出る所も出ている。

 男女関係無く人気のあるエイラだが、当の本人は全てにおいて主人である意思が頂点と考えており自分自身をどうとも考えてはいない。

(他の裏天使も同じく。)



その彼女の前。

ブレイドが同じように身に付けている白Yシャツの袖を捲って右手に木剣を握る。

 当然、とばかりに強化魔素を流す。


エイラはその魔素濃度から、ブレイド本人のLVを35〜40程度と推測する。

ダイエン共和国に行く前が30LV台前半だったのを考えると1段階成長していた。







エイラの戦法は様々な体術を扱うのが基本だが、未熟者相手では何も使わない。

 右腕のみ、しかも半開きの素手だけ。


ブレイドは肌でエイラが英雄以上の存在だと感じ取り、一切油断をせず初手から《纏刀》を使う。

 常に《真空剣》を撃てる状態となり、その状態中常に振り一つ一つの威力も上がる。


そのブレイドの斬り込みに対して手甲や掌を添えて往なし続ける。

 そもそもの技の重さを考えると横から押そうにも難しい筈だが、その辺りを無視している。







嫌な汗を掻きながら、不意打ちの《真空剣》を掌で握り止められた姿勢から撃ち出す。


人1人を包み込む強化魔力の黒霧。

そこから出てきたのは、擦り傷の一つも付いてないエイラの姿。


思わず呆けていると彼女から、

『これで終わりか。』と訊かれる。

 まだやれない事も無いが、根本的に倒す事自体不可能である上に実力差が有り過ぎる。



巳浦爺さんを相手にしている様な感覚になり、諦めて降参する。

するとエイラは、ブレイドの技に関して、

『見事な技だ』と褒め次の人を呼んだ。


 初めて真面に尊敬出来る先生らしい人と出会い、ブレイドは素直に跳んで喜んでいた。







「褒められたぞ俺ぇぇーーーーっ!」


「次は僕が行くね。」


「おう、行ってこいガトレット。」









続いてガトレットが出て来る。

最初から左半身を前に構え、利き腕を使う気だ。


そんなガトレットに対してエイラが普通に、

『女の子か、だが贔屓はしないからな。』

と言われる。


珍しく薄目を開いたガトレットは、即座にその認識を改めさせる。

『髪とか声で勘違いしないで下さい。』と。



しかし顔付きもどこか女子的なのは何故だ?

と訊かれる。

 それはガトレットとしても良く分からない点の為偶然そうなだけ、と返した。


それはそれとして、息を吸い直して構えを取る。








ガトレットは全開で強化魔力を纏い、可能な限り速くそれでいて力を込めた掌打を打ち込む。

それを途中までは躱し、後から拳闘の練習の様に素手で受け始めた。


通常大きな痣、何なら罅が入ってもおかしくない危険な打撃の筈なのだが。

ただの手打ちを受けるかのような顔で掴み取り、2分ほどして止めた。



ガトレットは息を荒くしながら礼をする。

 そんな彼に対して一言、良い重さだと告げ。

自分が弱い訳でないと再度確信を得て元気を取り戻した。


そんな調子で全員の力を見ていった。

ーーーそして、しばらく経ち。


















「一時限目は終わりだ。

ここまでで参加した者は、」

「ーーー男だとブレイド、ガトレット。

フィスタ、グラプロの4人だな。」


「女の方は……ソディア、ナジャの2人か。」

「小粒は男が3人、女が1人だな。」


「残っている5名は二時限目で相手してやる。

それまでは待機だ。」






「……痛ッてぇ………いやっ動けねぇぞこれ…っ」


「フィスタよ、私に関しては自前の頑強さなど意味無しの如くビンタで終わったぞ、ハハハ。」


「俺は何だっけかっ………デコピン……」

「クソ………痛ぇよ頭ァ…………ッ」







「ナジャも私も文字通り相手にならなかったな!」


「何を意気揚々と言ってるのよ貴女は。

恥ずべき事よ、これは大問題だわ!」


「だが勝てるとは思えないぞ、私には無理だ。

ナジャには何か勝ち筋があるのか?」


「…………組み技仕掛けたのに腕力で投げ飛ばされると、誰が思うのよ……?」

「無理に決まってるでしょっもうっ!」


「そうだろうな!

