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「あの男──何の目的があってサランディールの事に首を突っ込もうとしているのか、未だに分かっていない。

お前にも、迂闊な事をして欲しくはない。

それに第一、お前との婚約も、別に破棄された訳でもない。

にも関わらずお前の心が彼にではなくリッシュくんに向いている事を悟られたら、どんな事が起こると思う?

先程、アルフォンソ兄上の部屋にやって来た時の彼の顔を見なかったのか?

リッシュくんを、射殺そうとでもする様なあの目を。

俺にはリアさんの大切な弟(リッシュくん)を緋の王から守る責務がある。

今回、リッシュくんがこの城から離れダルク・カルトの供らいに行くというのも、丁度いいタイミングだったと俺は思う。

俺からは以上だ。

それでもまだ反論があるというなら聞くが?」


言うと──流石にミーシャがきゅっと口を曲げたまま、悲しい表情で押し黙る。


レイジスは、一つ、息をつく。


「──ダルク・カルト殿の墓参りは、いずれまた行けばいい。

だが今回は諦める様に」


念には念を押して言った先で、ミーシャが小さな声で「──はい、」と答える。


どうやらちゃんと、諦めてくれたようだが。


──見張りくらいはつけておくか。


そう心の中で思いつつ……レイジスはミーシャに悟られない様密かにまた一つ、嘆息したのだった──……。


◆◆◆◆◆


レイジスの部屋を出てから──。


ミーシャは憂鬱な気持ちで元来た廊下を歩く。


ミーシャの後ろには、護衛の兵が二人もついて来ている。


レイジスに自分を見張っておく様にとでも言われているのだろう。


──レイジスが先程言った事は、正論だ。


それはもちろんミーシャにだって分かる。


特に何より緋の王の件に関しては……。


あんな風に言われてみると、確かにミーシャだって不安ではあったし、納得せざるを得なかった。


けれど……。


~それでも、心配なの……。


ゴルドーやジュードがいてくれて、道中で何か危険があるとはミーシャだって思っていない。


ミーシャが一番気がかりなのは、そこではなく──……。


──飛行船の鍵を取りに行った時にゴルドーさんが話して下さった、あのお話……。


それがあるからリッシュはあの日の事を思い出す時、いつも気を失ってしまったり、そうでなくても顔を真っ青にして立ち尽くしてしまうのだと、今では分かる。


ダルク・カルトを供いたいという気持ちだってもちろん嘘ではないけれど。


~……リッシュの事が……。


ぎゅっと静かに目を閉じて息を吐いて──。


そうしてミーシャは、今まで待たせていたゴルドーとリッシュの元へ、辿り着いたのだった──。


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