家族追放
「軟弱な跡継ぎなどこのスペリアートには必要ない。」
呼び出され父の執務室に入るなり突然そう告げられる。
続けて口角泡を飛ばす勢いで父がまくしたてる。
「ユウリ・スペリアート、お前をこのスペリアート家から追放する。今後このスペリアートの家名を名乗ることは禁止。別宅を地方都市に用意した。以降はそこでゆっくり過ごすがいい。お前の大好きな若い女はいないかもしれないがな。」
「ちがうんだ、父さん聞いてくれ!」
釈明の声をあげようとしたその瞬間、かぶせるように怒声が鳴り響いた。
「なにが違うんだ!お前が女にうつつを抜かした挙げ句、聖剣を持ち出して遊んでいることはしっかり耳に入っているぞ!しかもだ!お前、裸の女性と路上で抱き合っていたらしいな!!!愚か者!スペリアート家の恥晒し!この魔族が攻め入ってくるという国家存亡のかかった時期に!!考えなしにもほどがある!」
「だから、それには事情があって……父さん落ち着いて話を聞いてくれ」
「お前と話すことなどないわ!着の身着のまま今すぐ出ていけ!!この家にあるのは我がスペリアートの財産!小石ひとつとて持ち出すことは許さんぞ!!」
僕がいったいなにをしたっていうのだ。
◇
もう戻ってくることはないのかもしれない。
15年住んだ屋敷を最後に目に焼き付けようと振り返ると、
屋敷から火が上がっていた。
空にはガーゴイル。
「魔族の襲撃を受けている!?戻って戦わないと!」
慌てて馭者に馬車を止めるように声をかけるが馬車は止まらないどころか、スピードを上げる。
「……俺は旦那様からあなたを安全にベリモンモンに届けるようにと頼まれました。だからあなたを絶対に屋敷に戻らせるわけにはいかない」
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