00.「シャルル追放される」
「ウセロ公爵家の長男、シャルルであります!」
「通すがよい」
重い扉がギュギュっと開く。僕の腕には何故か手錠がはめられていた。
この後の展開は予測できている。だから抵抗はしなかったんだ。
王の御前に跪くと、ゆっくりと扉がムギュっと閉まった。
いや、この扉どんだけ老朽化しとんねん。
閉まったのを確認した王は、口を開いた。
「そなたが、シャルルで間違いないな?」
「左様でございます。王よ、私がこのような待遇を受ける理由をご教示願いたい」
---少々芝居が過ぎたか...?
いや、王は気づいていないようだ。どうやら俺の名演技を見破ることができないらしい。
それもそうだな。本当に最後まで無能なおっさんで助かったよ。
「教示だと?それは貴様が一番知っているのではないか?己にもう一度問うてみろ」
何を言うかと思えば、俺を陥れたのはアントニだと気づいていないのか?
まぁいい。どの道この国に未練なんてないのさ。
さぁ、さっさと僕を追放しろ!
「なんだ、その不服そうな顔は!少しでも反省していれば情状酌量の余地もあったが、
もういい! 誰か、こいつを追放する!転移魔法陣の準備をしろ!」
王の命に従って、宮廷魔導士たちが魔法陣を形成する。
「今から貴様が転移する場所を教えてやろう。名のある冒険者でも攻略不可能とされた、
難易度SSS級ダンジョン『キング・オブ・コキュートス』その最下層だ!」
な、なんだってー!よりにもよって難易度SSS級ダンジョンだと...
そんなところに転移させられて僕は生き抜くことが出来るのか?
こうして、僕は難易度SSS級ダンジョン『キング・オブ・コキュートス』に転移させられたのであった...