よぉし、私はこれからも強くなるぞーッ!」








既に6名の有力者が凡ゆる手段を右手一本で容易に潰された。

技自体は掛かったりするが、それも意図的に受けている様子だ。


その上で後出しの怪力により強引に突破される。

勝てる戦いではなく、完全に先生に遊ばれている状況である。


強いて言えばブレイドだけが、完璧に一撃を与えたぐらいだろうか。

ーーー擦り傷の一つも無かったが。














二時限目に入り。


残っていた男側のデガーは両の手に握る小太刀を右手で掴み取られたり、人差し指で弾き飛ばされていた。

 まぁ分かってはいたが、根本的に攻撃が通らないのはどうかと思う。


結局デガーは、弱点と言える攻撃と攻撃の間の長さを指摘されて終わり。

何とも悔しそうな、だが目標を見据えた表情に。





ブレイズは偶々髪色がエイラと同じ白髪というのと一人称も同じく私、もどこか似た印象。

まぁ戦闘に関しては、空中からどんな攻撃を仕掛けた所で無意味と言わんばかりに平手打ちで叩き落とされていたが。


しかし美しさを撒く様な光景に関しては一言、

『青色が綺麗だな。』と呟く。


当人はそんな余裕のある感想を言われた事に傷付いていたが。









「ーーーーほう、随分と上まで浮くな。」

「来てみろ、フレムとやら。」









「………舐めんなよ………《隕襲》っ」









僅かとは言えレベル不相応に強力な危機を感じたエイラ。

ここまで初めてとなる感電魔力を右手に纏い、掌を大きく開いた。


ブレイドとフィスタは知らないが、クラスだけは知っている。

身を滅ぼす前提で落とされる激烈な飛び蹴りは、秒速30mの高速を誇る。


クラス以外の全員。

特にブレイズが、前まで無理だった空中浮遊を使える前提で編み出されただろう《隕襲》の膨大な魔素量に驚く。

 この出力は、以前にトーナメント戦で手合わせした時と比べて明らかに別物だ。







1.6秒程で50mを落下し切るフレムの蹴りを肉眼で捉える。

足裏を右手で掴み取ると、地面に激突しない様に槍投げの要領で即座に上へ投げ飛ばした。


フレム本人は何をされたのか理解出来ず、ただ自分の必殺を返された事だけを理解する。



一気に魔素切れを引き起こし地面で片膝を突く。

そんなフレムに無言で肩を叩いてやると、次の相手となるクラスを呼ぶ。

 直接褒め言葉を言われた訳ではないが、その肩叩きからは賞賛の意が伝わってきた。









クラスに関しては元々接近戦を好む人種では無い為距離を取りながらの戦法となる。

 だが遠距離戦を好まないエイラ先生的には気に食わない。


銃撃を放ってくるクラスが瞬きした刹那に眼前に移動していたエイラに銃を取り上げられる。

 人間離れした動きに理解が遅れるも、間髪入れず出されたビンタを右手首に当てられ痛みに蹲る。



とは言え諦めの悪いクラス。

静かに左手に生成したリボルバーを彼女の去り際の背中へ向けて射撃する。

ーーーーその気配を感じ取ったエイラに予備動作で一瞬早く上体を左に逸らされた。


その後は半時計周りに振り返ったエイラに銃身を握られ、怪力で潰される。


そんな怪物さながらの対処をされて口が開き切ったクラスに対し。

『素晴らしい魔力操作だな』と告げ二時限目終了。








「見ていた他の生徒達は、最低でもコイツらと同じ力を付けてから私の元に来るがいい。

………大怪我するぞ。」


「それでは、三時限目の内容に移る。」





「三時限目はーーーー2人組で私と戦う。

子供にしては大した物だが、私的に暇過ぎる。」


「何なら三時限目は組み合わせを考える時間にしても良いからな。

その場合は一旦昼休みで食事休憩をしてから万全な状態で午後に始める。」









2人組。

それは、日頃から互いに稽古しているブレイド組とガトレット組にとっては興味の尽きない話。


誰が誰と組むのか。

男と女で組むのは有りか無しか?

 会話は止まらなかった。

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