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おかしな話だが、自分なら信頼しねぇとでも言わんばかりだ。
俺だって何にもなけりゃあこいつにこんな取引みてぇな真似しやしねぇ。
というかこいつと関わり合いになるのだって避けてる所だ。
けどよ……。
~絶対ぇに、こいつだけが知る“何か”がある。
そしてそいつはセルジオ・クロクスナーに関する“何か”──もっと言えばセルジオが内乱に関わっていたってぇ証拠の様な何かなんじゃねぇかって気がすんだよな。
俺はジェノの問いかけにちょっと息をついて、俺の思う正直な所を話す。
「今の時点では絶対の確証は持てませんが……。
出来るんじゃないかな?と思っています。
今回、アルフォンソ殿下を助けようという気がほんの少しはあったのは本当でしょう?
少なくとも全面的にお父様の行動を支持してる訳ではない。
私は、あなたが見かけ程信用出来ない人じゃないんじゃないかなと思っています」
実際、ここに来て気づいた事もある。
こいつ、多少酒は呑んじゃいるが、思うよりは呑んじゃいねぇ。
こいつが近づくといつも酒の臭いがひでぇが、それでもその臭いの割に頭はきちんと冴えてる感じがする。
実際は酒の臭いを纏わせてるだけ、なんじゃねぇのか?
酒を浸して絞った布なんかを服に仕込むとかなんとか、方法ならいくらでもある。
まぁ、絶対の確証はねぇけど。
それに、だ。
この荒れた部屋の中、実際に定期的に使っているんだろう万年筆や本棚の本の置き方だけは割に整っている。
ここにこそこいつの本当の性格が滲み出てるんじゃねぇかってな気がした。
ジェノが、珍しく渋い顔をして俺を見る。
それでも俺が一切気にせずにこにこと笑っている──と。
ジェノは はあ~っと投げやりな息を吐く。
そうして「~分かった」と一つ答えてきた。
「……だがその『リアちゃんスタイル』はやめてくれ。
どうにも気が散る」
言うのに──俺はくるりと目を回して見せる。
どーやら完全に俺がリッシュ・カルトだって確信してるみてぇだ。
『リア』で起こった話をしに行くのに、ジェノと全く面識もねぇはずの『リッシュ』でいくのもどうかと思ってこのスタイルにしてきたが、こうなりゃあんまり意味はなさそうだ。
考え俺はこっちも「分かった」と返す事にした。
そうしてついでに付け加えておく。
「あ~、ただ、俺とリアが同一人物だって事は周りにゃ秘密で頼むぜ。
特にレイジスは『リア』にめちゃめちゃ惚れ込んじまってるからよ。
夢を打ち砕いちまうのも可哀想だろ?」
急に『リア声』じゃなく地声で言ったからなのか、それともレイジスがリアに惚れ込んでるって所になのか。
ジェノは一瞬地味に怯んだ様にも見えたが──。
乱暴に頭を振って、前の席を手で指し示す。
「──掛けな。
長い話になる」




