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いつになく真剣な表情でジェノへ問う様な目を向けている。
ジェノは──たぶん大いに戸惑っただろうが── 一応は真面目な面持ちもそのままに口を開く。
「──スノーウィル嬢は、」
言いかけるのに、俺は横から目線だけでジェノに訴える。
俺の事、頼むからレイジスにバラしてくれんなよ?
てかそもそもリアがこのサランディール城でメイドとして働いてたとかいう所からしてレイジスの立場からすりゃあ『?』でいっぱいのハズなんだが……。
まぁ、レイジスならその辺の疑問は上手い事うっちゃってくれるだろう。
けど、『連れ込んだ』云々の話は絶対ぇそうはいかねぇ。
~頼む!どうか上手い事誤魔化しきってくれ!!
半分拝む様に、もう半分は脅す様にジェノへ視線を送る。
その先で──ジェノはこう、話を続けた。
「私に、レイジス殿下はとても信頼の置けるお方だから知っている事があるのなら全てを語るべきだと、そう説得に来られました。
それ以外には何もありません」
レイジスが、
「──本当に、それだけか?」
まっすぐ厳しい目をジェノへ向け、問う。
一ミリのウソも見逃さねぇ様な、そんな厳しい追求の目だったが、ジェノは見事にそいつを乗り切った。
「はい」
と答えたジェノに──レイジスは二、三秒程も見極めて、最終的には「そうか」と破顔した。
「~それならいいんだが。
ところで、スノーウィル嬢というのは?
リアさんの本名はリア・カルトだと思うが。
リッシュくんの双子の姉上だからな。
それに……リアさんは今は一体どこへ?」
言うのに──ジェノは俺の方へちらりと一つ視線をくれる。
だが何も言わずレイジスの前に頭を垂れ、告げた。
「──さあ、存じ上げません。
お名前も、城ではスノーウィルの名で通っておりました。
初耳でしたが、リッシュ殿がリア嬢の《《弟》》なのでしたら、彼が全てをご存知なのでは?」
サラッと自然に、この俺に降ってくる。
んげっ……!
思わずギクリと顔を強張らせる俺に、レイジスは急に追求する様に俺を見る。
ヤ、ヤベ……。
俺の広い視界の中に、ガイアスとミーシャの顔が見える。
ガイアスは何とも痛わしそうな顔でレイジスを見ているし、ミーシャは『もうこの機会に本当の事を話してしまったら?』ってぇ表情だ。
背に隠したゴルドーに至ってはもう、俺は見る気にすらなれねぇ。
俺は──その誰も彼もまだレイジスに声をかけたりしねぇ内に、慌ててレイジスの前に躍り出た。
「~あっと!そうそう!
レイジスにゃあ言ってなかったよな!
今回俺、女の子の姿でリアの名前使って潜入捜査してたんだよ!
カルトの名前使うのビミョ~かな~と思ってガイアスのおっさんにスノーウィルってぇ偽名も作ってもらって!
ほら、前にも一回やった事あんだろ?
俺、結構可愛く変装出来んだよ。
だからこの城にいたのは本物のリアじゃなくって、女の子に変装したこの俺って訳で……」
必死に言い募る。
嘘は、何一つ言ってねぇ。
『リア』なんて女の子は元々この世に存在しねぇ事、そしてこの俺が女装した姿こそが、レイジスにベタ惚れされている『リア』なんだって事を言わなかったってだけで。
が……どうだ?
さすがのレイジスももういい加減、色々おかしいって気づいたか……?
けど今ここで全部を打ち明けるなんてこたぁ俺にゃあ絶対ぇ出来ねぇぜ。




