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3

◆◆◆◆◆


「──俺が知る地下通路への入口は、ここだけです」


と、俺とゴルドーをその入口前まで案内してくれたのは、ジュードだった。


場所はサランディール城の西の端にある、あんまり目立たねぇ廊下の隅の方。


もちろん人通りは皆無だった。


ジュードに言われて示された場所を見ても、パッと見ただの廊下の壁にしか見えねぇ。


別に切れ目も見当たらねぇし……と思っていると、ジュードが廊下の一角にある壁の下の方を蹴りつけ、小さな扉を押し上げた。


音もほとんどなく、スッと開いていった扉の向こうは、暗い。


暗闇の向こうにゃあ階段が続いている。


「……まぁ、確かに、」


と最初に声を出したのは、ゴルドーだった。


ゴルドーは腕を組み、ガラ悪く腰を折って顔を突き出す様にして開いた扉の向こう側を見ながら、言う。


「──嬢ちゃんはともかく、これじゃあ俺らにゃ間口が小さすぎて入れねぇわな」


「──はい。

レイジス様にも確認を取りましたが、この先の通路については、ご存知ないと。

俺がダルクさんから教わったこの入口自体、今回初めて知ったと言っておられました。

亡き国王陛下や、今は療養中のアルフォンソ様であれば知っていたかもしれないという事でしたが……」


「他の入口から入って同じ所に通じるとかいうこたぁねぇのか?」


「あるかもしれませんが……。

確実ではないそうです。

通路は複雑で、全ての道が繋がっているという訳でもない様なので。

ゴルドー殿がご存知のトルスからのルートを辿る方がいっそ早いでしょう」


その答えにゴルドーがチッとガラ悪く舌打ちする。


「えらい遠回りだがな。

全くあいつも面倒な場所で殺られたもんだぜ」


言う。


サランディールからトルスまで、馬車で行っても大体二日。


そこからゴルドーが知ってるっていうダルクのいる場所に繋がってる地下通路への入口までは約一日。


その入口からダルクの眠る場所までは普通に行きゃあ四、五日かかるらしい。


それからダルクをトルスにある墓に葬って──としてたら、まぁ大体それだけで半月近くかかるだろう。


……それで、その後は──?


ふと、そんな事を、思う。


俺やゴルドーのサランディールでの役割は、たぶんもうほぼ終わっている。


一度戻ったら──俺らがまたサランディールに戻って来なきゃならねぇ理由は、実はもうねぇんじゃねぇのか……?


と──


「──ッシュ、おい、リッシュ!」


俺があんまりぼんやりしてたからだろう、ゴルドーがやや苛立った声をかけてくる。


俺が慌ててゴルドーの方を見やると、ゴルドーが何とも言えねぇ表情で俺の頭をコン、と一つ、小突いてきた。


ゴルドーにしちゃあ割に弱い小突きだった。


いや……。


『弱い』ってぇよりも、『気遣う』様な。


ゴルドーに限ってそんなバカな、とも思うが、そうだった。


ゴルドーは気持ちを切り替える様にしながら言う。


「──まぁいい。

通路の事はよく分かった。

ま、別に急ぐこたぁねぇ。

適当に用意をしたら出発するとしようぜ」


言うのに──俺は「……ああ、」と弱く、返事する。


気づいたら、いつの間にかジュードが押し開けた地下通路への扉はもう元のまま閉まって、そこにはただ何の変哲もない壁があるばかりになっていた。


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